2025年(令和7年)11月に実施された高圧ガス製造保安責任者試験「乙種化学」「乙種機械」の保安管理技術科目の過去問(全15問)を、公式に公表された問題・正解答をもとに解説します。
令和7年度は15問中14問が乙種化学・乙種機械で共通で、異なるのは問7だけ(化学=流動・伝熱・分離、機械=ポンプ)。このページでは両方の問7を掲載しているので、どちらの受験でもこの1本で対応できます。
おっさん保安管理技術はほとんど共通で、違うのは1問だけか。わざわざ分ける意味あるのかってレベルだな。
でぃでぃ年度によって違う問題数は変わりますけどね。燃焼・材料・計装からリスク管理まで、プラント保安の総合問題です。15問いっしょに見ていきましょーか。
乙種(化学・機械)保安管理技術 令和7年度 概要
| 仕様 | 情報 |
|---|---|
| 試験実施日 | 令和7(2025)年11月9日 |
| 科目 | 保安管理技術 |
| 問題数 | 15問(多肢選択式) |
| 試験時間 | 90分(11:10〜12:40) |
| 合格基準 | 満点の60%以上(9/15) |
| 実施 | 年1回(11月) |
でぃでぃ合格ラインは各科目60%。保安管理技術は15問なので9問取れればクリアですね。
問01.燃焼・爆発
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、燃焼・爆発について正しいものはどれか。
イ
化学量論組成の可燃性混合ガスは、爆発限界付近の組成の可燃性混合ガスよりも小さなエネルギーで発火する。
ロ
可燃性混合ガスの爆発限界は温度により変化するが、同じ圧力でもガスの温度が低下すると密度が大きくなるため、爆発範囲が広がる。
ハ
高圧ガス設備の安全弁からベント配管に急速に可燃性の高圧ガスが放出される場合、衝撃波が生じてガスが急激に圧縮されて高温となり、発火することがある。
ニ
可燃性混合ガスの消炎距離は混合ガスの組成に大きく依存する。また、高圧になると消炎距離は大きくなって消炎しにくくなる。
でぃでぃ正解は(2) イ、ハ。イ・ハが正しくて、ロ・ニが誤りですね。
イ.正しい:最小発火エネルギーは化学量論組成(当量比1)付近で最も小さくなる。爆発限界付近の組成では発火に要するエネルギーが大きくなるため、量論組成の混合ガスのほうが小さなエネルギーで発火する。
ロ.誤り:爆発限界は温度により変化するが、温度が低下すると反応が起こりにくくなり爆発範囲は狭くなる(正しくは温度上昇で範囲が広がる)。密度の増大は爆発範囲拡大の根拠にならない。
ハ.正しい:安全弁からベント配管へ可燃性の高圧ガスが急速に放出されると、衝撃波が発生して配管内のガスが急激に断熱圧縮され、高温となって発火することがある。
ニ.誤り:消炎距離が混合ガスの組成に大きく依存するという前半は正しいが、高圧になると反応速度が増して火炎が伝ぱしやすくなるため、消炎距離は小さくなって消炎しにくくなる。「大きくなる」が誤り。
温度・圧力が上がるほど燃えやすくなる方向で整理する。爆発範囲は温度上昇で拡大、消炎距離は高圧で縮小と対で覚える。
問02.ガス
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、ガスについて正しいものはどれか。
イ
一酸化炭素は、無色、無臭の不燃性ガスで、炭化水素系燃料の不完全燃焼の際に発生する。
ロ
酸素は、無色、無臭の支燃性ガスで、化学的に活性であり、酸化剤として作用する。
ハ
ヘリウムは、沸点が物質の中で最も低く、液体ヘリウムは医療用の磁気共鳴画像診断装置(MRI)の超伝導マグネットの冷却などに用いられる。
ニ
シアン化水素は、常温で塩素のような特有の刺激臭をもち、淡黄色の極めて毒性の強い不燃性のガスである。
でぃでぃ正解は(2) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。
イ.誤り:一酸化炭素が無色・無臭で不完全燃焼時に発生するのは正しいが、不燃性ではなく可燃性ガス(爆発範囲約12.5〜74vol%)である。毒性も極めて強い。
ロ.正しい:酸素は無色・無臭の支燃性ガスで、それ自身は燃えないが他の物質の燃焼を助ける。化学的に活性が高く、多くの物質と発熱的に反応して酸化剤として作用する。
ハ.正しい:ヘリウムの沸点は約−269℃(4.2K)と全物質の中で最も低く、液体ヘリウムはMRIの超伝導マグネットの冷却などに用いられる。
ニ.誤り:シアン化水素は無色でアーモンド様(青酸)臭をもつ極めて毒性の強い可燃性ガスである。塩素のような刺激臭、淡黄色、不燃性という点がいずれも誤り。
COもHCNも「猛毒かつ可燃性」。毒性ガス=不燃と思わせるのが定番の引っかけで、色とにおいの記述も細かく狙われる。
問03.材料の劣化
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、材料の劣化について正しいものはどれか。
イ
ステンレス鋼は、炭素鋼と異なり浸炭も脱炭も生じない。
ロ
2 種類の金属を電解質溶液中で接触させたとき、異種金属接触腐食が発生する可能性がある。どちらの金属がマイナス極となり腐食が促進されるかは、環境によって異なることがある。
ハ
オーステナイト系ステンレス鋼において溶接の熱影響部に生じる粒界腐食は、炭素量が多い鋼種のほうが起こりにくい。
ニ
液体中の固体粒子の衝突などによる材料の機械的損傷(エロージョン)と腐食(コロージョン)がともに作用する環境では、保護性のある皮膜が除去され、金属表面が露出することで腐食が促進されやすい。
でぃでぃ正解は(3) ロ、ニ。ロ・ニが正しくて、イ・ハが誤りですね。
イ.誤り:ステンレス鋼でも高温の浸炭性ガス環境では浸炭が生じ、条件によっては脱炭も起こりうる。炭素鋼と異なり浸炭も脱炭も生じないとは言えない。
ロ.正しい:異種金属接触腐食では電位の卑な金属がアノードとなって腐食が促進されるが、金属の電位序列は溶液の種類や温度など環境条件で逆転することがあり、どちらが腐食するかは環境によって異なりうる。
ハ.誤り:溶接熱影響部の粒界腐食は、炭素量が多いほどクロム炭化物が粒界に析出(鋭敏化)しやすく、起こりやすくなる。低炭素のLグレード(SUS304Lなど)のほうが起こりにくい。
ニ.正しい:エロージョンとコロージョンが共存する環境では、固体粒子の衝突などで保護性のある皮膜が除去されて新生面が露出し、腐食が促進されやすい(エロージョン・コロージョン)。
粒界腐食は炭素が多いほど危険。SUS304Lの「L」=低炭素で鋭敏化しにくい、と結びつければ正誤を即断できる。
問04.計装および計測機器
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、計装および計測機器について正しいものはどれか。
イ
計装機器のフール・プルーフとして、緊急時のみに操作するスイッチに二段操作式スイッチを採用した。
ロ
フィードバック制御では、プロセスに外乱が入り目標値と制御量との間に偏差が生じた場合、その偏差に応じて制御装置が操作量を変化させる。
ハ
ベンチュリ流量計は、オリフィス流量計に比べ圧力損失が大きく、構造上沈殿物がたまりやすい。
ニ
高粘度の流体の流量測定をするためには、容積式流量計(オーバル形)よりもタービン式流量計が適している。
でぃでぃ正解は(1) イ、ロ。イ・ロが正しくて、ハ・ニが誤りですね。
イ.正しい:二段操作式スイッチは、誤って触れただけでは作動せず、意図した二段階の操作をして初めて働くため、緊急時用スイッチの誤操作を防ぐフール・プルーフの実例である。
ロ.正しい:フィードバック制御は、外乱により目標値と制御量との間に偏差が生じると、その偏差に応じて制御装置が操作量を変化させ、制御量を目標値に近づける制御方式である。
ハ.誤り:ベンチュリ流量計は流路が滑らかに縮小・拡大する構造のため、オリフィス流量計より圧力損失が小さく、沈殿物もたまりにくい。圧損・沈殿物とも記述が逆である。
ニ.誤り:高粘度流体の流量測定にはオーバル形などの容積式流量計が適する。タービン式流量計は羽根車の回転を利用するため粘度の影響を受けやすく、低粘度流体向きである。
流量計は「高粘度なら容積式、低圧損ならベンチュリ」。長所と短所を入れ替えて出題するのがこの分野の定番の引っかけ。
問05.高圧装置
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、高圧装置について正しいものはどれか。
イ
反応器のうち、固体触媒粒子が流動化した状態でガスと接触して、反応を起こさせるものを流動床式反応器という。
ロ
超低温容器は、内槽と外槽からなり、可搬式のものは一般にその内槽と外槽の間に不活性ガスが封入されている。
ハ
横置円筒形貯槽は、円筒胴の両端に半だ円体形、球形またはさら形鏡板を取り付けた圧力容器を横置きにしたもので、構造が単純で製作も容易であり、比較的小容量のLPガスなどの貯槽に広く使用される。
ニ
一般的な吸収塔においては、ガスを溶解した液から溶解成分を取り除けば、この液は再生されて再び吸収塔で使うことができる。
でぃでぃ正解は(5) イ、ハ、ニ。イ・ハ・ニが正しくて、ロが誤りですね。
イ.正しい:流動床式(流動層)反応器は、固体触媒粒子をガスで流動化させた状態でガスと接触させて反応を行う形式で、温度の均一化や伝熱性能に優れる。
ロ.誤り:超低温容器は内槽と外槽の二重構造で、断熱のため両槽の間は真空にし、粉末・積層断熱材などを併用する。不活性ガス封入ではなく真空断熱が正しい。
ハ.正しい:横置円筒形貯槽は円筒胴の両端に半だ円体形・球形またはさら形の鏡板を取り付けた圧力容器を横置きにしたもので、構造が単純で製作も容易なため、比較的小容量のLPガス貯槽などに広く使用される。
ニ.正しい:吸収塔でガスを溶解した吸収液は、放散塔などで加熱・減圧して溶解成分を取り除けば再生され、循環して再び吸収塔での吸収に使用できる。
超低温容器の内槽・外槽間は真空断熱。「不活性ガスを封入」と書かれたら誤り、という一点で正誤が決まる頻出パターン。
問06.圧縮機
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、圧縮機について正しいものはどれか。
イ
1 段圧縮の遠心圧縮機のバイパス方式による容量調整では、送風量 (供給風量 )を減少しても、動力は削減されない。
ロ
遠心圧縮機において、羽根車と主軸で構成されたロータの使用回転速度は、軸系のもつ固有振動数(危険速度)に一致しないように選定される。
ハ
遠心圧縮機でサージングが発生したので、直ちに吐出し弁を絞る操作を行った。
ニ
多段往復圧縮機の 2 段吐出し温度が異常上昇したので、1 段ガス冷却器を点検した。
でぃでぃ正解は(4) イ、ロ、ニ。イ・ロ・ニが正しくて、ハが誤りですね。
イ.正しい:バイパス方式は吐出ガスの一部を吸込み側へ戻して供給量を減らす容量調整法で、圧縮機本体を通るガス量は変わらないため、送風量を減少させても動力は削減されない。
ロ.正しい:ロータの使用回転速度が軸系の固有振動数(危険速度)に一致すると共振により激しい振動が発生するため、危険速度と一致しないように選定される。
ハ.誤り:吐出し弁を絞ると流量がさらに減少し、サージングはかえって悪化する。正しくは放出弁やバイパス弁を開くなど、吐出し側の流量を増やす操作を直ちに行う。
ニ.正しい:多段往復圧縮機で2段吐出し温度が異常上昇した場合、1段と2段の間のガス冷却器(中間冷却器)の性能低下で2段吸入温度が上昇している可能性が高く、1段ガス冷却器の点検は適切である。
サージング対処は流量を増やす方向、つまり放出弁・バイパス弁を開く操作。吐出し弁を絞る選択肢はまず誤りと見ていい。
おっさんサージングが起きたら流量を「増やす」のか。圧が暴れてるんだから絞りたくなるけどな。
でぃでぃサージングは低流量域で起きる振動なので、放出弁やバイパス弁を開けて作動点を右に逃がすのが正解。吐出し弁を絞る選択肢はまず誤りです。
問07.流動・伝熱・分離
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、流動・伝熱・分離について正しいものはどれか。
イ
オリフィス流量計、渦流量計、タービン式流量計は、いずれもベルヌーイの定理を応用したものである。
ロ
熱伝達において、固体壁に接した流体内の温度が急激に変化する薄い層を温度境界層または温度境膜という。
ハ
混合物が常温、常圧で気体であっても、加圧するか、操作温度を下げて液体にすれば、蒸留を用いて分離することができる。
ニ
吸着には、吸着質分子がファン・デル・ワールス力などで吸着剤に吸着する物理吸着と化学変化を起こして吸着する化学吸着があり、PSAによる吸着分離操作では化学吸着が利用される。
でぃでぃ正解は(3) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。
イ.誤り:ベルヌーイの定理を応用した差圧式はオリフィス流量計である。渦流量計はカルマン渦の発生周波数、タービン式は羽根車の回転速度が流速に比例することを利用しており、原理が異なる。
ロ.正しい:熱伝達において、固体壁に接した流体内で温度が急激に変化する薄い層を温度境界層または温度境膜といい、対流伝熱の抵抗の大部分がこの層に集中する。
ハ.正しい:常温・常圧で気体の混合物でも、加圧するか操作温度を下げて液体にすれば、成分間の沸点(揮発度)の差を利用した蒸留により分離できる。
ニ.誤り:PSA(圧力スイング吸着)は圧力の上げ下げで吸着と脱着を繰り返すため、可逆的な物理吸着を利用する。化学吸着は結合が強く脱着・再生が困難で、PSAには利用されない。
PSAは圧力操作で吸脱着を繰り返すから物理吸着一択。渦・タービン流量計がベルヌーイ式でない点もセットで頻出。
問07.ポンプ(乙種機械はこちら)
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、ポンプについて正しいものはどれか。
イ
ポンプでは、取り扱う液体が水や油のような非圧縮性流体であるため、サージングは発生しない。
ロ
遠心ポンプの取り扱う液体の密度が計画していたものより高くなると、全揚程と吐出し量が同じでも必要な軸動力は大きくなる。
ハ
特性が異なる遠心ポンプを 2 台並列運転するとき、配管集合後の吐出し弁を絞って流量を下げ過ぎると、どちらかのポンプの吐出し量がゼロになることがある。
ニ
ポンプに異音が発生し、原因としてキャビテーションが考えられたので、吐出し弁を開いて流量を増やした。
でぃでぃ正解は(3) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。
イ.誤り:サージングは非圧縮性流体でも発生する。ポンプの揚程曲線に右上がりの領域があるとき、低流量域で流量と圧力が周期的に変動する現象で、液体だから起きないというものではない。
ロ.正しい:軸動力は P=ρgQH/η で液体の密度に比例する。全揚程 H と吐出し量 Q が同じでも、密度 ρ が計画値より高くなればその分だけ必要な軸動力は大きくなる。
ハ.正しい:特性の異なる 2 台の並列運転では、合成後の弁を絞って管路抵抗を上げていくと、揚程の低いほうのポンプは締切揚程を超えられず、吐出し量がゼロ(片肺運転)になることがある。
ニ.誤り:キャビテーションは吸込み側の圧力が飽和蒸気圧を下回って気泡が生じる現象。吐出し弁を開いて流量を増やすと必要 NPSH が増えてかえって悪化する。対処は流量を絞る・吸込み条件を改善する方向が正しい。
軸動力は密度に比例(P=ρgQH/η)。キャビテーション対策は「流量を増やす」ではなく吸込み条件の改善——逆をやらせる引っかけが定番。
問08.流体の漏えい防止
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、流体の漏えい防止について正しいものはどれか。
イ
漏えい防止機構の 1 つにシールがあるが、一般的に静止接合面に挿入するものをガスケット、往復運動や回転運動の運動部に使用するものをパッキンという。
ロ
フランジボルトを適正な締付け力で締め付ける方法の 1 つとして、テンション法がある。
ハ
ラビリンスシールには、いろいろな形、種類があり、気体よりも圧縮性のない液体に適している。
ニ
遠心ポンプの軸封部に用いられるグランドパッキンは、漏えいをほぼ完全に止めることができ、可燃性、毒性の液体に使用される。
でぃでぃ正解は(1) イ、ロ。イ・ロが正しくて、ハ・ニが誤りですね。
イ.正しい:シールのうち、フランジ接合部など静止接合面に挿入するものをガスケット、ポンプ軸など往復運動・回転運動の運動部に使用するものをパッキンと呼び分けるのが一般的である。
ロ.正しい:テンション法はボルトテンショナーなどでボルトに直接軸力(引張力)を与えて締め付ける方法で、フランジボルトを適正な締付け力で締め付ける方法の一つである。
ハ.誤り:ラビリンスシールは非接触式で微小すきまからの若干の漏れを許容するシールであり、圧縮機やタービンの軸封など気体(圧縮性流体)に適する。液体に適するという点が誤り。
ニ.誤り:グランドパッキンは適度な漏れを許して潤滑・冷却しながら使う軸封で、漏えいを完全には止められない。可燃性・毒性の液体には、ほぼ完全に密封できるメカニカルシールが用いられる。
グランドパッキンは少し漏らして使う軸封。可燃性・毒性液にはメカニカルシール、ラビリンスは気体向きと役割で整理。
問09.リスクマネジメントと安全管理
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、リスクマネジメントと安全管理について正しいものはどれか。
イ
リスク解析におけるハザードの特定では、製造施設で発生する可能性のある事故や異常現象に至るシナリオについて解析し、そのシナリオに関与するハザードを特定する。
ロ
ETA は、設備故障などの引金事象がどのように拡大していくかをツリー状に表現する手法である。
ハ
リスク評価の結果、許容できないと判定されたリスクは、対応策を検討する。このとき、対応策で生じる新しいハザードの発生の可能性については、考えなくてもよい。
ニ
HAZOP は、プラントの機器などに着目し、プロセスパラメータの正常状態からのずれを想定する。次に、ずれの原因となる機器故障、誤操作などを洗い出し、それらが発生した場合の影響を解析し、ハザードを特定する手法である。
でぃでぃ正解は(5) イ、ロ、ニ。イ・ロ・ニが正しくて、ハが誤りですね。
イ.正しい:ハザードの特定では、製造施設で発生する可能性のある事故や異常現象に至るシナリオを解析し、そのシナリオに関与するハザード(危険源)を特定する。
ロ.正しい:ETA(イベントツリー解析)は、設備故障などの引金事象を起点として、事象がどのように拡大していくかを時系列に沿ってツリー状に展開する手法である。
ハ.誤り:対応策の実施により新たなハザードが生じることがあるため、対応策で生じる新しいハザードの発生の可能性についても検討しなければならない。「考えなくてもよい」が誤り。
ニ.正しい:HAZOPは、プラントの機器などに着目してプロセスパラメータの正常状態からの「ずれ」を想定し、その原因となる機器故障・誤操作などを洗い出し、発生時の影響を解析してハザードを特定する手法である。
ETAは引金事象から先をツリーで展開、FTAは結果から原因を遡る。「考えなくてもよい」型の記述はほぼ誤りと疑う。
問10.電気設備など
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、電気設備などについて正しいものはどれか。
イ
ボンディングは、2 つ以上の導体を電気的に接続して、相互にほぼ同電位にすることである。
ロ
非常用電源として用いられる無停電電源装置(UPS)は、通常時でも常用電源と接続されている。
ハ
非点火防爆構造は、故障状態において、電気回路に発生する電気火花および高温部が規定された試験条件で所定の試験ガスが発火しないようにした防爆構造のことである。
ニ
電気設備の防爆構造に用いられる指標である最大安全すきまは、配管内や容器中の爆発火炎を対象として消炎に必要なすき間である。
でぃでぃ正解は(4) イ、ロ、ニ。イ・ロ・ニが正しくて、ハが誤りですね。
イ.正しい:ボンディングは、2つ以上の導体を電気的に接続して相互にほぼ同電位にすることであり、電位差による静電気の放電火花の発生を防止する。
ロ.正しい:UPS(無停電電源装置)は通常時も常用電源に接続されて蓄電池を充電しており、停電時には蓄電池からインバータを介して無瞬断で負荷への給電を継続する。
ハ.誤り:非点火防爆構造(タイプn)は、「正常運転時」に電気回路に発生する電気火花および高温部が周囲の爆発性雰囲気に点火しないようにした構造である。「故障状態において」とする点が誤り。
ニ.正しい:最大安全すきま(MESG)は、容器内で爆発した火炎がすきまを通って外部の爆発性混合ガスへ伝ぱ(点火)しない最大のすきまであり、配管内や容器中の爆発火炎を対象とした消炎に必要なすき間として防爆構造の指標に用いられる。
非点火防爆構造の条件は「正常運転時」。故障状態まで保証する構造ではない、という一語の入替えで正誤が決まる。
問11.保安装置
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、保安装置について正しいものはどれか。
イ
取り付けられた状態の緊急遮断装置は、定期的に弁座漏れ検査、作動検査を行い、漏えい量が保安上支障のない量以下であり、確実に開閉ができる機能を有していることを確認する。
ロ
破裂板は、ばね式安全弁に比べて開き始めてから全開まで時間がかかることから、圧力上昇速度が大きい場合には適当ではない。
ハ
減圧弁または減圧を行う設備があるとき、その低圧側を高圧側とは別の圧力区分として安全装置を設置した。
ニ
貯槽用の緊急遮断装置を作動させる操作場所は、状況を目視で確認できるように、貯槽の防液堤内に設置した。
でぃでぃ正解は(1) イ、ハ。イ・ハが正しくて、ロ・ニが誤りですね。
イ.正しい:緊急遮断装置は取り付けられた状態で定期的に弁座漏れ検査と作動検査を行い、漏えい量が保安上支障のない量以下であること、確実に開閉できる機能を有することを確認する。
ロ.誤り:破裂板は設定圧力に達すると瞬時に破裂して全開になるため、開放までの応答はばね式安全弁より速く、圧力上昇速度が大きい場合にむしろ適する。全開まで時間がかかるという記述が逆である。
ハ.正しい:減圧弁の低圧側は高圧側より設計圧力が低いため、低圧側を別の圧力区分とし、高圧側からの異常昇圧に備えて安全装置を設置するのは適切である。
ニ.誤り:防液堤内は漏えい時に液化ガスが滞留する危険な場所であり、操作場所として不適切である。緊急遮断装置の操作場所は、漏えい時にも安全に操作できる防液堤の外側の安全な位置に設置する。
破裂板は瞬時に全開だから急激な圧力上昇に強い。緊急遮断弁の操作場所は防液堤の外、の2点はそのまま出る。
問12.防災設備
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、防災設備について正しいものはどれか。
イ
定電位電解式のガス漏えい検知警報設備は、一酸化炭素、硫化水素の検知に使用できる。
ロ
フレアースタックでの噴出ガス流速が燃焼速度より過大になると、逆火現象が起きやすくなる。
ハ
空気呼吸器は、送気式マスクに比べて比較的自由に行動できるが、容器に充塡されている空気量により時間的な制約を受ける。
ニ
除害のための措置として、シアン化水素をボイラの燃焼室で完全に燃焼させた。
でぃでぃ正解は(4) イ、ハ、ニ。イ・ハ・ニが正しくて、ロが誤りですね。
イ.正しい:定電位電解式のガス漏えい検知警報設備は、電極上の電気化学反応で生じる電流からガス濃度を測定する方式で、一酸化炭素や硫化水素などの毒性ガスの検知に使用できる。
ロ.誤り:噴出ガス流速が燃焼速度より過大になると、火炎が吹き飛ばされる吹消え(ブローオフ)が起きやすくなる。逆火は噴出流速が燃焼速度より小さくなったときに火炎が内部へ戻る現象である。
ハ.正しい:空気呼吸器は自給式でホースに拘束される送気式マスクより行動の自由度が高いが、容器に充塡された空気量によって使用時間に制約を受ける。
ニ.正しい:シアン化水素は可燃性ガスであり、ボイラの燃焼室で完全に燃焼させて分解・無害化する方法は、燃焼による除害のための措置として適切である。
流速>燃焼速度なら吹消え、流速<燃焼速度なら逆火。速度の大小と現象を入れ替えて出すのがフレアースタックの定番。
問13.運転管理
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、運転管理について正しいものはどれか。
イ
バルブ開閉において、開閉操作が通常よりも非常にかたくて困難だったので、通常よりも柄の長いハンドル廻しを用い、多勢の運転員によって開閉作業を行った。
ロ
蒸留塔(棚段塔)内の蒸気速度が大きくなると、飛沫同伴量が増加し、降下液が上段のトレイに運ばれ、フラッディングが発生することがある。
ハ
締切り用バルブにおいて、水撃作用を防止するために、バルブを急速に閉止することを避け、流速変化の割合が小さくなるようにバルブを操作した。
ニ
液化ガス配管のバルブの閉止手順として、払出し先設備の入口弁を閉止した後に、払出し元のポンプの出口弁を閉止することと定めた。
でぃでぃ正解は(3) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。
イ.誤り:開閉が異常にかたいバルブに、長いハンドル廻しや多人数で過大な力を加えると、弁棒の折損やシート部の損傷などを招き危険である。まず開閉困難の原因を調査し、必要な処置をとるのが正しい対応である。
ロ.正しい:棚段塔内の蒸気速度が大きくなると飛沫同伴量が増加し、降下すべき液が上段のトレイへ運ばれて塔内に液が滞留し、フラッディングが発生することがある。
ハ.正しい:水撃作用(ウォーターハンマ)は流速の急激な変化により生じる圧力衝撃であるため、バルブの急速な閉止を避け、流速変化の割合が小さくなるように操作するのは適切である。
ニ.誤り:ポンプ運転中に払出し先の入口弁を先に閉止すると締切状態となり、配管内の液封や異常昇圧、ポンプの過熱を招く。正しくは払出し元のポンプ出口弁(上流側)を先に閉止し、その後に払出し先の入口弁を閉止する。
液化ガスの弁は上流側から閉める。下流を先に閉めると締切運転と液封で異常昇圧する、と理由ごと手順を覚える。
おっさん液化ガスの弁は上流から閉める、と。下流から閉めると液封で昇圧するからか。
でぃでぃ理由ごと覚えると忘れないやつです。手順だけ丸暗記すると、逆順の選択肢にあっさり引っかかりますからねー。
問14.設備管理および工事管理
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、設備管理および工事管理について正しいものはどれか。
イ
電気器具の使用時の電気火花、手動工具使用時の衝撃火花、摩擦火花の生じる火気工事における安全対策としては、防爆器具または安全工具を使用するだけでよい。
ロ
可燃性ガスを扱う塔槽の内部作業のため、当該塔槽内を窒素で置換し、可燃性ガス濃度が基準値以下になったことを確認した後、空気で再置換し、酸素濃度を確認した。
ハ
可燃性ガスを扱う精留塔の内部作業終了後、塔内部を窒素で置換し、仕切板の撤去を行い運転再開に備えた。
ニ
個々の設備の保全計画と全体の長期計画に基づいて、当該年度に実施する保全活動の実施時期を操業計画と調整して保全カレンダーを作成し、工事計画や資材の発注計画立案の参考にした。
でぃでぃ正解は(5) ロ、ハ、ニ。ロ・ハ・ニが正しくて、イが誤りですね。
イ.誤り:防爆器具や安全工具の使用だけでは着火源対策として不十分であり、可燃性ガスの漏えい・滞留がないことのガス濃度測定、火気使用許可、監視人の配置など、総合的な安全対策を併せて講じる必要がある。
ロ.正しい:可燃性ガスを扱う塔槽の内部作業では、まず窒素で置換して可燃性ガス濃度が基準値以下であることを確認し、その後空気で再置換して酸素濃度を確認してから入槽するのが正しい手順である。
ハ.正しい:内部作業終了後に塔内を窒素で置換して不活性化したうえで仕切板を撤去すれば、可燃性ガス側と接続されても塔内に爆発性混合気が形成されず、運転再開への備えとして適切である。
ニ.正しい:個々の設備の保全計画と全体の長期計画に基づき、当該年度の保全活動の実施時期を操業計画と調整して保全カレンダーを作成し、工事計画や資材の発注計画立案の参考にするのは適切な設備管理である。
「〜だけでよい」は誤りの合図。入槽準備は窒素置換→可燃性ガス濃度確認→空気再置換→酸素濃度確認の順序で問われる。
おっさん「〜だけでよい」はやっぱり誤りの合図なんだな。法令と同じ嗅覚が使えるのか。
でぃでぃ入槽準備は窒素置換→可燃性ガス濃度確認→空気再置換→酸素濃度確認までワンセット。省略を許す記述は疑ってかかりましょーか。
問15.設備の検査・診断
次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、設備の検査・診断について正しいものはどれか。
イ
定期検査における気密試験は、配管、計器などを取り付けた運転開始直前、すなわち定期検査の終了段階で実施するのが一般的である。
ロ
超音波探傷試験は、波長の短い超音波を使うと指向性が良くなり、また、欠陥による反射率が大きくなるので、欠陥の位置検出精度が高くなる。
ハ
浸透探傷試験は、金属には適用できるが、プラスチック、ガラス、セラミックスなどの非金属には適用できない。
ニ
渦電流探傷試験(渦流探傷試験)は、導体の試験体を対象とし、線や棒などの製品の表面きず、熱交換器チューブの割れや腐食の検出などに用いられる。
でぃでぃ正解は(4) イ、ロ、ニ。イ・ロ・ニが正しくて、ハが誤りですね。
イ.正しい:気密試験は系全体からの漏えいの有無を確認する試験であり、配管・計器などを取り付けて系を完成させた運転開始直前、すなわち定期検査の終了段階で実施するのが一般的である。
ロ.正しい:波長の短い(周波数の高い)超音波を使うと指向性が良くなり、小さな欠陥でも反射率が大きくなるため、欠陥の位置検出精度が高くなる。
ハ.誤り:浸透探傷試験は表面に開口したきずを毛細管現象で検出する方法であり、金属に限らずプラスチック、ガラス、セラミックスなどの非金属にも適用できる。適用が難しいのは多孔質材料などである。
ニ.正しい:渦電流探傷試験は電磁誘導により試験体に渦電流を発生させてきずを検出するため導体が対象であり、線・棒などの製品の表面きずや、熱交換器チューブの割れ・腐食の検出などに用いられる。
浸透探傷は表面開口きずなら材質を問わない。「非金属には不可」と出たら誤り、渦流探傷は導体限定と対で覚える。
まとめ:令和7年度 保安管理技術の傾向
令和7年度の保安管理技術は、燃焼・爆発とガスの性質(問1〜2)、材料劣化(問3)、計装・高圧装置・圧縮機(問4〜6)、流動・軸封(問7〜8)、リスクマネジメント(問9)、電気・保安装置・防災設備(問10〜12)、運転・工事・検査の管理(問13〜15)という構成。機器の長所と短所、手順の順序を入れ替える引っかけが全体を通した特徴です。
「破裂板は瞬時に全開」「緊急遮断弁の操作場所は防液堤の外」「弁は上流側から閉める」のように、結論を一言で言える形にしておくと、選択肢の違和感にすぐ気づけます。
おっさんリスクマネジメントにETAだのFTAだの、横文字も増えてきたな。
でぃでぃETAは引金事象から先を展開、FTAは結果から原因へ遡る。向きだけ覚えれば大丈夫ですよ。来年度も出ると思います。
よくある質問
乙種化学と乙種機械で保安管理技術の問題は違いますか?
大部分は共通です。令和7年度は15問中14問が同一で、問7のみ乙種化学が流動・伝熱・分離、乙種機械がポンプでした。本ページは両方の問7を掲載しています。
保安管理技術は何問で合格ですか?
各科目とも満点の60%以上が合格基準です。保安管理技術は15問なので9問以上が目安になります。
過去問はどこまで公表されていますか?
高圧ガス保安協会(KHK)が国家試験の問題と択一式の正解答を公表しています。本ページは令和7年度(2025年11月実施)の公表内容にもとづいています。
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