危険物乙1-硝酸塩類:硝酸アンモニウム等の性状・貯蔵取扱・消火方法

危険物 第一類(乙1)の物質で指定されている硝酸塩類:硝酸カリウム・硝酸ナトリウム・硝酸アンモニウムの性状・取扱い・消火に関するページです。

このページで出てくる物質は・・・
  1. 硝酸カリウム
  2. 硝酸ナトリウム
  3. 硝酸アンモニウム
おっさん

硝酸って酸化性の液体で乙6物質だったよな。

でぃでぃ

こっちの乙1で出てくるのは硝酸と金属とかの「エン」です。だから硝酸塩類っていう括りですね。

おっさん

乙1物質って乙6×乙3のモノとか多いよな。

でぃでぃ

それが読めてくると少し勉強が楽しくなるかもですよ?

おっさん

乙1やってて思ったけど、乙3とかを先に勉強した方が楽なんじゃね?

でぃでぃ

その見方も間違ってはないです。ただ、乙1の勉強が面倒くさいのは変わらずで…

INDEX

危険物乙1 硝酸塩類の概要

【乙1 酸化性固体】
硝酸塩類
物質概要
危険物乙1 試験に向けた覚え方

このページの本編に入る前に物質の基本情報を確認します。

基本情報:硝酸塩類
  • 全て不燃性の固体※1
  • 程度の差はあるが水に溶ける
  • 全て水より重い
  • 貯蔵は酸と隔離する
  • 日光を避けて冷暗所に保管
  • 消火に水・泡系はNG※2
  • 窒息消火が有効※3
補足:硝酸塩類

※1:乙1物質そのものは燃えず助燃剤として可燃物の燃焼を支援する。

※2:消火に水を使うと爆発して消火困難となる。

※3:砂・岩・炭酸水素塩類を使用。

どれも塩素酸塩類過塩素酸塩類等と同じく有機物や硫黄などと混ぜて摩擦すると爆発する事があって危ないです。

硝酸カリウムについて

硝酸カリウムは硝酸と金属カリウムの化合物で、硝石(しょうせき)とも呼ばれる。

無色の固体で、他の類の危険物同士の合いの子。

【用途】
花火(炎色:赤紫)・黒色火薬の材料・防腐剤

【関連物質】
乙3:カリウム
乙6:硝酸

硝酸ナトリウムについて

硝酸ナトリウムは硝酸と金属ナトリウムの化合物。

無色の固体で、他の類の危険物同士の合いの子。

【用途】
爆薬・ガラス・医薬品・肥料

【関連物質】
乙3:ナトリウム
乙6:硝酸

硝酸アンモニウムについて

硝酸アンモニウムは硝酸とアンモニアの化合物で、硝安(しょうあん)とも呼ばれる。

無色の固体で、色々な事に使われるが安全な物質ではないので事故も起こる。

某社のエアバッグ不具合の問題では硝酸アンモニウムの使用が重要な論点となった。

【用途】
爆薬・肥料・保冷剤

【関連物質】
乙6:硝酸
高圧ガス:アンモニア

おっさん

乙1物質は助燃性くらいに見ていたけど、爆薬になるのもあって割とおっかねーな。

でぃでぃ

そーですよ。硝安とか火薬類免状持ちが取扱う物質なので油断は禁物するとドカンです。

危険物 乙1 硝酸塩類の性状

【乙1 酸化性固体】
硝酸塩類
性状
危険物乙1 試験に向けた覚え方

危険物 第一類(乙1)物質の硝酸塩類の性状を見ていきます。

硝酸塩類も金属塩またはアンモニウム塩で、あまり特徴がないのが特徴のような物質です。

でぃでぃ

こういうのって覚えにくいんですよね…

硝酸塩類の性状①溶解性

硝酸塩類が「何に溶けるか」を整理します。

項目項目の意味
物質名物質の名称
(下段は化学式)
外観物質(結晶・粉末)の色
冷水溶冷たい水に溶けるか
熱水溶お湯に溶けるか
Alc溶アルコールに溶けるか
潮解性潮解性の有無
乙1物質の溶解性

〇=よく溶ける
△=あまり溶けない・僅かに溶ける
✕=溶けない

硝酸カリウム・硝酸ナトリウム・硝酸アンモニウム、それぞれの溶解性を一覧にします。

スクロールできます
物質名外観冷水溶熱水溶Alc溶潮解性
硝酸カリウム
KNO3
硝酸ナトリウム
NaNO3
硝酸アンモニウム
NH4NO3
無・白
硝酸塩類の溶解性

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

硝酸アンモニウムは白色の結晶で水にはあまり溶けない?

答え:違う。水によく溶ける。

でぃでぃ

何か掴みどころがないですね…

硝酸塩類の性状②数値系と特記事項

硝酸塩類の数値系と特に覚えるべき事をまとめます。

スクロールできます
物質名外観比重融点分解点
硝酸カリウム
KNO3
2.1333℃400℃
硝酸ナトリウム
NaNO3
2.3308℃380℃
硝酸アンモニウム
NH4NO3
無・白1.7165℃210℃
硝酸塩類の数値系 外観は上の表から再掲

乙1試験対策で硝酸塩類は…

・色は全て白または無色
・比重は全て1より大きく水より重い
基本的に水とアルコールに溶ける
 ・硝酸カリウムだけ溶けにくい
・分解点は硝酸アンモニウムが低い
 ・金属塩ではないので若干低め

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

硝酸アンモニウムは約210℃で分解する?

答え:その通り。他のアンモニウム塩も200℃前後で分解するのでセットで覚える

おっさん

またアンモかよ…

続いて硝酸塩類の特記事項を見ていきます。

スクロールできます
物質名外観生成物特記事項
硝酸カリウム
KNO3
火災時に有毒ガスを発生
黒色火薬の材料
硝酸ナトリウム
NaNO3
防水性の紙袋に保存可
硝酸アンモニウム
NH4NO3
無・白アンモニア
一酸化二窒素
水溶液とガスは腐食性
水への溶解時は吸熱反応

アルカリ性物質と混合するとアンモニアを放出
硝酸塩類の生成物と特記事項

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

黒色火薬は硝酸カリウムと硫黄などを混合したもの?

答え:その通り。黒色火薬と出たら硝酸カリの事と見て良い

おっさん

硝酸カリウムは肥料の原料かと思えば危険な用途もあるんだな…

でぃでぃ

硝酸カリも黒色火薬の材料として重要ですからね。

危険物乙1 硝酸塩類の貯蔵取扱・消火方法

【乙1 酸化性固体】
硝酸塩類
貯蔵取扱
消火方法
危険物乙1 試験に向けた覚え方

危険物 第一類(乙1)物質の硝酸塩類の貯蔵取扱・消火方法を見ていきます。

硝酸塩類の扱いは「塩素酸塩類と同じ」と割り切って良いです。

でぃでぃ

ここは他の乙1物質と同じく流していきましょう!

硝酸塩類の貯蔵・取扱い

硝酸塩類の貯蔵方法は非常にシンプルです。

適切:硝酸塩類
  • 日光を避けて冷暗所に保管
  • 容器は密栓する
不適切:硝酸塩類
  • 可燃物・有機物との接触
  • 酸との混触
  • 加熱・衝撃・摩擦

無機過酸化物「以外の」乙1物質と同じです。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

硝酸アンモニウムを灯油中に保存するのは良いか?

答え:良くない。可燃物との接触厳禁

おっさん

これは乙1物質の基本だよな…

過塩素酸塩類の消火方法と消火剤

硝酸塩類の消火方法は「水・泡系」と「窒息消火」が基本です。

基本:硝酸塩類の消火
  • 水・泡系での消火
  • 砂・岩での窒息消火※1
  • 粉末消火剤:リン酸塩類
  • 二酸化炭素※2
  • ハロゲン化物
  • 粉末消火剤:炭酸水素塩
補足:硝酸塩類の消火

※1:膨張真珠岩・膨張ひる石・乾燥砂での窒息消火は多くの危険物の消火に有効。

※2:乙1物質は二酸化炭素が持つ酸素を奪って燃焼を継続するので使用不可。

過塩素酸塩類を含むほとんどの乙1物質の消火に水OK、無機過酸化物だけ水NGです。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

硝酸カリウムの火災にハロゲン化物を使用して良い?

答え:良くない。乙1物質とハロゲン化物は「おかしな反応」をするので使わない

おっさん

これも乙1の基本だよな…

でぃでぃ

無機過酸化物以外の乙1物質と同じでOKです!

危険物乙1 硝酸塩類の試験対策

このページで出てきた内容から試験対策に使える疑似問題を作ってみました。

問題右端の+ボタンで答えが出てきます。

問1
硝酸カリウムの間違いの数は?
 ①.黒色火薬の材料として使われる
 ②.加熱すると水素を発生する
 ③.水によく溶ける
 ④.アルコールによく溶ける
 ⑤.消火には大量注水が有効である

間違っているのは2つ、②④でした。

問2
硝酸ナトリウムの正解の数は?
 ①.水に溶けない
 ②.潮解性がある
 ③.アルコールに溶ける
 ④.防水性の紙袋に保存できる
 ⑤.分解すると水素を発生する

正しいのは3つ、①⑤は間違いです。

問3
硝酸アンモニウムの間違いの数は?
 ①.水・アルコールに溶ける
 ②.水溶液やガスには腐食性がある
 ③.水への溶解時は発熱反応をする
 ④.アルカリと反応して塩素を発生する
 ⑤.貯蔵は水・アルコールで湿潤にする

間違っているのは3つ、③④⑤でした。

おっさん

硝安の性状だけしっかりやっとけば良さそうだな。

でぃでぃ

まあ硝酸塩類は他に特徴がないですもんね…

危険物 第一類(乙1)の物質で指定されている硝酸塩類:硝酸カリウム・硝酸ナトリウム・硝酸アンモニウムについてはここで一区切りです。

でぃでぃ

お疲れさまでした!

危険物 第一類(乙1)ページ一覧
①:第一類の概要
②:無機過酸化物
③:塩素酸塩類
④:過塩素酸塩類等
⑤:硝酸塩類 ◀◀ NOW
⑥:ハロゲン系の塩類
⑦:重金属の塩類
⑧:その他 政令で定めるもの

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