このページは運行管理者の試験対策のうち、貨物自動車運送事業法:過労運転と過積載の防止・事故報告と速報・運転者への指導監督・点呼と運行指示書・運行に係る書類と記録について書いています。
貨物自動車運送事業法の前半はコチラ!
- 過労運転と過積載の防止
- 事故報告と速報
- 運転者への指導監督
- 点呼と運行指示書
- 運行に係る書類と記録
貨物自動車運送事業法の後半だな。
前半と同じく4問分・8つの試験対策をしていきます。
デカいのは点呼だっけか?
ですねー。点呼は試験終盤でも再登場するので…
早速はじめましょう!
貨物自動車運送事業法 過労運転等と過積載の防止
【難易度:並】
過労運転
過積載
運行管理者目線で押さえるポイント
過労運転の防止等
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第三条に「過労運転の防止」が定められています。
ここの試験対策は「運転者の選任そもそも論」であったり、「労働基準法が絡むもの」が含まれたりでややこしいです。
試験対策に特化した要点まとめ表にします。
要点 | 過労運転の防止等に定める基準・内容 |
---|---|
① 運転者の選任 | 事業者は、事業計画に従い、必要な員数の運転者を常時選任しておかなければならない ただし、以下の人は選任してはダメ 1.日々雇い入れられる者 2.2か月以内の期間を定めて使用される者 3.試用期間中で勤務開始から14日経過しない者 ※14日経過していれば選任OK |
② 施設の整備等 | 事業者は、運転者等が休憩・睡眠に必要な施設を整備し、適切に管理・保守する 以下の場合、有効に利用できる施設に該当しないと見る 1.寝具等の必要な設備が備えられていない施設 2.施設・寝具等が不潔な状態にある施設 |
③ 勤務時間 | 1回の運行の勤務時間は144時間を超えてはならない 144時間=24時間×6日(1週間の最大勤務日数と時間) |
④ 乗務の禁止 | ■酒気帯び 呼気中のアルコール濃度が0.0mg/㎖でないと乗務NG ■体調不良等 事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病・疲労・睡眠不足で安全な運転が できない人は乗務NG |
⑤ 交代運転者 | 事業者は、運転者が長距離または夜間の運転に従事する場合、疲労等によって 安全な運転を継続できない恐れがある場合、予め交代するための運転者を配置する |
⑥ 特別積合せ 貨物運送 | ※前半:事業の種類で出てきた「要は宅配便」の業務について 事業者は、特別積合せ貨物運送の運行で起点から終点までの距離が100㎞を超えるごと に基準を定めて運転者へ適切な指導・監督をする 1.主な地点間の運転時分および平均速度 2.乗務員が休憩または睡眠をする地点および時間 3.交代するための運転者を配置する場合、交代する地点 |
量は多めだが聞いた事のあるものがほとんどだな。
運行管理者試験の過去問では間違いさがしの問題が出題されています。
■問.過労運転の防止等についての法令の定めに関し、誤っているものを1つ選びなさい。
1.事業者は、事業計画に従い業務を行うに必要な員数の運転者を常時選任し、選任する運転者は、日々雇い入れられる者、2ヵ月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)はダメ。
2.事業者は、休憩又は睡眠のための時間及び勤務が終了した後の休息のための時間が十分に確保されるように、国土交通大臣が告示で定める基準に従い、運転者の勤務時間及び乗務時間を定め、当該運転者にこれらを遵守させる。
3.特別積合せ貨物運送を行う事業者は、当該特別積合せ貨物運送に係る運行系統であって起点から終点までの距離が200㎞を超えるごとに、所定の事項について事業用自動車の乗務に関する基準を定め、かつ、当該基準の遵守について乗務員に対する適切な指導及び監督を行う。
4.事業者は、運転者が長距離運転又は夜間の運転に従事する場合、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがある時は、予め当該運転者と交替するための運転者を配置しておく。
誤っているものは3です。
キーワードで特別積合せと出たら「100㎞」を連想するようにしましょう。
過労運転の防止は過去問で毎回確実に出題されています…!
貨物の積載と過積載の防止
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第四条~第六条に「過積載・積載方法等」が定められています。
貨物の積載方法等
①偏荷重を生じさせない
②落下防止のためにロープやシートで必要な措置を講じる
③車庫は営業所へ併設するのが基本(距離は2㎞までは許容)
④車両総重量8tまたは最大積載量5t以上の事業用自動車は「乗務等の記録」へ貨物の積載状況を記載する
①②③は全ての事業用自動車に共通、④のみ車両サイズでの違いが出ています。
過積載関連の禁止事項
・過積載を前提する運送の引受
・過積載を前提とする運行計画の作成
・過積載での運送の指示
・過積載の防止について適切な指導監督をしない事
事業者が過積載で運送したのが荷主指示であった場合、国土交通大臣が荷主へ「再発防止の措置を執るよう勧告」します。
禁止事項は当然の事だよなあ…
運行管理者試験の過去問では間違いさがしの問題が出題されています。
■問.貨物の積載等に関し、誤っているものを1つ選びなさい。
1.国土交通大臣は、事業者が過積載による運送を行ったことで、貨物自動車運送事業法の規定による命令又は処分をする場合、当該命令又は処分に係る過積載による運送が荷主の指示に基づき行われたことが明らかであると認められ、かつ、当該事業者に対する命令又は処分のみによっては当該過積載による運送の再発を防止することが困難であると認められるとき、当該荷主に対しても、当該過積載による運送の再発の防止を図るため適当な措置を執るべきことを勧告することができる。
2.事業者は、運送条件が明確でない運送の引受け、運送の直前若しくは開始以降の運送条件の変更、荷主の都合による集貨地点等における待機又は運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転又は過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、及び協力して、適正な取引の確保に努める。
3.事業者は、車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の普通自動車である事業用自動車に乗務した場合、貨物の積載状況を当該乗務を行った運転者ごとに乗務等の記録をする。
4.事業者は、事業用自動車に貨物を積載するときに偏荷重が生じないように積載するとともに、運搬中に荷崩れ等により事業用自動車から落下することを防止するため、貨物にロープ又はシートを掛けること等必要な措置を講じなければならない。この措置は、車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の事業用自動車に限られる。
誤っているものは4です。
荷物の落下防止の措置に車両総重量や最大積載量は関係ありませんね。
間違った選択肢には「要らんこと」が付け加えられてるのが多いです。
貨物自動車運送事業法 事故報告と速報
【難易度:並】
事故報告
速報
運行管理者目線で押さえるポイント
事故の報告 定義と報告書
貨物自動車運送事業法 第二十四条には「事故の報告」について定められています。
まず、「重大な事故」を起こした際は30日以内に国土交通大臣へ3通の事故報告書を提出しなければなりません。
重大な事故の定義を表に纏めます。
事故 | 重大な事故に該当する内容 |
---|---|
① 転覆 転落 | 1.自動車が35度以上の転覆 2.自動車が道路外に0.5m以上の転落 3.積載したコンテナを落下させた |
② 衝突 接触 | 1.自動車が鉄道と接触または衝突 2.10台以上の自動車と接触または衝突 |
③ 負傷 死傷 | 1.10人以上の負傷者が生じた 2.死者または重傷者を生じた |
④ 火災 漏えい | 1.自動車または積載物が燃えた 2.危険物・火薬類・高圧ガスが飛散・漏洩 |
⑤ 法令違反 | 1.酒気帯び運転・無免許運転・大麻・無資格 2.救護義務違反(ひき逃げ・当て逃げ) |
⑥ 疾病 運行不能 | 1.運転者の疾病により運転の継続不能 2.自動車の故障により運行の継続不能 3.車輪の脱落・被けん引車の分離 |
⑦ 鉄道 高速道路 | 1.鉄道施設を損傷し3時間以上の運休 2.高速・自動車専用道路で3時間以上の通行禁止 |
重傷者の定義
①腕・足・脊柱の骨折
②内臓破裂
③14日以上の入院
④1日以上の入院+30日以上の治療
※軽傷=入院ナシ・11日以上の治療
事故報告は過去問でもよく出るんだよな。
運行管理者試験の過去問では正しいものを複数選択する問題が出題されています。
■問.自動車事故報告規則に基づき国土交通大臣への報告を要するものを2つ選びなさい。
1.高速自動車国道を走行中の事業用けん引自動車のけん引装置が故障し、事業用被けん引自動車と当該けん引自動車が分離した。
2.事業用自動車の運転者がハンドル操作を誤り、当該事業用自動車が道路の側壁に衝突した。その衝撃により積載されていた消防法第2条第7項に規定する危険物である灯油の一部が道路に漏えいした。
3.事業用自動車が右折の際、原動機付自転車と接触し、当該原動機付自転車が転倒した。この事故で、当該原動機付自転車の運転者に通院による30日間の医師の治療を要する傷害を生じさせた。
4.事業用自動車が雨天時に緩い下り坂の道路を走行中、先頭を走行していた自動車が速度超過によりカーブを曲がりきれずにガードレールに衝突する事故を起こした。そこに当該事業用自動車を含む後続の自動車が止まりきれずに次々と衝突する事故となり、8台の自動車が衝突したが負傷者は生じなかった。
報告を要すものは1・2です。
負傷者について重症の定義(入院ナシで通院のみの場合は軽傷など)と、人数について確認しておきましょう。
重大のなのは「10台」と「10人」…昭和風のギャグじゃないですよ?
事故の速報
自動車事故報告規則 第四条には「速報」について定められています。
重大事故の中でも特に定められたものは「発生から24時間以内に運輸支局長へ速報」しなければなりません。
速報なので電話・FAX等で速やかに伝え、その後に3通の事故報告書の提出「も」必要です。
速報と事故報「も」要るのか。
速報+事故報告を要す事故
・2人以上の死者
・5人以上の重傷者
・10人以上の負傷者
・危険物等の漏洩
・酒気帯び運転による事故
・その他 社会的影響の大きい事故
人数を押さえたら過去問へ…!
運行管理者試験の過去問では正しいものを複数選択する問題が出題されています。
■問.自動車事故報告規則に基づき運輸支局長等に速報を要するものを2つ選びなさい。
1.消防法に規定する危険物である灯油を積載した事業用のタンク車が、運撤途中の片側1車線の一般道のカーブ路においてハンドル操作を誤り・転覆し・積み荷の灯油の一部がタンクから漏えいする単独事故を引き起こした。
2.事業用自動車が、交差点で信号待ちで停車していた乗用車の発見が遅れ、ブレーキをかける間もなく追突した。この事故で、当該事業用自動車の運転者が30日の医師の治療を要する傷害を負うとともに、追突された乗用車の運転者1人が死亡した。
3.事業用自動車の運転者が一般道路を走行中、ハンドル操作を誤り積載されたコンテナを落下させた。
4.事業用自動車が高速道路を走行中、前方に渋滞により乗用車が停止していることに気づくのが遅れ、追突事故を引き起こした。この事故で、乗用車に乗車していた5人が重傷を負い、当該高速道路の通行が2時間禁止された。
正しいものは1・4です。
人数の死者・重傷者・負傷者の「2・5・10」が思い出せれば楽勝な問題です。
電話とFAXで誰に速報するとか、そういう引っかけは出ないっぽいぞ?
運行管理者試験は「数字遊び」が多いですからね…
貨物自動車運送事業法 指導監督と「人」に関する記録事項
【難易度:並】
指導監督
記録事項
運行管理者目線で押さえるポイント
運転者への指導と監督
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第十条に「指導および監督」が定められています。
指導監督は「一般的なもの」と「特別な指導」に分かれます。
一般的な指導監督
・貨物の正しい積載方法
・過積載の危険性
・健康管理の重要性
・自動車に備えられた非常信号用具や消火器の取扱い
一般的なものは一般論が多いので赤字に注意しておけば良いですが、「特別な指導」は覚える事も出てきます。
指導監督の対象となる運転者を区分・整理します。
運転者 | 定義・対象 |
---|---|
① 事故惹起 運転者 | 1.死傷or重傷者の生じた事故を 起こした者 2.軽傷者を生じた事故を起こし その前3年でも事故惹起した者 |
② 初任 運転者 | 運転者として新たに雇入れた者 ※3年以内に他事業者で運転者に 選任されていた場合は対象外 |
③ 高齢者 | 65歳以上の者 |
事故惹起は「じこじゃっき」って読むんだな。
次に、区分した運転者へどのような指導監督があるか見ていきます。
運転者 | 適性 診断 | 特別な指導 |
---|---|---|
① 事故惹起 運転者 | 特定 診断 | 再度乗務する前に実施 法令等実技以外の座学 合計6時間以上 |
② 初任 運転者 | 初任 診断 | 初めて乗務する前に実施 ①実技以外の座学 合計15時間以上 ②安全運転の実技 合計20時間以上 |
③ 高齢者 | 適齢 診断 | 適齢診断後 1カ月以内 加齢に伴う身体変化と 安全運転を自ら考える |
①②は基本的に「特別な指導を乗務前に実施」ですが、やむを得ない場合は乗務後1カ月以内でOKです。
③の適齢診断は65歳に達した日から1年以内に受診・その後3年以内ごとに1回、定期的な適齢診断を受ける必要があります。
また、①②③共通で指導の記録は3年間保存です。
ここは過去問を解きながら同時進行で覚えていきましょう!
運行管理者試験の過去問では間違い探しの問題が出題されています。
■問.運転者に対して行う特別な指導に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1.事業者は、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転の技術及び法令に基づき自動車の運転に関して遵守すべき事項等について、運転者に対する適切な指導及び監督をする。この場合においては、その日時・場所・内容・指導監督者を記録し、かつ、その記録を営業所において3年間保存する。
2.初任運転者に対する特別な指導は、法令に基づき運転者が遵守すべき事項、事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な運転に関する事項などについて6時間以上実施するとともに、安全運転の実技について15時間以上実施する。
3.事業者は、初任運転者に対する特別な指導について、当該事業者において初めて事業用自動車に乗務する前に実施する。ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1ヵ月以内に実施する。
4.事業者は、法令に基づき事業用自動車の運転者として常時選任するために新たに雇い入れた場合、当該運転者について、自動車安全運転センターが交付する無事故・無違反証明書又は運転記録証明書等により、雇い入れる前の事故歴を把握し、事故惹起運転者に該当するか否かを確認する。
誤っているものは2です。
指導時間で初任運転者は「15・20」で覚えておきましょう。
まあ、数字があればいじって出題してくるよな…
運転者台帳と「人」に関する記録保存
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条~第九条に「記録関連」が定められています。
ここでは先に出た「特別な指導」と関連のある「運転者台帳」について見ておきます。
運転者台帳は基本的に「履歴書+仕事関連の記録簿」をイメージしておくのでOKです。。
運転者台帳の記載事項
①作成番号・作成年月日
②事業者の氏名または名称
③運転者の氏名・生年月日・住所
④雇入年月日・運転者への選任年月日
⑤運転免許に関する事項
⑥事故惹起の通知を受けた場合の事故概要
⑦運転者の健康状態
⑧適性診断の受診状況
⑨特別の指導の実施状況
⑩顔写真(6カ月以内に撮影)
事業者はこの運転者台帳を「運転者の所属する営業所に備え置き」ます。
また、運転者が退職した場合・運転者でなくなった場合は理由を記載し、その日から3年間保存します。
試験で運転者台帳については「運行管理者の業務」の中で登場する事が多いです!
何か3年間保存っていうのが多くねーか?
人に関わる記録保存は全て3年間
貨物自動車運送事業法の前半ページでも整理していましたが、主に人が関わる記録保存は全て3年間と割り切ってしまって良いです。
何の記録 | 保存期間 |
---|---|
主に人が関わる 指導監督・事故関連 運転者台帳 | 3年 |
主に運行に関わる 点呼記録簿 運行指示書・乗務記録 運行記録計 点検整備記録簿 | 1年 |
※主に運行に関わる書類と記録については、書類関連のパートで見ていきます。
この整理は試験対策でかなり使えます!
貨物自動車運送事業法 点呼と運行指示書
【難易度:並】
【超重要】
点呼
運行管理者目線で押さえるポイント
試験終盤にも再登場
点呼と運行指示書について、貨物自動車運送事業法で出題される問題は難しくありませんが、試験終盤では応用問題として再登場します。
なので、ここで基本を押さえておき、試験終盤の応用問題に対応できるよう準備しておきましょう。
ここを飛ばすと終盤で苦戦するかもです…!
乗務前点呼・乗務後点呼・中間点呼は運行管理者の主たる業務
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第七条で「点呼」について定められています。
運行管理者または補助者が行う点呼は大きく分けて3つ、「乗務前点呼」・「中間点呼」・「乗務後点呼」です。
点呼の原則と考え方
・対面での点呼実施が原則
・実施結果にNG項目があれば乗務させない
・やむを得ない場合は電話等でOK
・メールやLINEは点呼として認めない
・以下の場合は「やむを得ない」ではない
・車庫と営業所が離れている
・早朝や深夜で運行管理者がいないの
先に基本となる乗務前点呼・乗務後の点呼の実施項目について整理します。
点呼の 実施項目 | 乗務前 点呼 | 乗務後 点呼 |
---|---|---|
の有無 | 酒気帯び||
睡眠不足 | 疾病・疲労||
の状況 | 日常点検||
の状況 | 自動車・道路||
通告事項 | 交代運転者へ||
必要な指示 を与える |
それぞれの実施項目について、試験対策となる事を見ていきましょう!
酒気帯びの有無について
酒気帯びの有無はアルコール検知器を使って判定しますが、試験対策としては注意する事が何気に多いです。
点呼:酒気帯びの有無
①運行管理者は運転手の状態を目視等する
・「等」には息のニオイをかぐのも含む
②アルコール検知器は国の基準に合う物を
・基準外の検知器を使用した点呼は無効
③営業所か車両に備えられた検知器を使用
・備えられた検知器でないと点呼は無効
④呼気中アルコールが検出されたら乗務NG
・測定値0.0mg以外は乗務NG
⑤検知器は毎日、電源と損傷を確認
⑥検知器は週1回以上、動作確認
⑦運転者が遠隔地で終業または始業する場合、携帯型アルコール検知器を携行させる
⑤⑥⓻も運行管理者の業務だな。
疲労・疾病・睡眠の状況について
運転者の状態は「目視等での確認」が求められます。
点呼:目視等での確認事項
・運転者の顔色
・眼の充血
・睡眠不足による諸症状
・応答の声の調子等
遠隔の場合、ビデオ通話での「目視等」もOKです。
Gマーク認定が必須のIT点呼
遠隔の点呼に関し、輸送の安全に関する取組が「優良」であり、Gマーク認定の営業所は国が定めた基準を満たすIT機器を使用できます。
IT機器を使用した点呼なので「IT点呼」と呼ばれます。
IT点呼の実施は映像付きの通話をする事となるので「対面」での点呼と同等と見なされます。
IT点呼をできる営業所
(以下の全てを満たす)
・Gマーク認定されている
・営業所の開設から3年以上経過
・過去3年の間に事故がない
・過去3年の間に行政処分等がない
・直近の総合評価「D・E以外」
・点呼の項目は「適」判定
IT点呼は「自社またはグループ企業間でGマーク認定の営業所や車庫同士」に限定されます。
自社内でもGマーク認定のない営業所・車庫はIT点呼できません。また、IT点呼の記録は「する側・受ける側 双方の拠点で」の保存が必要です。
IT点呼の1日の連続時間は、労働基準法で定める1日の拘束時間と連動し「1日16時間まで」と定められています。
記録を「双方の拠点で」ってのが重要らしいな。
中間点呼:2泊3日以上の運行で必要となる追加の点呼
長距離運行で「出発日とその翌日で乗務前点呼・乗務後点呼の両方を対面で出来ない場合」は中間点呼が必要です。
なので中間点呼は1泊2日の運行までは必要なく、2泊3日以上の運行から必要となります。
点呼の 実施項目 | 乗務前 点呼 | 中間 点呼 | 乗務後 点呼 |
---|---|---|---|
酒気帯び の有無 | |||
睡眠不足 | 疾病・疲労|||
の状況 | 日常点検|||
の状況 | 自動車・道路|||
通告事項 | 交代運転者へ|||
必要な指示 を与える |
中間点呼で「する事」は、酒気帯びの有無確認と必要な指示のみです。実施方法は「電話でOK」です。
中間点呼は3日間にかかる運行から必要です!
中間点呼とセットの運行指示書
中間点呼が必要となる3日間以上にかかる運行では「運行指示書」の作成が必要です。
運行指示書の記載事項
①運行開始・終了の地点と日時
②乗務員の氏名
③経路と主な経由地の発着日時
④要注意箇所の位置
⑤休憩地点と休憩時間
⑥交代がある場合は交代地点
⑦その他 安全確保に必要な事項
⑧記録の保存は「運行終了日」から1年間
運行管理者は運行指示書を作成したら、運転者へ携行させ・写しを営業所へ備え置きます。
記載事項に特別なモノは無さそうだが…
運行指示書の試験対策で重要なのは、運行中に変更が生じた場合です。
運行中に変更が生じた場合
(運行管理者は…)
・運行指示書の写しへ変更内容を記載
・運転者へ変更内容を伝える
(運転者は…)
連絡を受けた変更内容を携行している運行指示書へ記載
※記載の省略は不可、試験で問題文に注意
また、もともとは1泊2日の運行予定が2泊3日以上となった場合、運行管理者は後追いで運行指示書を作成し運転者へ適切な指示をします。
運行を終えてから1年間保存!
点呼について運行管理者試験の過去問では正しいものを全て選択する問題が出題されています。
■問.点呼に関する次の記述のうち、正しいものをすべて選びなさい。
1.運転者が所属する営業所において、対面により乗務前の点呼を行う場合は、法令の規定により酒気帯びの有無について、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等を目視等により確認するほか、当該営業所に備えられたアルコール検知器を用いて確認を行う。
2.乗務前の点呼は、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法)により行う。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該事業者は、国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
3.乗務終了後の点呼においては、「道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項の規定による点検(日常点検)の実施又はその確認」について報告を求め、及び確認を行う。
4.2日間にわたる運行(1日目の乗務が営業所以外の遠隔地で終了し、2日目の乗務開始が1日目の乗務を終了した地点となるもの。)については、1日目の乗務後の点呼及び2日目の乗務前の点呼のいずれも対面で行うことができないことから、2日目の乗務については、乗務前の点呼及び乗務後の点呼(乗務後の点呼は対面で行う。)のほかに、当該乗務途中において少なくとも1回電話その他の方法により点呼(中間点呼)を行う。
正しいものは1・2です。
なんかモノ足りないからもう一問いくか…
運行指示書について運行管理者試験の過去問では正しいものを選択する問題が出題されています。
■問.運行指示書による指示等に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1.事業者は、法令の規定により運行指示書を作成した場合には、当該運行指示書を、運行を計画した日から1年間保存する。
2.事業者は、運行指示書の作成を要する運行の途中において、「運行の経路並びに主な経過地における発車及び到着の日時」に変更が生じた場合には、運行指示書の写しに当該変更の内容を記載し、これにより運転者に対し電話その他の方法により、当該変更の内容について適切な指示をする。この場合、当該運転者が携行している運行指示書への当該変更内容の記載を省略させてもよい。
3.事業者は、運行指示書の作成を要しない運行の途中において、事業用自動車の運転者に乗務前及び乗務後の点呼のいずれも対面で行うことができない乗務を行わせることとなった場合には、当該乗務以後の運行について、所定の事項を記載した運行指示書を作成し、及びこれにより当該運転者に対し電話その他の方法により適切な指示をする。
4.事業者は、乗務前及び乗務後の点呼のいずれも対面で行うことができない乗務を含む運行ごとに、「運行の開始及び終了の地点及び日時」等の所定の事項を記載した運行指示書を作成し、これにより事業用自動車の運転者に対し適切な指示を行い、及びこれを当該運転者に携行させる。
正しいものは3・4です。
運行指示書は中間点呼とセットって覚えとくと間違えにくいな。
点呼関連は試験終盤でも再登場するので丁寧に攻略しましょう!
貨物自動車運送事業法 運行に係る書類と記録
【難易度:易】
書類と記録
運行管理者目線で押さえるポイント
乗務の記録:車が大きくなると書く事も増える
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条で「乗務の記録」について定められています。
乗務の記録は「運転者ごとに記録」し「記録保存は1年間」です。
乗務の記録 基本事項
(車両総重量・最大積載量を問わず)
①運転者氏名と車のナンバー
②乗務開始・終了地点と日時+経過地点
③運転の交代があれば地点と日時
④10分以上の休憩・睡眠の地点と日時
⑤事故が発生した場合は概要と原因
⑥著しい運行の遅延・異常発生の場合は概要と原因
⑦運行途中で運行指示書の携行が必要となった場合、連絡を受けた指示内容
また、車両総重量8tまたは最大積載量5t以上のトラックである場合、乗務の記録に「貨物の積載状況も」記載する必要があります。
ざっくりとで考えれば「中型以上は貨物の積載状況も書く」と整理してしまいましょう。
乗務の記録
中型・大型トラックは…
①貨物の積載状況
②荷主都合で30分以上待機した場合は以下
・集貨地点と発着日時
・荷主が日時指定した場合は日時
(あれば追記)
・荷役の開始および終了日時
・附帯業務の開始および終了日時
試験対策としては、これらの項目全てを暗記する必要はなく「基本事項+貨物の積載状況関連」を押さえればOKです。
あくまで「乗った記録」だから変な項目はないな。
運行記録計による記録:最大積載量4t以上と特別積合せ貨物運送(宅配便)
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条で「運行記録計による記録」について定められています。
運行記録計による記録は「瞬間速度・運行距離・運行時間を記録」します。
運行記録計による記録が必要
①車両総重量7t以上or最大積載量4t以上
②特別積合せ貨物運送
③記録の保存は運行終了日から1年間
運行記録計の管理は運行者の業務であるので、「運行管理者の業務一覧」と絡めて覚えておくと良いです。
運行記録計は最大積載量4t以上で要記録です!
事故の記録:物損も記録の対象である事にご用心!
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第九条の二で「事故の記録」について定められています。
事故の記録は事故のあった日から「3年間の記録保存」です。
事故の記録 記載事項等
①車のナンバー
②事故発生日時と場所
③事故当事者の氏名
④事故の概要と原因
⑤事故の再発防止策
⑥記録の保存は事故発生日から3年間
事故=人身事故に限定と思い込みがちですが、事故の記録は「物損についても記録を残す」のが絶対です。
物損で記録を残さないで修繕費用を運転手の給料から引くとか論外だよなぁ…
あー…前にいた会社でそうなってた人がいたんですよね…
それ、運転手の飼い殺しだよな…
記録の期間 まとめと試験対策
試験対策も兼ねて「記録の期間とその契機」について整理します。
まず記録の保存期間は「人・事故関連は3年」というのを思い出しながら「日々の運行関連は1年」と粗く整理しています。
何の記録 | 保存期間 |
---|---|
主に人が関わる 指導監督・事故関連 運転者台帳 | 3年 |
主に運行に関わる 点呼記録簿 運行指示書・乗務記録 運行記録計 点検整備記録簿 | 1年 |
次に、日々の運行関連の記録の契機(いつから)を整理します。
書類 | いつから1年間? | NG |
---|---|---|
点呼 記録簿 | 点呼した日 | 点呼の捏造 改竄 |
運行 指示書 | 運行を終えた日 | 運行を 計画した日 |
乗務 記録 | 乗務した日 | 乗務を 計画した日 |
運行 記録計 | 運行した日 | タコ切り |
考え方として「実施日・終えた日」から1年間と見ておけばブレないです。
過去問でも運行指示書は「運行を計画した日から1年保存」と引っかけが出ています。
運行管理者試験の過去問では間違い探しをする問題が出題されています。
■問.乗務等の記録についての次の記述のうち、誤っているものを2つ選びなさい。
1.車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の普通自動車である事業用自動車に乗務した場合、「貨物の積載状況」を「乗務等の記録」に記録する。ただし、当該乗務において、法令の規定に基づき作成された運行指示書に「貨物の積載状況」が記載されているときは、「乗務等の記録」への当該事項の記録を省略できる。
2.休憩又は睡眠をした場合、その地点及び日時を当該乗務を行った運転者ごとに「乗務等の記録」(法令に規定する運行記録計に記録する場合は除く。以下同じ。)に記録させる。ただし、10分未満の休憩については、その記録を省略できる。
3.車両総重量が7トン以上又は最大積載量が4トン以上の普通自動車である事業用自動車に乗務した場合、荷主の都合により集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。)で 30分以上待機したときは、①集貨地点等、②集貨地点等に到着した日時、③集貨地点等における積込み又は取卸しの開始及び終了の日時、④集貨地点等から出発した日時等を、当該乗務を行った運転者ごとに「乗務等の記録」に記録させる。
4.道路交通法に規定する交通事故若しくは自動車事故報告規則に規定する事故又は著しい運行の遅延その他の異常な事態が発生した場合、その概要及び原因について、当該乗務を行った運転者ごとに「乗務等の記録」に記録をさせる。
誤っているものは1・3です。
車両総重量と最大積載量が…?
もう一問、複数の書類のオムニバス形式の問題をやってみます。
■問.運行の記録等に関する次の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。
1.事業者は、特別積合せ貨物運送に係る運行系統に配置する事業用自動車に係る運転者の乗務について、運行記録計による記録を行う。
2.事業者は、法令の規定により運行指示書を作成した場合には、当該運行指示書及びその写しを、運行の終了の日から1年間保存する。
3.貨物自動車運送事業輸送安全規則に定める「事故の記録」として記録しなければならない事故とは、死者又は負傷者を生じさせたものと定められており、物損事故については、当該記録をしなければならないものに該当しない。
4.運転者の乗務について、事故又は著しい運行の遅延その他の異常な事態が発生した場合にあっては、その概要及び原因を「乗務等の記録」に記録させ、その記録を1年間保存する。
誤っているもの3はです。
色んな書類をまたいで出題されると初見はキツいな。
だからこその「整理してざっくり覚える」です。
貨物自動車運送事業法の攻略ポイントはここまでです。
お疲れ様でした!
貨物自動車運送事業法 おわりに
貨物自動車運送事業法はボリュームが大きいけど、理解不能な謎ルールではないんだ。
そうですね、良くも悪くも「決められた事・当たり前の事」ばかりです。
貨物自動車運送事業法って試験終盤でも出てくるんだよな…?
出ますけど「実務ではどうする?」っていう問い方なので覚える事は増えないです。
じゃあ日々の業務を思い出せばやれるんかな。
うーん…その会社が点呼とかを「ちゃんとやっていれば」ですけど…
…わたしが前にいた会社は法令順守の面で確実にアウトだったな…
そーか。次は道路運送車両法だっけか。
ですねー。車両法は論点が少ないのですぐ終わります。
よし、ぼちぼちと車両法も覗いてみるかね。
次のページでは道路運送車両法について試験対策をしていきます!
■運行管理者 ページ一覧
①:運行管理者の概要
②:貨物自動車運送事業法(前半)
③:貨物自動車運送事業法(後半) ◀◀ NOW
④:道路運送車両法
⑤:道路交通法
⑥:労働基準法
⑦:実務上の知識及び能力
⑧:運行管理者(貨物)過去問 R3-CBT