ユニック車で建材を降ろす。天井クレーンで製品を動かす。この手の作業に必要なのが玉掛け技能講習と小型移動式クレーン運転技能講習です。役割がまったく違う2つの資格で、セットで持っていないと1人で仕事にならないのが厄介なところ。
このページのポイント
・玉掛け=荷にワイヤーを掛け外しする資格。19時間・3日・2.3〜2.9万円
・小型移動式クレーン=クレーンを操作する資格。20時間・3日・3.5〜4万円
・どちらも境目はつり上げ荷重1トン(未満なら特別教育)
・お互いが免除の対象。先に取ったほうが後を短縮するので順番は不問
・ユニック車の仕事はこの2つ+トラックの運転免許で3点セット
おっさんユニック車の求人って給料がいいんだよな。あれ乗るには何がいるんだ?
でぃでぃ3つですね。トラックの免許、クレーンの資格、玉掛けの資格。
おっさん3つ!?そりゃ給料も良くなるわけだ。
でぃでぃとはいえ、クレーンと玉掛けは合わせても6日・6万円くらいなんですよ。免許のほうが桁違いに大変です。
まず「1トン」で資格が変わる
玉掛けもクレーンも、構造は同じです。つり上げ荷重1トンを境に、下なら「特別教育」、上なら「技能講習」。
| つり上げ荷重 | 玉掛け | クレーンの運転 |
|---|---|---|
| 1t未満 | 特別教育 (9時間程度) | 特別教育 (移動式クレーン) |
| 1t以上5t未満 | 玉掛け 技能講習 | 小型移動式クレーン 運転技能講習 |
| 5t以上 | 玉掛け 技能講習 | 移動式クレーン 運転士免許(国家試験) |
ここで間違えやすいのが、基準になるのが吊る荷物の重さではなく、使うクレーンのつり上げ荷重だという点です。500kgの資材しか吊らなくても、車体のつり上げ荷重が2.9tなら技能講習が必要になります。
そして現場のクレーンやユニック車は、2.9t・3tクラスが主力。つまり特別教育だけでは出番がほぼありません。
玉掛け技能講習:19時間か15時間か
クレーンで荷物を吊るとき、ワイヤーやスリングを荷に掛けたり外したりする作業が玉掛けです。地味です。でも落下事故に直結するので、法律で有資格者しかやっちゃダメと決まっています。
| コース | 対象になる人 | 日数 | 内訳 |
|---|---|---|---|
| 19時間 | 資格なし(=ほとんどの人) | 3日 | 学科12h +実技7h |
| 15時間 | クレーン・デリック運転士 移動式クレーン運転士 小型移動式クレーン技能講習 などの修了者 | 2.5日 | 学科9h +実技6h |
受講できるのは満18歳以上。自動車免許も実務経験もいりません。物流・建設系の技能講習ではいちばん入りやすい部類です。
みんな力学で詰まる
学科はクレーンの知識・玉掛用具(ワイヤロープやスリング)の知識・力学・関係法令。実技が玉掛けの方法と合図です。
で、詰まるのは力学。数字が出た瞬間に身構える人が多い。ただ出るパターンは決まっているので、この3つを押さえれば大きくは外しません。
力学でよく出る3点
・質量と重心:形から重心の位置を読む
・つり角度と張力:角度が開くほどワイヤーにかかる力が増える
・安全係数:玉掛用ワイヤロープは6以上、フック・シャックルは5以上
実技は合図と声出しが採点の中心。ワイヤーの掛け方がきれいかどうかより、「危ないことをしていないか」を見られていると思っておけば間違いありません。
おっさん玉掛けって、ワイヤー引っ掛けるだけだろ?なんでそんな厳しいんだよ。
でぃでぃ吊り荷の下に人がいたら洒落になりませんからね。だから講習でも「吊り荷の下に入るな」を延々と言われます。
小型移動式クレーン:20時間か16時間か
こっちはクレーンを操作する側の資格です。「小型」と付いていますが、対象はけっこう広い。
クレーン付きトラック(ユニック車・カーゴクレーン・ローダークレーン)、クレーン機能付きの油圧ショベル、カニクレーン、小型のラフタークレーン。つり上げ荷重1t以上5t未満なら全部これです。
受講区分は2つ。何も持っていなければ20時間(3日)で3.7万円前後。玉掛けか床上操作式クレーン運転技能講習の修了者なら16時間で3.5万円前後です。16時間コースでは「力学に関する知識」と「運転のための合図」が免除されます。
実技は荷振れとアウトリガー
差が出るのは荷振れの止め方です。吊り荷は動かすと必ず振れる。目的地の手前でブームやフックを操作して、その振れを吸収してやる必要があります。講習中に何度でも練習させてもらえるので、遠慮せず数をこなしてください。
もうひとつがアウトリガーの張り出し。転倒事故のほとんどはここが原因なので、「最大まで張り出す」「地盤を確認する」はしつこく見られます。
おっさん面倒くさがって半分しか出さないやつがいるんだよなあ。
でぃでぃそれが本当に危ないんですよ。張り出し不足と旋回中の過負荷。この2つが転倒の二大原因です。
順番は気にしなくていい
おっさん両方取るとして、どっちを先にするのが得なんだ?
でぃでぃそれが、どっちを先に取っても後のほうが短縮されるんですよ。
おっさんなんだ、悩んで損した。
玉掛けと小型移動式クレーンはお互いに免除の対象になっています。玉掛けが先なら小型移動式クレーンが20時間→16時間に、クレーンが先なら玉掛けが19時間→15時間に。
両方取るつもりなら、教習機関のセット講習で申し込むのがいちばん早くて安く済みます。まとめ割引がある教習機関も多いので、料金表は必ずセットで確認してください。
結局、ユニック車に乗るには何が要るのか
ここがいちばん誤解されやすいところ。役割の違う3つが必要です。
| やること | 必要な資格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 公道を運転する | 準中型・中型・大型免許 (車両総重量による) | 道路交通法 |
| クレーンを操作する | 小型移動式クレーン 運転技能講習 | 労働安全衛生法 |
| 荷を掛け外しする | 玉掛け技能講習 | 労働安全衛生法 |
1人で現場に行って荷下ろしまでやるなら、3つとも必要です。逆に言えば、この3枚がそろうと1人で完結できるドライバーとして求人での見え方が変わります。求人票でも「玉掛け・小型移動式クレーン必須」とセットで書かれていることが多いです。
費用と、会社に出させる方法
玉掛けが2.3〜2.9万円、小型移動式クレーンが3.5〜4万円。合わせて6万円前後、日数は6日というのが標準ラインです。都道府県の登録教習機関によって差があります。
会社の指示で受けるなら、まず会社負担にならないか聞くのが先です。事業者は人材開発支援助成金が使えるので、話は通りやすい部類。自費の場合も、教習機関によっては一般教育訓練給付金(受講費用の20%・上限10万円)の指定講座になっていることがあります。
5t以上を狙うなら免許試験へ
つり上げ荷重5t以上のラフタークレーンなどを動かしたくなったら、移動式クレーン運転士免許が必要です。技能講習ではなく、国家試験(学科)+実技。安全衛生技術試験協会が実施しています。
この学科試験、年2回ペースで公表問題が出るタイプなので過去問対策がそのまま効きます。当サイトで扱っている第一種衛生管理者と同じ実施団体・同じ公表のしくみです。
あわせて取りたい資格
▶ 倉庫で最初に取る1枚:フォークリフト運転技能講習とは?費用・日数・取り方
▶ 中型・大型のユニックに乗るなら:大型免許・けん引免許の取り方
▶ 全体像を知りたい人はこちら:物流・運送の現場資格まとめ
よくある質問
未経験・免許なしでも受けられる?
どちらも満18歳以上なら受けられます。自動車免許も実務経験も不要。ただし公道でユニック車を運転するには、車両総重量に応じた運転免許が別にいります。
玉掛けだけでクレーンも動かせる?
動かせません。逆に、クレーンの技能講習だけでは荷を掛け外しできません。玉掛けを他の人がやってくれる現場なら操作だけでも足りますが、配送では自分で掛け外しをする場面が多いので、両方ないと1人で仕事になりません。
「床上操作式クレーン」とは何が違う?
床上操作式は、工場の天井クレーンのように荷と一緒に移動しながら床から操作するタイプ向けの技能講習です。車両に載った移動式クレーンとは別物。倉庫・工場勤務なら床上操作式、配送なら小型移動式、と考えると分かりやすいです。
落ちる人っている?
講習をちゃんと受けていれば、ほとんどの人が修了できます。落ちるとしたら力学の計算か、実技で安全確認を飛ばしたとき。不合格でも多くの教習機関で再試験が受けられます。
修了証に有効期限はある?
どちらもありません。更新も不要です。なくした場合は受講した教習機関で再交付の手続きを。
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