高圧ガス移動監視者-計算・性状:検定で使う爆発下限界の覚え方はコレ

このページは高圧ガス移動監視者の検定試験対策のうち、計算問題:ボイルシャルルの法則・アボガドロの法則と高圧ガスの性状:可燃性ガス・毒性ガス・特殊高圧ガスについて書いています。

最新版の過去問はコチラ

このページで出てくる学習の要素は・・・
  1. 計算:単位と圧力
  2. 計算:温度と物質量
  3. 計算:ボイル・シャルルの法則
  4. 計算:アボガドロの法則
  5. 性状:高圧ガスの基本事項
  6. 性状:液化ガスの危険性
  7. 性状:高圧ガスそれぞれの性状
    • 可燃性ガスと酸素
    • 毒性ガスと液化石油ガス
    • 特殊高圧ガス
  8. 複合問題の対策
おっさん

前ページでは高圧ガスの法令関係を、ここでは計算問題と性状をやるのか。

でぃでぃ

はいー。計算問題は化学系でお馴染みのアレも出てきます。

おっさん

…ボイル・シャルルの法則か。苦手なんだよなアレ…

でぃでぃ

だいじょーぶです!
危険物乙4の物理化学で丁寧に解説したのがあるので、それをベースにやりましょう。

おっさん

こっちも計算と性状で試験対策の半分くらいになるんかな。

でぃでぃ

そーですね。
計算3問+性状6問で9問分の試験対策をしていきます!

検定試験は、実際に受験したものや過去問を見ても以下のパターン(問題の配置)ものでした。

出題区分問題数
問①-⑥法令・基準6
問⑦-⑮計算・性状9
問⑯-⑳法令・基準5
高圧ガス移動監視者 出題区分

このページでは、検定試験の問7~問15の9問を攻略していくイメージです。

出題内容・論点問題数
問①-⑥※法令・基準A※6
問⑦-⑨単位・計算問題3
問⑩-⑮高圧ガスの性状等6
問⑯-⑳※法令・基準B※5
高圧ガス移動監視者 出題区分

問題の配置が多少前後する事はあるかもですが、内容が大きく変わる等はなさそうです。

おっさん

高圧ガスの性状は細かい数字を覚えないとダメかね?

でぃでぃ

数字は少しだけで、どういうモノかを正しく把握するのが大事ですね。

INDEX

高圧ガス移動監視者-計算問題:単位・圧力

【難易度:易】
単位
圧力

高圧ガス移動監視者
検定突破に向けた勉強方法

計算問題を解く下拵えとして、「数値の単位」や「圧力の基本的な事」について理解します。

ここを押さえないまま計算問題を解こうとすると意味が分からず、結果として資格取得の妨げとなるかもです。

でぃでぃ

何事も基本から、ですね。

計算問題に使う単位系

世界共通で使っている国際単位系(SI単位)に慣らしておきます。

高圧ガス移動監視者の計算問題では、以下の単位を押さえていないと計算問題が解けないです。

何を示すSI単位読み方
Nニュートン
圧力Paパスカル
セルシウス温度
(摂氏温度)
セルシウス度
熱力学温度
(絶対温度)
Kケルビン
物質量molモル
計算問題に使うSI単位

重さを示すkgもSI単位です。圧力(Pa)も1,000Pa=1kPaと変換します。

参考リンク:SI単位系など一覧

おっさん

計算に出てくる数字の単位が判らないと計算式の意味も理解できねーもんなぁ…

力と圧力の計算

力(N)と圧力(Pa)を求める計算式を見ておきます。

高圧ガス移動監視者の計算問題で、力と圧力の計算式を書けという問題は出ませんが…

力(ニュートン=N)の計算式は以下となります。

N(㎏・m/s2

質量(㎏)× 加速度(m/s2

次に、圧力(パスカル=Pa)の計算式を見てみます。

㎩(N/m2

力(N)÷ 面積(m2

圧力(Pa)は「面積あたりにかかる力だよ」という事を理解する。

圧力(Pa)を計算で求めるには力(N)が必要で、その力(N)を求める材料は重さと加速度である事を掴んでおきましょう。

でぃでぃ

計算の理屈が分かっていると後で使い回しが利きます!

圧力:3つの圧力を理解する

計算で使う圧力(Pa)は3つあります。

高圧ガス移動監視者の検定問題で問7には、3つの圧力を使った問題がほぼ確実に出題されます。

3つの圧力意味
ゲージ
圧力
計測した圧力
大気圧を考慮しない
大気圧空気の重さにより
物質が受ける圧力
(標準状態での大気圧)
0.1013MPa
絶対
圧力
物質へ実質的にかかる圧力
(計算式)
ゲージ圧力+大気圧
ゲージ圧力・大気圧・絶対圧力

ゲージ圧力・大気圧・絶対圧力とも圧力であるので単位はPa、大気圧はメガ(MPa)表記

圧力の計算や比較は全て「絶対圧力に揃えて」行います。絶対圧力に揃える=ゲージ圧力を「絶対圧力へ変換」するという事です。

絶対圧力

ゲージ圧力+大気圧(0.1013MPa)

おっさん

なんか計算問題の入り口に来た気がするぞ…

検定試験では以下のパターンでとてもよく出題されます。

問7
圧力に関する記述で正しいのはどれ?大気圧は標準大気圧って事で。

イ.0.1M㎩(絶対圧力)は、0.1M㎩(ゲージ圧力)と等しい

ロ.0.200M㎩(絶対圧力)は、200k㎩(絶対圧力)と等しい

ハ.101.3k㎩(ゲージ圧力)と2.026M㎩(絶対圧力)と等しい

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)ロ・ハ

正解は(2)ロ.です。

イ.後半の絶対圧力は0.2013MPa
ロ.単位表記の違いのみで値は等しい
ハ.前半の絶対圧力は0.2026MPa

それぞれの選択肢の圧力は全て絶対圧力に変換して比較するだけの問題です。

おっさん

こりゃ大気圧をソラで言えないと解けねーな。

でぃでぃ

ゲージ圧力と出てきたら0.1013M㎩を足して絶対圧力へ変換しましょう。

高圧ガス移動監視者-計算問題:温度・物質量

【難易度:易】
温度
物質量

高圧ガス移動監視者
検定突破に向けた勉強方法

ここも計算問題をする前の下拵えです。

難しくはありませんが「ここの内容をスルーすると計算問題で詰む」可能性が高いので、ざっと流し見しておきましょう。

でぃでぃ

ここも基本なのでスルーすると後で皺寄せが来るかもです…

温度:セルシウス温度と絶対温度

計算問題で使う2種類の温度について見ておきます。

温度の種類SI単位表示例・求め方
ルシウス
温度
(摂氏温度)
日本での
気温20℃
絶対
温度

(熱力学温度)
K摂氏温度+273
気温20℃

絶対温度293K
セルシウス温度

ボイル・シャルルの法則での計算は温度を必ず「絶対温度」に変換します。

とても大事なので温度を変換する計算式を再掲します。

絶対温度(K)

摂氏(℃) + 273

気温27℃は絶対温度なら300(27+273)Kという事になります。

計算問題では「絶対」圧力と同じく無条件で「絶対」温度へ変換すると考えて良いです。

おっさん

何℃ときたら+273って考えるくらいでいいかもな。

原子と分子

化学反応の材料となる「原子」と「分子」について確認します。

材料それは何?例えば
物質を構成する
単一種類の材料
水素の原子
(記号で示すと)
H
原子同士が
反応して結合
したもの
水の分子
(記号で示すと)
H2O
原子と分子

原子について押さえる事

・原子は記号で表す
・原子は元素とも呼ぶ
 → 原子記号と元素記号という呼び方
 → 意味合いに大きな違いはない

・原子には種類ごとの「重さ」がある
・原子の「重さ」を原子量という

分子について押さえる事

・分子は2つ以上の原子が結合したもの
・分子の構造を示す式を分子式という
・結合するのが同じ種類同士でも分子となる
 → 例:水素原子(H)が2つ結合
  → この場合は水素分子(H2)となる

・分子の「重さ」は原子の重さの合計
・分子の「重さ」を分子量という
 → 例:水の分子(H2O)はH2個とO1個
  → この「原子それぞれの重さ」を足す

おっさん

基本的な事だから抜け・漏れが無い様にしないとな…

原子の覚え方は人それぞれですが、最低限で以下のものは覚えておきましょう。

原子原子記号原子量
水素H1
炭素C12
窒素N14
酸素O16
塩素Cl35.5
基本的な原子量
でぃでぃ

赤字は計算問題で暗記を求められる事もあります!

分子量と物質量

読みが似ている「分子量」と「物質量」について理解します。

2つの意味合いは全く別ですが、物質の事を考える(計算する)場合は切っても切れない関係です。

分子量は分子一つの重さを示す

前の節で触れた通り、分子量は分子一つを構成する原子の重さの合計です。

分子分子式分子量
水素H22
(H=1×2個)
アンモニアNH317
(N=14×1個)

(H=1×3個)
H2O18
(H=1×2個)

(O=16×1個)
空気29
※混合気体
酸素O232
(O=16×2個)
プロパンC3H844
(C=12×3個)

(H=1×8個)
ブタンC4H1058
(C=12×4個)

(H=1×10個)
基本的な分子量

空気の重さが約29であるのは必ず覚える。覚えれば検定試験で応用が利く

原子H・C・N・Oの原子量を覚えていれば、分子量を暗記する必要はありません。

おっさん

分子量の単位って何なんだろうな…(棒読み

②物質量は分子量に単位(g)のつく物量

分子一つの重さは「とてつもなく軽い」ので、事実上は重さの単位をつけようがないです。

そこで同じ分子が一定数集まったら何グラムになる、という分子の数を「物質量」と言います。

物質量内容
定義アボガドロ定数
(アボガドロ数)
単位mol
(読み:もる)
1molの
分子の数
6.02 × 1023
(途方もない数)
気体の場合
その体積

(標準状態)
1mol = 22.4ℓ
物質量

気体の場合…の標準状態=気温0℃かつ1気圧

でぃでぃ

赤字を押さえていないと計算問題がワケワカメです…

この物質量の整理だけ見ても仕方がないので、①:分子量の復習も兼ねてアンモニア1molの分子量と物質量をまとめてみます。

アンモニアは気体で標準状態とした場合…

アンモニア
1mol
内容
(アンモニアは気体・標準状態)
分子式NH3
分子量17
1molの
分子の数
6.02 × 1023
1molの
重さ
17g
(分子量にgをつけるだけ)
1molの
体積
22.4ℓ
分子量と物質量

全ての物質で1mol=6.02 × 1023個の分子が集まり、気体で標準状態なら体積は22.4ℓとなる

この節までの内容を理解していれば、この後に出てくる計算問題のハードルを下げた状態で臨めます。

おっさん

そろそろアレが来るのか…

でぃでぃ

アレを迎え撃つ材料はかなり丁寧に揃えたんで大丈夫ですよ。

でぃでぃ

計算問題の下拵えはここまでです!

高圧ガス移動監視者-計算問題:お約束の計算問題

【難易度:中】
計算問題

ボイル・シャルルの法則
アボガドロの法則

高圧ガス移動監視者
検定突破に向けた勉強方法

計算問題で「ボイル・シャルルの法則」と「アボガドロの法則」を攻略していきます。

化学系の計算問題の中では難易度は低めですが、高圧ガス移動監視者の検定問題の中では苦手な人が多いとされる問題です。

でぃでぃ

攻略法は…ありまぁす…

おっさん

流石にネタ古すぎだろうが…

計算問題:ボイル・シャルルの法則

ボイル・シャルルの法則を使った計算問題を紐解きます。

これが小難しく感じるのは、ボイル・シャルルの法則は「ボイルの法則」と「シャルルの法則」を合体させたものだからです。

おっさん

コレ苦手なんだよなぁ…

分解してみると実はとてもシンプルです。

ボイルの法則

気体の体積は圧力に反比例する

(どういう事?)
温度は一定の状況で気体に圧をかければ縮むという事を示し、計算は絶対温度でする

シャルルの法則

気体の体積は絶対温度と比例する

(どういう事?)
圧力は一定の状況で気体を加熱したら熱膨張するという事を示し、計算は絶対温度でする

ボイル・シャルルの法則

(定義と計算式)
気体の体積は圧力に反比例絶対温度と比例

(計算式)
圧力 × 体積 ÷ 絶対温度(K)

絶対温度(K)=摂氏の温度(℃)+ 273

大事なのは、どの法則でも「摂氏温度を絶対温度へ必ず変換」する事

でぃでぃ

温度の変換をしないと計算がおかしくなっちゃいます。

高圧ガス移動監視者の検定問題では問9にほぼ固定で出題されます。

問9
温度40℃圧力200k㎩(ゲージ圧力)の気体が容器に封入されている。容器内が温度20℃になったら容器内の圧力はいくつになるか?

※気体はボイル・シャルルの法則に従い、大気圧は標準大気圧とし、容器の内容積は変わらないものとする

(1)181k㎩ (2)191k㎩ (3)211k㎩ (4)221k㎩ (5)241k㎩

問題を読むのは前半までのマーカー部分だけで良いです。その中で赤字部分の計算材料を拾います。

計算の材料
変化前変化後
摂氏温度40℃20℃
ゲージ
圧力
200
kPa
(?)
kPa
気体の体積11
ボイル・シャルルの法則 計算材料①

問題文で気体の体積は数値が指定されていないので、「とりあえず1」としておきます。

おっさん

…よし、まずは材料Getだぜ!

ここで計算する前に「ボイルの法則」と「シャルルの法則」それぞれに当てはめて考えます。

ボイルの法則に当てはめる
(法則)
気体の体積は圧力に反比例する

この問題では変化後の圧力が現時点で判らないので、ボイルの法則は一旦置いておく
(待ち)

シャルルの法則に当てはめる
(法則)
気体の体積は絶対温度と比例する

この問題では変化後の温度が下がる(40℃→20℃)ので、気体の体積は減る

容器内の気体の体積が減ったら、内部に余裕ができるので容器内の圧力は下がる

でぃでぃ

検討(ボイルの法則)に検討(シャルルの法則)を重ねた結果…

問題の選択肢(3)~(5)は、変化前のゲージ圧力(200kPa)より大きくなっているので明らかな間違いです。

問9
温度40℃圧力200k㎩(ゲージ圧力)の気体が容器に封入されている。容器内が温度20℃になったら容器内の圧力はいくつになるか?

※気体はボイル・シャルルの法則に従い、大気圧は標準大気圧とし、容器の内容積は変わらないものとする

(1)181k㎩ (2)191k㎩ (3)211k㎩ (4)221k㎩ (5)241k㎩

おっさん

これで次の検討(計算)を出来るな!

問題と材料を再掲
温度40℃圧力200k㎩(ゲージ圧力)の気体が容器に封入されている。容器内が温度20℃になったら容器内の圧力はいくつになるか?

計算の材料
1.変化前:40℃(摂氏)
2.変化前:200k㎩(ゲージ圧力)
3.変化後:20℃(摂氏)
4.変化後:?(ゲージ圧力)

 ↓ 

計算の材料を変換
①変化前:313K(絶対温度)
②変化前:301k㎩(絶対圧力)
③変化後:293K(絶対温度)
④変化後:?(絶対圧力)

※ゲージ圧力→絶対圧力への変換=大気圧:101k㎩を1・4に足す

計算式
(1×②÷①)=(1×④÷③)

(実際の計算)
変化前 1 × ②301k㎩ ÷ ①313K

= 変化後 1 × ④?k㎩ ÷ ③293K

→ ④ = 282k㎩(絶対圧力)

※問題では変化後のゲージ圧がいくらか求めているので、絶対圧力→ゲージ圧力へ再変換

181k㎩(ゲージ圧力へ再変換)

計算の結果、正解は(1)181kPaとなりました。

温度の変換に「273」圧力の変換には「0.1013MPa」の数値を覚えている事は必須

この問題ではゲージ圧力の単位がMでなくkなので大気圧は101kPaとして計算しました。

この計算に使った材料・変換後の数値を改めてまとめます。

計算の材料
変化前変化後
摂氏温度
40℃20℃
絶対温度313K293K
ゲージ圧力
200
kPa
(?)
kPa
絶対圧力301
kPa
(?)+101
kPa
気体の体積11
ボイル・シャルルの法則 計算材料②
おっさん

検討(計算)を加速するにはどうしたらいいかね?

でぃでぃ

問題文を読んだ直後に温度と圧力を「絶対」に揃える事ですね。

でぃでぃ

…検討に検討を重ねたり、検討を加速しても結局は何もしないんじゃダメだけど…

計算問題:アボガドロの法則

アボガドロの法則が入った計算問題の対策をします。

検定試験の問8で複合問題のような形式で出題されます。難易度はさておき、ここまで出てきた内容を網羅していないと正解は厳しいかもです。

問8
次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.アボガドロの法則に従うと全ての気体1㏖は標準状態でおよそ22.4ℓの体積

ロ.ボイル・シャルルの法則を用いて気体の体積を計算する場合、気体の温度は絶対温度へ・気体の圧力は絶対圧力へ換算してから計算する

ハ.アボガドロの法則に従うとアンモニア1.7gの体積はおよそ2.24ℓとなる

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ロ・ハ

正解は(5)全て正しいです。

イ&ハ.アボガドロの法則の基本
ハ.アボガドロ定数と物質量、アンモニアの分子量は17である事を軸に考える

「~の法則」「物質量」「分子と原子」を理解していないと難しい問題ですね。

おっさん

何気にこのページ前半の総まとめみたいな問題だな。

過去問を見ているとアボガドロの法則で単体の出題も見られます。

問8
酸素5㎏全てが気化して酸素ガスになった場合、標準状態での体積はおよそ幾らか。計算はアボガドロの法則に従うものとする。

(1)35ℓ (2)70ℓ (3)350ℓ (4)700ℓ (5)3,500ℓ

正解は(5)の3,500ℓです。

酸素の分子1㏖は32g、5㎏÷32g=156.3㏖、22.4ℓ×156.3㏖≒3,500ℓという計算

計算の為には酸素の原子量と分子式または分子量のどれかを覚えている必要があります。

おっさん

こういうのも過去問で慣らしとかないと危ないかもな…

でぃでぃ

このページの内容+買わされる過去問集やっておけばだいじょーぶです!

でぃでぃ

計算問題の対策はここまでです!

高圧ガスの基本事項

【難易度:易】
高圧ガス
基本事項

高圧ガス移動監視者
検定突破に向けた勉強方法

ここからは高圧ガスの性状などについて触れていきます。

高圧ガス個々の性状や危険性に触れる前に、基本事項(全体的な事など)を確認していきます。

でぃでぃ

何をするにも基本を見てから、ですね。

圧縮ガスと液化ガス

高圧ガスは圧縮ガスと液化ガスに大別されます。

法令のページで「高圧ガスの種類」を覚えましたが、それとは別に理解しておく必要があります。

圧縮ガスはこういうモノ

もともと気体であるガス
気体のまま圧縮して容器に充填

(圧縮ガスの具体的なもの)
・水素
・酸素
・アルゴン

液化ガスはこういうモノ

もともと気体であるガス
加圧または冷却して液化させたもの

(液化ガスの具体的なもの)
・液化アンモニア
・液化塩素
LPガス

(液化ガスの取扱等で気を付けること)
温度が上がると激しく膨張
・容器内で膨張すると蒸気圧が上がる
 ・容器内は10-15%の空き(気層部)確保
  → 容器へのフル充填はNG

おっさん

元は気体だけど、そのまま圧縮するか液化させて充填するかの違いか。

でぃでぃ

ざっくりそんな感じです。

液化ガスの一種であるLPガスの解説を入れる前に、液化ガスの蒸気圧について要点を整理します。

高圧ガスの蒸気圧と熱

・蒸気圧は「ガスの種類」と「温度」で変化
 ・混合ガスは組成によって蒸気圧が変わる

(蒸気圧を下げるには)
・容器から放出する
・温度を下げる

(液化ガスを放出するという事は…)
・ガスを一気に蒸発させ熱を放出している
 ・容器内の液化ガスは冷えていく
  → 容器に結露するのはこの為

(ここで云わんとするのは…)
放出と同時進行で冷却している事になるので、連続放出すると蒸気圧が下がりすぎてガスの出が悪くなる

おっさん

このお膳立てはLPガスについて何を言いたいのか読めてきたぞ…?

LPガスはこういうモノ

・液化ガスの一種である
・LPガス=液化石油ガス
 ・LP=Liquefied Petroleumの略
・プロパンガスと同じものと捉えて良い

・単体ではなく混合ガスである
・プロパン+ブタンの混合物
 ・プロピレンも混合する場合もある

(ここの前の蒸気圧の話は何の振り?)

①:LPガスは混合物なので、新品のボンベを使用すると先に蒸気圧の高いプロパンから消費し、残りが少なくなると蒸気圧の低いブタンの割合が多くなる、という事

②:家庭用のボンベ式のLPガスを使い続けていると火力が落ちるのは、単に残量の問題でなく、ガスの連続放出によるボンベの冷却で蒸気圧が著しく低下している為

ここで書いている事は覚えるような事でもないので、把握しておけばOKです。

でぃでぃ

実はここまでが問10の対策でした!

液化ガスについては検定試験で問10に固定で出題されます。

問10
液化ガスに関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.液化ガスは温度が上昇しても体積が変わらないので、充填する際に容器内の内部に空間を残す必要はない

ロ.プロパンとブタンから成るLPガスの飽和蒸気圧は、温度が一定ならLPガスの組成に関係なく一定である

ハ.液化ガスの液面に加えられる圧力が一定なら、液化ガスが沸騰している時の温度も一定に保たれる

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ロ・ハ

正解は(3)ハ.です。

イ.液化ガスは熱による膨張率が大きい
ロ.組成が変われば蒸気圧も変わる

おっさん

これは解説を読んどきゃ解けるな。

でぃでぃ

そういうモノだと判っちゃえば難しくないですね。

高圧ガスの性状に関する項目

高圧ガスの性状を見る際に出てくる項目についてざっと触れておきます。

性状の項目意味合い
物質名物質の名称
化学式例:NH3
可燃性
爆発範囲
臭気特徴的なニオイ
毒性人体への悪影響など
許容濃度
ガス比重空気に対する重さ
沸点沸騰する温度
性状の項目

意味合いが※の項目は次の節で「危険性」として解説します。

おっさん

ガス比重は定義をハッキリさせておきたいな。

物質が基準となるものに対してどれだけ重いかを「比重」といいます。

物質の状態で基準となるものも変わります。

物質の
状態
基準・重さ比重の呼び方
水=1
1cm3=1g
(4℃時点)
液比重
(または)
水比重
固体水=1
1cm3=1g
(4℃時点)
比重
空気=1
1m3=1.3kg
(標準状態)
ガス比重
(または)
蒸気比重
比重

気体の標準状態=0℃かつ1気圧での状態

おっさん

気体の標準状態とか覚えないとダメなの?

でぃでぃ

高圧ガスの検定「では」覚えなくてOK、他の化学系だと覚えてないとダメですけどね。

高圧ガスの危険性

高圧ガスの危険性は「燃える」・「毒がある」という2つです。

3つに種類分けされたガスの危険性を整理します。

高圧ガスの種類可燃性毒性

ガス
毒性
ガス

ガス
高圧ガスの危険性

△=モノによる、塩素には可燃性がないがアンモニアには可燃性がある、等

毒性のあるガスの具体的な「人体への影響」などは性状のところで見ていきます

おっさん

可燃性ガスは毒がないモノで括っていると見てよさそうだな。

可燃性についてはガスによって「燃え方」を以下に分けられます。

可燃性どういう意味
引火性点火源と支燃物があれば
燃える

(代表的な物質)
※多くの高圧ガス※

発性
ガスが自己分解して
爆発
する

(代表的な物質)
アセチレン
酸化エチレン
モノゲルマン

火性
発火点が常温より低く
点火源ナシで発火


(代表的な物質)
モノシラン
ジシラン
ホスフィン
高圧ガスの可燃性

燃焼の基本的な事については「危険物乙4のとあるページ」で解説しています。

でぃでぃ

ちょっと寄り道して「燃焼そもそも論」を見るのもアリかもです!

気体の燃えやすさは爆発範囲(燃焼範囲)で表します。

爆発範囲(燃焼範囲)

気体が空気中で燃焼可能濃度の範囲

・物質により燃焼範囲は異なる

(爆発下限界)
・濃度がこれ以下は燃焼しない限界値
 ・下回ると「ガスが薄すぎ」で燃えない

爆発下限界が小さいほど燃えやすい
 = 危険性が高いと見做す事が出来る

(爆発上限界)
・濃度がこれ以上では燃焼しない限界値
 ・上回ると「酸素不足」で燃えない

おっさん

ガスはケイン(濃すぎ)でも薄すぎでも燃えないって事だな。

水素を例に爆発範囲を見てみます。

爆発下限界物質爆発上限界
4%水素
H2
75%
水素の爆発範囲(燃焼範囲)

※ここでは数値を覚えなくてOKです。

検定試験は複数物質での爆発下限界の比較が出題されるので、覚え方には工夫が必要です。

水素は爆発範囲(爆発下限界と爆発上限界のレンジ)が割と広く、可燃性ガスの中では「危険度の高い部類」となります。

おっさん

爆発下限界の覚え方って後で攻略法でてくんの?

でぃでぃ

出しますよ!検定試験の難所なので…

※ここの内容は検定試験の問11で出る事が多いですが、問11は複合問題でガス個別の性状も絡んでくるので試験対策は最後で

問11の試験対策へ飛ぶ(初見では非推奨)

でぃでぃ

性状に入る前の下拵えはここまでです!

高圧ガスの性状

【難易度:並】
高圧ガス
性状

高圧ガス移動監視者
検定突破に向けた勉強方法

高圧ガスの性状について覚えていきます。

物質一つ一つの性状を覚えるのは難しくありませんが、複数物質の性状の比較をする等ではハードルが上がります。

高圧ガス移動監視者の検定試験対策の中では「難しくないけど時間はかかる」部類です。

でぃでぃ

ここは過去問反復で地道にいきましょう!

性状:可燃性ガスと酸素

可燃性ガス+酸素を一つのグループとして物質の概要と性状を見ていきます。

物質それぞれの概要です。

可燃性ガス+酸素について

可燃性ガスはいずれも引火性があり、毒性は無いものです。

アセチレン ※分解爆発性
分解爆発性があり、爆発範囲が極めて広い。窒息性がある。酸素中で燃えると3,000℃くらいになる

エチレン
アセチレンと似ているが爆発範囲はだいぶ狭い。塩素とは日光の照射で爆発的に反応する

天然ガス(メタン)
空気と混合すると爆発性の混合気となる

水素
還元性が強い。塩素と等量混合すると爆発性の塩素爆鳴気となる。炎色が透明で陽炎のように見えてしまい、火災の発見が遅れやすい。分子が小さく漏れやすく拡散しやすい

———-

酸素 ※不燃性・支燃性
酸素自体は燃えず他の可燃性ガスを支燃する。無毒だが高濃度の酸素を長時間吸引すると酸素中毒になる。酸素が多い場所でモノを燃やすと燃焼速度が速く激しい炎を上げる

おっさん

ちょっと数字とかも見てみようかね…

数値や性状で気にすべき事をまとめます。

スクロールできます
可燃性ガス+酸素可燃性爆発
範囲
臭気ガス
比重
沸点
アセチレン
C2H2
引火性
分解爆発性
3%

100%
ニンニク臭0.91▲84℃
エチレン
C2H4
引火性3%

36%
甘い芳香
(エーテル臭)
0.98▲104℃
天然ガス
(メタン)
CH4
引火性5%

15%
無臭0.55▲161℃
水素
H2
引火性4%

75%
無臭0.07▲253℃
酸素
O2
不燃性
※支燃性※
無臭1.11▲183℃
可燃性ガス+酸素の性状と数値

支燃性物質=それ自体は燃えず、他の物質の燃焼を支持・ブーストする。

「支燃性」と「助燃性」の意味に違いはなく、単に「表記のゆれ」です。

でぃでぃ

早速、過去問を見てみましょう!

検定試験で可燃性ガスと酸素は問12にほぼ固定で出題されます。

問12
液化ガスに関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.アセチレンは不安定で単独でも自己分解しやすい

ロ.水素の炎色は赤いので火災の発見が容易である

ハ.水素と塩素の等量混合ガスは爆発性があり塩素爆鳴気と呼ばれる

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ハ

正解は(5)イ・ハです。

ロ.水素は炎色が透明(無色)

可燃性ガス+酸素の問題はかなり難易度を抑えているようです。

おっさん

妙に簡単で拍子抜けしたな。

でぃでぃ

次はちょっとだけ難しくなるかもです…

性状:毒性ガスと液化石油ガス

毒性ガス+液化石油ガスを一つのグループとして物質の概要と性状を見ていきます。

物質それぞれの概要です。

毒性ガス+液化石油ガスについて

毒性ガスはいずれも毒性をもち・だいたいが可燃性もあります。ただし特殊高圧ガスほど危険ではないと言えるものです。

高圧ガス関係法令以外で毒物及び劇物取締法で劇物に指定されているものが多いです。

塩素 ※不燃性・支燃性
塩素自体は燃えないが水素などと反応すると爆発するので支燃性ガスに括られる。気体の状態では黄緑色のガス。毒劇法では劇物指定

人体への影響は目や気道などの粘膜刺激。含水状態でチタン以外の金属を腐食し、乾燥状態ではチタンのみを侵す。アンモニアと反応すると白煙を生じる

二酸化硫黄(亜硫酸ガス) ※不燃性
二酸化硫黄自体は燃えない。水溶液は還元性をもつが酸化されると硫酸となる。人体への影響は歯牙酸食症・気管支炎など

アンモニア ※可燃性
毒性ガスで唯一空気より軽く水溶液は還元性。刺激臭が極めて強く、人体への影響は粘膜刺激が強い。解毒はレモン水などの酸性物質で中和する。銅・アルミを侵すので容器はステンレス製。炎色は黄色。毒劇法では劇物指定

一酸化炭素 ※可燃性
還元性が強い。人体への影響は酸欠と低体温、対処は酸素吸入。自前で酸素供給できるので爆発範囲が広い。炎色は青白色(青白い炎)

酸化エチレン ※可燃性・分解爆発性
毒性が強く化学的に不安定なので分解爆発性を持つ。容器には不活性ガスを注入し45℃時点でゲージ圧力が0.4M㎩以上にして爆発抑制する。人体への影響は嗅覚麻痺の後に窒息と肺水腫、対処は温水を大量に飲んで意図的に嘔吐する。毒劇法では劇物指定

———-

液化石油ガス(LPガス) ※可燃性
プロパン・プロピレン・ブタンの混合物。液体の重さは水の半分・気体の状態では空気より重く漏れると低所に滞留する。天然ゴムを溶解する。人体への影響は麻酔性と窒息性、対処は酸素吸入か人工呼吸。

電気の不良導体で静電気を溜めやすい本来は無臭だが家庭向けの製品は硫黄系の物質で着臭してある。LPガスのLPLiquefied Petroleumの略

おっさん

これは…数字とかを見た後に試験対策用のまとめが欲しいな…

数値や性状で気にすべき事をまとめます。

スクロールできます
毒性ガス
液化石油ガス
可燃性爆発
範囲
毒性
人体影響
許容
濃度
臭気ガス
比重
沸点
塩素
Cl2
不燃性
※支燃性※
粘膜刺激0.1刺激臭2.50▲34℃
二酸化硫黄
SO2
不燃性気管支炎刺激臭2.20▲10℃
アンモニア
NH3
引火性15%

28%
粘膜刺激25刺激臭0.60▲33℃
一酸化炭素
CO
引火性13%

74%
酸素欠乏
低体温
25無臭0.97▲192℃
酸化エチレン
(CH22O
引火性
分解爆発性
3%

100%
窒息
肺水腫
1エーテル臭1.4911℃
液化石油ガス
(プロパン)
C3H8
引火性2%

10%
麻酔性
窒息
不快臭
※着臭※
1.52▲42℃
毒性ガス+液化石油ガスの性状

許容濃度(TLV-TWA)は週40時間の曝露で健康被害が出ない限界値で単位はppm

許容濃度の数値は試験対策では無視でも良いですが、毒性の強さの順位付けには使えます。

でぃでぃ

ここは過去問を解きながら覚えるスタイルでいきましょう!

毒性ガスの過去問を解いてみます。

問13
毒性ガスに関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.塩素は常温常圧では黄緑色の気体で、乾燥状態ではチタンを侵す

ロ.一酸化炭素を吸入した者への応急処置は、空気の良い場所へ移動し安静状態で酸素吸入させる

ハ.酸化エチレンは支燃性で毒性が極めて強い

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ハ

正解は(4)イ・ロです。

イ.含水状態は「チタン以外を」侵す点に注意
ロ.一酸化炭素の人体影響は酸欠
ハ.酸化エチレンに支燃性はない

おっさん

毒性と応急処置をセットで理解しとかんといけないな。

続いて液化石油ガス(LPガス)の過去問です。

問14
LPガスに関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.すべてのLPガスは漏出時に感知できるよう着臭してある

ロ.ガス状態のLPガスは空気と混合すると爆発性のある混合気体となる

ハ.LPガスは気体のものを圧縮して容器内へ充填したものである

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ハ

正解は(2)ロです。

イ.工業用のものは着臭しない
ロ.危険物乙4のガソリンと同じ理屈
ハ.気体を液化して容器へ充填

おっさん

LPガスがどういうモノか判ってりゃ解けるな。

でぃでぃ

毒性ガスは数値よりも性質に重点をおくと良いかもです!

性状:特殊高圧ガス

特殊高圧ガスに指定されている物質の概要と性状を見ていきます。

特殊高圧ガスは全体的な解説事項が少し長くなるので、先に要点をまとめておきます。

特殊高圧ガスについて

極めて危険性が高く毒性+可燃性
 → 取扱いを誤れば容易く人命を失う

・高圧ガスの中でも特に毒性が強い
・あわせて燃え方も自然発火性など強烈

・半金属(ヒ素やセレン)のガスが多い
・他の法令(毒劇法)では毒物指定
 ・普通の毒性ガスに比べ毒性は桁違い

(非常時の基本的な対応)
消火困難(不能)となる事が多い
・漏出が止まらない場合は消火せず放置
 ・ガスが燃え尽きるのを待つのが現実的

(非常時の保護具は以下いずれか)
ガスの毒性に合った防毒マスクを着用
・陽圧式の空気呼吸器を使用

(特殊高圧ガスを吸ってしまったら…)
・基本は医師にすぐ治療を受ける
・応急救護は酸素吸入と人工呼吸

おっさん

特殊高圧ガスは明らかにヤベーから、それに見合った取扱い・対応をって事だな。

物質それぞれの概要です。

特殊高圧ガスについて

特殊高圧ガスに共通する用途は「半導体関連」であるので、試験対策のキーワードで「半導体」を覚えておくと良い。

モノシラン ※自然発火性
水素化ケイ素とも呼ばれる。毒性は特殊高圧ガスの中では最弱だが自然発火性があるので火災の意味で危ない。人体への影響は粘膜刺激

ジシラン ※自然発火性
モノシランと同じくケイ素(シリコン)と水素の化合物。性状もモノシランと似ている。というか自然発火性があり詳しく調べようにも燃え尽きてしまうシランだけに誰も知らんというのが実情

ホスフィン ※猛毒・自然発火性
お馴染みのリン化水素。極めて毒性が強く異臭(腐魚臭)を放つ。ハロゲンとは激しく反応する。人体への影響は中枢神経と内臓が冒される。毒劇法では毒物に指定

モノゲルマン ※分解爆発性
水素化ゲルマニウムとも呼ばれる。化学的に不安定で分解爆発性を持つ。ホスフィンとは違った意味の異臭(吐き気を催す臭い)を放つ。人体への影響は胃腸・腎臓の障害

アルシン ※猛毒
水素化ヒ素とも呼ばれる。毒性が著しく強くガスだけではなく燃焼後生成物の亜ヒ酸にも注意。人体への影響は精神錯乱・溶血・多臓器不全。ハロゲンと激しく反応する。炎色はピンク。毒劇法では毒物に指定

セレン化水素 ※猛毒
毒性が極めて強く人体への影響は呼気のニンニク臭化胃腸衰弱など。ハロゲンとは急速に反応する。炎色は青白い。毒劇法では毒物に指定

ジボラン
ホウ素と水素の化合物。特殊高圧ガスで唯一空気より軽い。気持ち悪く甘い臭いがある。人体への影響は筋力低下腎障害など。他の特殊高圧ガスと反応する。

発火点が40℃近くと微妙なので自然発火性は無いとされているが気温によっては自然発火の可能性もある。毒劇法では毒物に指定

おっさん

名前だけでもヤバそうなのが揃ってるな…

でぃでぃ

セレンの名前の由来って月の女神様なのに…

数値や性状で気にすべき事をまとめます。

スクロールできます
特殊高圧ガス可燃性爆発
範囲
毒性
人体影響
許容
濃度
臭気発火点
モノシラン
SiH4
自然発火性1%

100%
粘膜刺激5刺激臭▲162℃
ジシラン
Si2H6
自然発火性1%

100%
粘膜刺激不明刺激臭▲100℃
以下
ホスフィン
PH3
自然発火性2%

100%
神経障害0.05腐魚臭28℃
モノゲルマン
GeH4
引火性
分解爆発性
2%

100%
腎障害
血液毒
0.2吐気催す
変な臭い
85℃
アルシン
AsH3
引火性5%

78%
精神錯乱
溶血

内臓疾患
0.005ニンニク臭225℃
セレン化水素
H2Se
引火性8%

62%
胃腸衰弱
呼気臭化
0.05ニンニク臭85℃
ジボラン
B2H6
引火性1%

93%
筋力低下
腎障害
0.1気持悪い
甘い臭い
38℃
特殊高圧ガスの性状
おっさん

モノシランとジシランは漏れた瞬間に発火するって事か…

特殊高圧ガスの過去問を解いてみます。

問15
特殊高圧ガスに関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.特殊高圧ガスはいずれも可燃性と毒性を有し、爆発範囲が広い

ロ.モノシランが漏洩し自然発火した場合、無理に消火せず漏れを止める事に注力する

ハ.アルシンは空気中で燃焼させるとピンク色の炎が出る。また、燃焼後生成物(亜ヒ酸)の毒性にも注意する

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ロ・ハ

正解は(5)イ・ロ・ハ全てです。

実は検定試験での特殊高圧ガスに関する出題は、こんな感じでかなり易しい事が多いです。

おっさん

特殊高圧ガスが簡単なのは何かおかしくねーか?

でぃでぃ

高圧ガスはちょいちょい肩透かしの問題がありますからねー

検定試験 問11対策、その前に…

最後に攻略を…とした検定試験 問11対策です。

問11「燃焼と爆発」は難易度バグってないか?というほど難易度が高い時があります。

とりあえず、いつぞやの過去問を解いてみます…

問11
可燃性ガスの燃焼と爆発に関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.水素、プロパン、アンモニアの爆発下限界の低い順に並べると、プロパン < 水素 < アンモニア の順になる

ロ.メタン(天然ガス)とモノシランは発火点が常温以下の自然発火性ガスである

ハ.モノゲルマンと酸化エチレンは支燃性ガスがなくても何らかの要因で分解爆発をする事がある

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ハ

正解は(5)イ・ハ…なんですが…

イ.爆発下限界の覚え方よ…
ロ.メタンに自然発火性はない
ハ.これは合っている

おっさん

ガスの種類を跨いで性状を問われたり、爆発下限界の比較させたりキツすぎだろ…

でぃでぃ

そーなんですよ、単に複合問題ってレベルじゃないんです。

おっさん

特に爆発下限界の覚え方を何とかしないと対策できねーよ…

もし爆発下限界ってなんだっけ?となったらページの上の方を見返してここに戻ってきましょう。

でぃでぃ

おかえりなさい!

という事で、攻略法を組み立てましょう。

イ.はガスの種類を跨いではいますが特殊高圧ガスは含まずです。

それならば「可燃性ガスと毒性ガスで可燃性のもの」の爆発下限界を並べて覚えてしまいましょう。

爆発下限界の低い順での覚え方
可燃性ガス+毒性ガス

(最小)
2%:プロパン(LPガス)
 ▲
3%:エタン3兄弟

(エチレン・酸化エチレン・アセチレン)
 ▲
4%:水素 ← 基準とする
 ▼
5%:メタン(天然ガス)
 ▼
13%:一酸化炭素
 ▼
15%:アンモニア
(最大)

おっさん

水素を基準にして下(プロパン)と上(アンモニア)を押さえりゃ何とかなるな。

もう一問だけ、答えを伏せてやってみます。

問11
可燃性ガスの燃焼と爆発に関する次の記述のうち正しいのはどれ?

イ.燃焼性による高圧ガスの分類において、酸化エチレンとメタンは可燃性ガスに分類される

ロ.分解爆発性ガスは常温の容器中で支燃性ガスがなくても爆発し、モノシランやジシランがそれに該当する

ハ.常温・常圧の空気中において、プロパンの爆発下限界は水素の爆発下限界よりも高い

(1)イ (2)ロ (3)ハ (4)イ・ロ (5)イ・ハ

こたえ

正解は(1)イ.です。

ロ.モノシランとジシランは自然発火性ガスです。分解爆発性ガスはアセチレン・酸化エチレン・モノゲルマンです。

ハ.先に出した攻略法の通り、プロパンの爆発下限界が一番低いと覚えておけば正解出来ます。

おっさん

こないだの検定試験(R5年2回)の問11は簡単だったんだよなぁ…

でぃでぃ

それ、わたしも思いました。過去問での苦労は何だったのかと…ですね。

でぃでぃ

高圧ガスの性状はここまでです!

高圧ガス移動監視者の検定対策は過去問中心で②

おっさん

計算も割と面倒だし性状とか覚えるのしんどいぞ…

でぃでぃ

まあ「見慣れる」のも結構大事かもです。

おっさん

地道に一日数問ずつとか過去問をやって慣れてくしかないのか…

でぃでぃ

です。受験申込時に買わされるう検定問題集は過去問集なので、使い倒しましょう。

おっさん

そーか、問題集やってどうにも理解しにくいのはここで解説を見にくればいーか。

でぃでぃ

はい、そーやって使って貰えたらですね。

おっさん

慣れない計算問題で知恵熱が出たっぽいから少し休んで再開するかね…

でぃでぃ

まー少しずつ慣らしながらやる位が良いと思います。

でぃでぃ

お疲れさまでした!

このページの内容+前ページで高圧ガス移動監視者の検定対策は全範囲をカバーしています。

高圧ガス移動監視者 ページ一覧
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②:高圧ガス-法令・基準
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