運送会社の営業所には、運行管理者と並んでもう一人、法律で置くことが義務づけられている管理者がいます。整備管理者です。運行管理者が「人と運行」を見るのに対して、こっちは「車」を見る役割。
そして地味に重要なのが、整備管理者には試験がないということ。要件を満たして3時間の研修を受ければなれます。
このページのポイント
・根拠は道路運送車両法。事業用自動車5両以上の営業所ごとに1人以上
・なり方は2つ。整備士3級以上に合格 or 実務2年以上+選任前研修
・試験なし。選任前研修は運輸支局が実施して所要3時間
・選任後は2年度ごとの選任後研修を受け続ける
・運行管理者との兼任もOK
おっさん整備管理者?うちの営業所にもいるけど、あれ整備士じゃなきゃダメなんじゃねぇの?
でぃでぃそれが違うんですよー。実務経験2年+研修でもなれます。ドライバーからなる人もけっこういます。
おっさんマジか。試験は?
でぃでぃないです。3時間の座学を聞いて修了証をもらうだけ。
おっさん運行管理者の国家試験で毎回落ちてる同僚に教えてやらねぇと…。
整備管理者って何をする人?
道路運送車両法に基づいて選任される、事業用自動車の点検・整備・車庫管理の責任者です。「車がちゃんと安全な状態で営業所を出ていくか」を担保するのが仕事。
一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の許可には最低5両の事業用自動車が要るので、実質的にすべての営業所に整備管理者がいます。
やることは、日常点検の実施方法を定めること。その結果を見て運行の可否を決めること。定期点検整備の計画を立てて実施すること。点検整備記録簿の記載と保存。車庫の管理。そして運転者や整備員への指導監督です。
ポイントは「運行の可否を決定する」権限を持っている点。日常点検で不具合が見つかったとき、その車を出すか止めるかを判断するのが整備管理者です。責任は重い。ただそのぶん、営業所内での立場もはっきりします。
どこから選任が必要になるか
事業用自動車(貨物・旅客)なら5両以上を使う営業所ごとに1人以上。ほかにも、乗車定員11人以上の自動車は1両から、自家用の大型貨物(車両総重量8t以上など)は5両からといった区分があります。
選任したら15日以内に運輸支局へ届出。届出をせずに事業を続けると行政処分の対象です。会社としても早く決めたいポストなので、要件を満たしている人の価値が高いわけですね。
なるルートは2つ
| ルート | 要件 | 試験 |
|---|---|---|
| ①整備士 | 自動車整備士技能検定 3級以上に合格 | あり (整備士試験) |
| ②実務+研修 | 点検・整備または整備管理 の実務経験2年以上 +選任前研修の修了 | なし |
ドライバーや現場から目指すなら現実的なのは②です。実務経験は自社の車両でなくてもよく、整備工場での経験もカウントされます。
おっさん日常点検をずっとやってきたのも実務経験に入るのか?
でぃでぃそこが判断の分かれ目なんですよね…。何をもって実務経験とするかは運輸支局の判断が入ります。
おっさんじゃあ聞くしかねぇな。
でぃでぃ研修に申し込む前に、管轄の運輸支局に電話で確認しておくのが確実です。証明は勤務先に実務経験証明書を書いてもらう形になります。
選任前研修は3時間、座って聞くだけ
実施するのは地方運輸局(各運輸支局で開催)。所要3時間で、試験はなし。修了すると修了証明書がもらえます。申込みは各運輸局のウェブサイトから。
中身は整備管理者制度の趣旨、点検整備の基準、記録の付け方、車庫の管理あたりを一通り。難しい話ではありません。
あともうひとつ。研修は定員制で先着順のことが多く、地域によっては申込開始日にすぐ埋まります。年度の日程が出たら早めに動いたほうがいいです。
なってからも研修は続く
整備管理者は「なって終わり」ではありません。選任後は2年度ごとに整備管理者研修(選任後研修)を受け続ける必要があります。
こちらは選任前研修と違って修了証明書は出ず、講習受講手帳にスタンプが押される方式。受けていないと監査で指摘されるので、会社としても管理対象になっています。
運行管理者とどう違うのか
営業所に置く2大管理者。どちらも法定の選任義務ですが、根拠法も役割も別物です。
| 項目 | 運行管理者 | 整備管理者 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 貨物自動車 運送事業法 | 道路運送 車両法 |
| 見るもの | 人と運行 (点呼・乗務時間) | 車 (点検・整備) |
| なり方 | 国家試験に合格 or 実務5年+講習5回 | 整備士3級以上 or 実務2年+研修 |
| 試験 | あり (CBT) | なし |
| 選任人数 | 車両30両ごとに 1人ずつ増える | 営業所ごとに 1人以上 |
| 継続研修 | 2年に1回 (一般講習) | 2年度に1回 (選任後研修) |
ハードルで言えば整備管理者のほうが圧倒的に低いです。運行管理者は国家試験に受からないといけませんが、整備管理者は要件を満たして研修を受ければなれる。
でぃでぃだからまず整備管理者、次に運行管理者という順番で内勤に上がっていく人が多いんですよー。
おっさんいきなり国家試験より、そっちのほうが現実的だわな。
兼任はできる
同じ営業所なら、運行管理者と整備管理者の兼任は可能です。小規模な営業所だと所長が両方を兼ねているケースもよくあります。
ただ、どちらも業務量のある役職です。実務が回っていない状態での形式的な兼任は監査で問題になり得るので、会社の体制次第という面はあります。
キャリアで見ると、整備管理者+運行管理者を両方持っている人は営業所運営を任せられる人材として扱われます。ドライバーから内勤・管理職を目指すなら強い組み合わせです。
あわせて取りたい資格
▶ 内勤・管理職の本命:運行管理者とは?仕事内容・なるには・難易度をやさしく解説
▶ 全体像を知りたい人はこちら:物流・運送の現場資格まとめ
よくある質問
整備士の資格がなくてもなれる?
なれます。点検・整備または整備管理の実務経験が2年以上あって、選任前研修を修了していれば要件を満たします。整備管理者の仕事は「整備すること」ではなく「整備を管理すること」だからです。
選任前研修に試験はある?
ありません。3時間の研修を受ければ修了証明書が交付されます。運行管理者のような合否のある試験とはまったく別物です。
研修の費用は?
実施する運輸局によって扱いが異なります。金額・申込方法・開催日程は毎年度更新されるので、管轄の地方運輸局の公式サイトで確認してください。
なると給料は上がる?
会社によりますが、法定の選任ポストなので役職手当や資格手当がつくケースが多いです。何より、営業所に必ず必要な役割なので社内で代替が効きにくくなるのが大きい。
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