危険物 第一類(乙1)の物質で指定されている無機過酸化物:過酸化カリウム・過酸化ナトリウム・過酸化カルシウム・過酸化マグネシウム・過酸化バリウムに関するページです。
- 過酸化カリウム
- 過酸化ナトリウム
- 過酸化カルシウム
- 過酸化マグネシウム
- 過酸化バリウム
あ、これ水がダメなやつだ。
です。乙1物質の中でも無機過酸化物だけ扱いが違うんですよね。
乙5とか何がダメとかカオス過ぎだし、無機過酸化物だけならまだいいんじゃねーの?
そーですね。
で、何で無機過酸化物は水NGなんだっけ?
無機過酸化物は消火に水を使うと余計に火災が酷くなるからです!
危険物乙1 無機過酸化物の概要
【乙1 酸化性固体】
無機過酸化物
物質概要
危険物乙1 試験に向けた覚え方
このページの本編に入る前に物質の基本情報を確認します。
- 全て不燃性の固体※1
- 程度の差はあるが水に溶ける
- アルコールには溶けない
- 全て水より重い
- 貯蔵は酸と隔離する
- 日光を避けて冷暗所に保管
- 消火に水・泡系はNG※2
- 窒息消火が有効※3
※1:乙1物質そのものは燃えず助燃剤として可燃物の燃焼を支援する。
※2:消火に水を使うと爆発して消火困難となる。
※3:砂・岩・炭酸水素塩類を使用。
似た感じなのが集まってるな。
結局は過酸化水素とアルカリ金属・アルカリ土類金属の化合物ですからね。
危険物乙1 無機過酸化物の性状
【乙1 酸化性固体】
無機過酸化物
性状
危険物乙1 試験に向けた覚え方
危険物 第一類(乙1)の無機過酸化物の性状を見ていきます。
無機過酸化物はいずれも過酸化水素の金属塩で性状が似ているので、共通事項をざっくりと覚えるのが良さそうです。
どれも似てるからこそ覚えるのも楽です。
無機過酸化物の性状①溶解性
無機過酸化物が「何に溶けるか」を整理します。
項目 | 項目の意味 |
---|---|
物質名 | 物質の名称 (下段は化学式) |
外観 | 物質(結晶・粉末)の色 |
冷水溶 | 冷たい水に溶けるか |
熱水溶 | お湯に溶けるか |
Alc溶 | アルコールに溶けるか |
潮解性 | 潮解性の有無 |
過酸化カリウム・過酸化ナトリウム・過酸化カルシウム・過酸化マグネシウム・過酸化バリウム、それぞれの溶解性を一覧にします。
物質名 | 外観 | 冷水溶 | 熱水溶 | Alc溶 | 潮解性 |
---|---|---|---|---|---|
K2O2 | 過酸化カリウム橙 | ||||
Na2O2 | 過酸化ナトリウム薄黄 | ||||
CaO2 | 過酸化カルシウム無 | ||||
MgO2 | 過酸化マグネシウム白 | ||||
BaO2 | 過酸化バリウム灰 |
表から大事な事をピックアップします。
乙1試験対策で無機過酸化物は…
・共通してアルコールには溶けない
・潮解性があるのは過酸化カリウムだけ
・目立つ色なのは過酸化カリウムの橙色
・水によく溶けるのはK2O2とNa2O2
過去問で出た内容を再現してみます。
過去問での出題例
過酸化ナトリウムは水によく溶ける?
乙1物質はだいたいが酸素を発生させます。
無機過酸化物の性状②数値系と特記事項
無機過酸化物の数値系と特に覚えるべき事をまとめます。
物質名 | 外観 | 比重 | 融点 | 分解点 |
---|---|---|---|---|
K2O2 | 過酸化カリウム橙 | 2.0 | 490℃ | 490℃ |
Na2O2 | 過酸化ナトリウム薄黄 | 2.8 | 460℃ | 660℃ |
CaO2 | 過酸化カルシウム無 | - | - | 275℃ |
MgO2 | 過酸化マグネシウム白 | 3.0 | - | - |
BaO2 | 過酸化バリウム灰 | 5.0 | 450℃ | 840℃ |
こちらも大事なものを拾います。
乙1試験対策で無機過酸化物は…
・共通して比重は1より大きい
・過酸化バリウムは特に重い
・金属塩なので融点と分解点は高め
過去問で出た内容を再現してみます。
過去問での出題例
過酸化ナトリウムは100℃で分解し水素を発生する?
過酸化ナトリウムは金属塩だからそこまで分解点は低くないんだよなぁ…
続いて無機過酸化物の特記事項を見ていきます。
物質名 | 生成物 | 特記事項 |
---|---|---|
K2O2 | 過酸化カリウム水酸化カリウム | 皮膚を腐食・水溶液はアルカリ性 |
Na2O2 | 過酸化ナトリウム水酸化ナトリウム | 皮膚を腐食・水溶液はアルカリ性 加熱したものは白金(Pt)を侵す |
CaO2 | 過酸化カルシウム- | 酸に溶ける |
MgO2 | 過酸化マグネシウム酸化マグネシウム | 酸に溶ける |
BaO2 | 過酸化バリウム酸化バリウム | 有毒 無機過酸化物ではで最も安定 |
過去問で出た内容を再現してみます。
過去問での出題例
過酸化ナトリウムを加熱する際は白金のるつぼを用いる?
なんかこの問題ってテンプレ的によく出るよな。
作問者さんは「るつぼコレクター」なんでしょうかね…?
危険物乙1 無機過酸化物の貯蔵取扱・消火方法
【乙1 酸化性固体】
無機過酸化物
貯蔵取扱
消火方法
危険物乙1 試験に向けた覚え方
危険物 第一類(乙1)物質の無機過酸化物の貯蔵取扱と消火方法を見ていきます。
無機過酸化物は「何をするにも水はNG」なので、それを押さえておけば試験対策もブレないです。
無機過酸化物に水はダメゼッタイ!
無機過酸化物の貯蔵・取扱い
無機過酸化物の貯蔵方法は非常にシンプルです。
- 日光を避けて冷暗所に保管
- 容器は密栓する
- 水・湿気は絶対NG
- 酸との混触
- 可燃物・有機物との接触
- 加熱・衝撃・摩擦
過去問で出た内容を再現してみます。
過去問での出題例
過酸化ナトリウムの貯蔵は水で湿潤な状態を保つ?
危険物の一般的な貯蔵方法で、水と酸に気をつければいいんだな。
無機過酸化物の消火方法と消火剤
無機過酸化物の消火方法は「窒息消火のみ」です。水・泡系の消火方法は絶対NGです。
- 砂・岩での窒息消火※1
- 粉末消火剤での窒息消火※2
- 水・泡系での消火
- 二酸化炭素※3
- ハロゲン化物
※1:膨張真珠岩・膨張ひる石・乾燥砂での窒息消火は多くの危険物の消火に有効。
※2:リン酸塩類の粉末消火剤を使用すると反応して状況が悪化する。
※3:乙1物質は二酸化炭素が持つ酸素を奪って燃焼を継続するので使用不可。
過去問で出た内容を再現してみます。
過去問での出題例
過酸化ナトリウムの消火は水を使わない窒息消火が有効?
無機過酸化物は貯蔵も消火も水NGだから判り易いな。
だから無機過酸化物に水はダメゼッタイなんですよね。
危険物乙1 無機過酸化物の試験対策
このページで出てきた内容から試験対策に使える疑似問題を作ってみました。
問題右端の+ボタンで答えが出てきます。
問1
無機過酸化物の性状等で間違いの数は?
①.炭素(C)を含むものがある
②.過酸化カリウムは潮解性がある
③.非常によく燃える
④.過酸化ナトリウムはアルコールに可溶
⑤.摩擦や衝撃には安定している
間違っているのは4つ、①③④⑤でした。
問2
過酸化ナトリウムの取扱・消火で正解の数は?
①.湿気に強いので紙袋に入れた
②.分解抑制のために酸性の液体に浸した
③.保管容器が重いので投げた
④.加熱する際に白金るつぼを使った
⑤.可燃物と一緒に燃えたので水をかけた
正しいのはありません。全部やってはダメなことですね。
問3
過酸化バリウムの性状で誤りはどれ?
①.黒紫色の結晶性粉末
②.融点は450℃前後
③.800℃前後で分解して酸素を放出
④.無機過酸化物の中で最も安定
⑤.主な使途は漂白剤
誤っているものは①、正しくは白色または灰色
過去問だと無機過酸化物は消火の問題を見た事ねーなぁ。
まあ簡単すぎるので問題にするまでも無いんでしょーね。
危険物 第一類(乙1)の物質で指定されている無機過酸化物:過酸化カリウム・過酸化ナトリウム・過酸化カルシウム・過酸化マグネシウム・過酸化バリウムについてはここで一区切りです。
お疲れさまでした!
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