危険物 第六類(乙6)-硝酸:硝酸・発煙硝酸の性状・貯蔵・消火

危険物 第六類(乙6)の物質で指定されている硝酸:硝酸・発煙硝酸の性状・取扱い・消火に関するページです。

このページで出てくる物質は・・・
  1. 硝酸
  2. 発煙硝酸
おっさん

乙1と乙5で硝酸の化合物が出てきたな。

でぃでぃ

出ましたね。
乙6物質は乙1・乙5と関連性が強いです。

おっさん

硝酸って相当強い酸なんだっけ。

でぃでぃ

ですねー
ヨワヨワの酸には溶けない銀も溶かしますね。

おっさん

って事は人体にも害が強そうだな。

でぃでぃ

そーです。
皮膚への攻撃性が強いので保護具を必ず装備して取り扱いを、です。

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危険物 第六類(乙6) 硝酸の概要

硝酸について

硝酸はHNO3を30-70%含んだ水溶液で非常に強力な酸化性液体です。

イオン化傾向の小さな銀などの金属も溶かし、硝酸と塩酸を混合した液体(王水)は金をも溶かす事ができます。

硝酸はタンパク質と反応して黄色くなり、この反応をキサントプロテイン反応と言います。

硝酸が漏出した場合は水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質で中和した後に大量の水で洗い流します

1996年、京都府の電子部品工場でタンクローリーから硝酸を誤った場所に注入し、タンクの破損や薬品類の流出事故が発生した。

【用途】
火薬・染料・硝酸アンモニウムの材料

【関連物質】
乙1:硝酸塩類
乙5:硝酸エステル類

発煙硝酸について

濃硝酸(濃度98%前後)へ二酸化窒素を吹き込んで更に強い酸とした液体です。

液色は二酸化窒素の赤褐色が入り、硝酸が透明であるのに対し発煙硝酸は赤褐色になっています。

【用途】
有機物の酸化・分析の試料

【関連物質】
※硝酸に同じ

おっさん

既に強力な硝酸を更に強化したのが発煙硝酸のイメージか。

でぃでぃ

ですねーそのイメージは試験対策にも使えます!

危険物 第六類(乙6) 硝酸の性状① 状態・数値

危険物 第六類(乙6)物質の硝酸:硝酸・発煙硝酸の性状から、状態と数値を見ていきます。

表中、項目を黄色く塗ったところと赤字は試験対策に直結する大事なポイントです。

スクロールできます
物質名状態発煙臭気毒性等比重
硝酸(30-70%)
HNO3
透明液体褐色
※1
刺激臭(蒸気)
有毒
1.20
1.40
発煙硝酸赤褐色液体褐色刺激臭有毒1.50
状態と数値

性状② 危険性・生成物・特記事項

危険物 第六類(乙6)物質の硝酸:硝酸・発煙硝酸の性状から、危険性・生成物・特記事項を見ていきます。

スクロールできます
物質名危険性ガス・気体特記事項
硝酸(30-70%)
HNO3
発火
皮膚を侵す
酸素
一酸化窒素
二酸化窒素
濃硝酸は金属容器でも良いが希硝酸は金属容器NG
濃硝酸はアルミ容器OKなのが特異な点 ※2
希釈する場合は水へ硝酸を滴下する
発煙硝酸同上同上基本的に↑と同じ
褐色の発煙は二酸化窒素の色
濃硝酸よりも更に酸化力が強い
危険性・生成物・特記事項

濃硝酸だと金属容器内に密度の高い酸化被膜ができて侵されないが、希硝酸だとジワジワと容器が侵され続けるイメージ

おっさん

濃度が低い方(希硝酸)が結果的に金属容器へ与えるダメージが大きいのか。

でぃでぃ

スリップダメージが入るかどうか、みたいな…?

危険物 第六類(乙6) 硝酸の貯蔵・取扱方法

危険物 第六類(乙6)物質の硝酸:硝酸・発煙硝酸の貯蔵・取扱い方法を見ていきます。

乙6物質の貯蔵は酸化性液体なので、大前提として①耐酸性容器に入れ ②直射日光の当たらない冷暗所への保管 は他の乙6物質と共通です。

適切:硝酸・発煙硝酸
  • 褐色のガラス瓶
  • 耐酸性容器に保管
  • 通風の良い冷暗所
不適切:硝酸・発煙硝酸
  • 日光が当たる・加熱
  • 可燃物・有機物との接触
  • アミン・ヒドラジンと接触

※:素材はステンレス、濃硝酸はアルミ製も可

硝酸・発煙硝酸は色々な物質と反応するので、特に可燃物・有機物・アミン類・ヒドラジン類とは離して保管します。

でぃでぃ

日光に弱いのでガラス瓶は色付きで…!

危険物 第六類(乙6) 硝酸の消火方法

危険物 第六類(乙6)物質の硝酸:硝酸・発煙硝酸の消火方法を見ていきます。

硝酸・発煙硝酸は水・泡系での冷却消火です。

適切:過酸化水素
  • 水・泡系での冷却消火
  • 砂・石・岩での窒息消火
  • 粉:リン酸塩類
不適切:過酸化水素
  • 二酸化炭素
  • ハロゲン化物
でぃでぃ

乙6共通で消火にCO2・ハロゲン化物NGです!

危険物 第六類(乙6) 硝酸の試験対策

このページで出てきた内容から試験対策に使える疑似問題を作ってみました。

問題右端の+ボタンで答えが出てきます。

問1:硝酸について誤りの数は?
 ①.透明の液体である
 ②.水と反応して発熱する
 ③.分解し二酸化窒素と酸素を生じる
 ④.透明なガラス瓶に入れ密栓する
 ⑤.消火にはハロゲン化物が有効

間違いは3つ、①③は正しいです。

問2:発煙硝酸ついて正解の数は?
 ①.褐色の液体で蒸気も褐色
 ②.酸化力は硝酸よりも弱い
 ③.日光ではあまり分解しない
 ④.比重は硝酸より大きい
 ⑤.CO2で窒息消火する

正しいのは2つ、②③⑤は間違いです。

問3:硝酸について誤りの数は?
 ①.硝酸自体に引火・爆発性がある
 ②.希釈は硝酸の上から水を注ぐ
 ③.還元性物質と反応し爆発する
 ④.希硝酸はアルミ容器に保存できる
 ⑤.無味無臭で有毒である

間違いは4つ、③は正しいです。

危険物 第六類(乙6)の物質で指定されている硝酸:硝酸・発煙硝酸についてはここで一区切りです。

でぃでぃ

お疲れさまでした!

危険物 第六類(乙6)ページ一覧
①:第六類の概要
②:過塩素酸
③:過酸化水素
④:硝酸・発煙硝酸 ◀NOW
⑤:その他 政令で定めるもの

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