このページでは危険物 第四類(乙4)の試験対策で関係法令のうち、燃焼・消火・警報ついて書いています。
- 燃焼について
- 燃焼関連で押さえる事
- 消火について
- 消火関連で押さえる事
- 警報設備と避難設備
- 試験対策の一問一答⑥(ラスト)
法令は燃える・消す・アラートをやって〆か。
です!このページは製造所等の基準みたいにガチガチに覚える事はあまり出てこないです。
何で他の科目の要素も入ってくるの?
消火とかは法令だけの事だけを切り出して書くと全体感が掴みにくいんですよね…
だから乙4の学習範囲内で関わる事を纏めてみました!
危険物-関係法令(乙4向け):燃焼について
【難易度:易】
燃焼
危険物 乙4試験に向けた覚え方
燃焼について基本的な事を見ていきます。
内容は物理化学+性状の色が濃いですが、次の「消火」に繋げる意図でここに配置しています。
燃えるとは?的なところから攻めていきます。
…萌えるとは…?
燃焼の定義
物理化学の教科書的な書き方をすると「燃焼の定義」は以下となります。
燃焼
=
熱と光を発生しながら
酸化反応する事
物質が酸素を得る事を「酸化」と言い、反応の激しいものを「燃焼」という様に理解すればOKです。
酸化のバリエーション(?)は以下の表となり、下へ行くほど激しい酸化反応と見ておくと良いです。
反応 | 状態・解説 |
---|---|
酸化 ▼ | 物質が酸素を得る |
燃焼 ▼ | 熱と光を発して 酸化反応が起きる |
爆発 ▼ | 極めて速い反応速度で 爆音を発して 酸化反応が起きる |
爆轟 | 著しく速い反応速度で 爆音と衝撃波を発し 酸化反応が起きる |
激しい酸化が燃焼で、油が劣化(酸化)するのと燃え始めるの違いか。
燃焼の三要素と自然発火
燃焼は条件(要素)が揃って起こります。要素は三つあり、三つ揃わないと燃焼は起こりません。
燃焼に必要な三つの要素について整理します。
要素 | 例 | 意味 |
---|---|---|
可燃物 | 木材 | 燃える物質そのもの (木材に含まれる炭素) |
助燃物 | 酸素 | 燃焼を継続させる物質 ※助燃物は燃えない |
点火源 | 火 | 燃焼を開始させる熱源 |
ガソリンに静電気で火が点いてしまった場合は、以下のように整理できます。
要素 | 何に含まれる | 何が要素 |
---|---|---|
可燃物 | ガソリン | 炭素を含む 有機化合物 |
助燃物 | 空気中 | 酸素 |
点火源 | 衣服など | 静電気 |
繰り返しになりますが、燃えた(酸化した)のは可燃物であって助燃物である酸素は燃えていないという点に注意です。
化学的には物質が酸化(燃焼)する際の化学反応式なども判っている必要がありますが、化学反応式の書き方などについては物理・化学のページのココで解説しています。
法令目線なら化学反応式までは要らんけど、化学の方ではスルー出来なさそうだな。
自然発火:物質自身が点火源となり燃焼する
燃焼のレパートリー的なもので「自然発火」があります。
燃焼の三要素は可燃物・助燃物・点火源ですが、点火しなくても燃えるの…?ですね。
自然発火について
(よくある例)
・空気中に危険物を放置したら発火した
(状況)
・可燃物と助燃物(酸素)がある
・点火源となるものが何かあれば燃える
(点火源となりうるもの)
・火および火花
・静電気
・摩擦熱
・輻射熱
・酸化熱
・発火点よりも高い気温
乙4物質では動植物油類の一部に自然発火の恐れがあり、点火源となるのは物質が酸化する事で溜まる「酸化熱」です。
物質自身が発熱する事で、近くに火がなくても発火に至る場合がある事を押さえておきましょう。
性状のページではこういう物質の適切な貯蔵・取扱い方法などが出てきます。
燃焼の種類:物質による燃え方の違い
燃焼は物質によって「どう燃えるか」が異なります。
以下の表はそのまま試験対策になるもので、赤字は試験でよく問われます。
種類 | どう燃える | 物質の例 |
---|---|---|
蒸発 燃焼 | 液面付近の 蒸気が燃える | アルコール ガソリン (乙4物質全般) |
表面 燃焼 | 固体のまま 表面から燃える | 木炭 コークス |
分解 燃焼 | 物質の分解で 発生した ガスが燃える | 木材 石炭 プラスチック |
内部 燃焼 | 可燃物が 自身の酸素で 燃焼を継続 | セルロイド (乙5物質) |
試験対策では「乙4物質は全て蒸発燃焼」と割り切って良く、燃え方は「蒸気が燃える」と押さえておきましょう。
勉強中のよくある「?」で蒸気とガスの違いって…?となりますので、ざっくりと整理します。
乙4勉強目線:蒸気とガス
(蒸気)
・もともと液体か固体のものが気化
・乙4物質は全て常温常圧で液体
・だから乙4物質は全て蒸発燃焼する
(ガス)
・本来の姿が気体のもの
・塩素など
・燃えないガス(不活性ガス)も存在
・ガスが燃えるのは石炭やプラスチックなど乙4とは関係ない物質
蒸発燃焼と蒸気の事を掴んどけば良さそうだな。
燃焼については一旦ここまでです!
危険物-関係法令(乙4向け):燃焼関連で押さえる事
【難易度:並】
燃焼関連
押さえる事
危険物 乙4試験に向けた覚え方
燃焼に関連する事柄を幾つか見ていきます。
覚えるのに時間がかかるものも少し出てくるので、ゆっくり進める前提で見るのが良さそうです。
覚えたら試験でめっちゃ使えるのも出てきますよ!
酸化還元反応
燃焼についてのパートで燃焼=激しめの酸化反応である事を見てきました。
ここでは酸化反応の対となる「還元反応」について見ておきます。酸化と還元を合わせて「酸化還元反応」とよく呼びます。
反応 | 酸素を (Oが) | 水素を (Hが) |
---|---|---|
酸化 | 得る (増える) | 失う (減る) |
還元 | 失う (減る) | 得る (増える) |
酸化還元反応について必ず押さえておきたいポイントは2つです。
- 酸化と還元は同時進行で起きる
- 物質自身には性質と反対の反応を起こす
物質同士が反応している時、お互いの物質の酸化と還元は同時進行で起きています。どちらか一方の反応が先という事はありません。
酸化性の物質は反応相手の物質を酸化させ、自身(酸化性物質)は還元されて反応を終え、逆も然りです。
国民への税金の還元も適切にやってくんねーかな…
わたしは増税メガネさんじゃないですよ?
沸点・引火点・発火点
危険物試験の全ての科目を跨ぐ「温度に関する言葉」が3つが出てきます。
1.沸点について
・液体が気体になり始める温度
・蒸気が出始める温度
・沸点は着火すれば燃える温度ではない
→ それは後述の引火点
・沸点は自然に燃え始める温度ではない
→ それは後述の発火点
(沸点を乙4物質でいえば)
・ガソリンが可燃性蒸気を発生開始する温度
沸点を正しく理解していないと、後に出てくるものがブレブレになっちゃいます。
2.引火点について
・物質へ着火すれば燃える最低の温度
・引火点は自然に燃え始める温度ではない
→ それは後述の発火点
(沸点を乙4物質でいえば)
・ガソリンの蒸気が空気と混ざっている状態で、点火すれば燃える最低の温度
ガソリンが空気中で燃焼するには、空気(酸素)とガソリンの蒸気が混ざった「混合気」である必要があり、燃焼に適した混合割合の範囲を「燃焼範囲」と言います。
混合気は濃すぎでも薄すぎでも燃えねーから燃焼範囲って概念があるんだな。
3.発火点について
・点火源ナシでも発火する温度
(沸点を乙4物質でいえば)
・アマニ油(動植物油類)が染み込んだ布を放置したら酸化熱が溜まって自然発火する
沸点・引火点・発火点とも物質により温度は異なります。
基本的に温度は低いものから、沸点 < 引火点 < 発火点 という並びをしています。
ここまでは言葉の理解ですが、次は法令の試験対策に直結するものです。
乙4物質の危険性の序列
・引火点を軸に「危なさ」の序列
・危なさは「危険等級」と従属する「区分」
(乙4試験対策では)
・区分に紐づく引火点を覚える
・↑を思い出して問題用紙の空白に書ける
以下の表を覚えていないと法令・性状の両方の科目で失点するので乙4試験の合格は相当厳しいものとなります。
危険 等級 | 第四類 区分 | 引火点 |
---|---|---|
Ⅰ | 特殊引火物 (二硫化炭素ほか) | ≦-20℃ |
Ⅱ | (メタノールほか) | アルコール類メチル 11℃ エチル 13℃ |
〃 | 一石油類 (ガソリンほか) | 第<21℃ |
Ⅲ | 第二石油類 (灯油ほか) | 21℃以上 70℃未満 |
〃 | 第三石油類 (重油ほか) | 70℃以上 200℃未満 |
〃 | 第四石油類 (ギヤー油ほか) | 200℃以上 250℃未満 |
〃 | 動植物油類 (オリーブ油ほか) | 250℃未満 |
この表をソラで書けないと試験は話にならんのか。
この表は何回も書いて「手で覚える」のが現実的な覚え方かなーと思います。
混ぜるな危険
混ぜるな危険=混触危険で、試験の科目では法令と性状を跨ぐ内容です。
危険物の混触禁止
(そもそも・考え方)
・火災防止の観点
・火災の原因となる危険物同士を近づけない
(具体的には)
・酸化性物質と可燃性物質は相性最悪
・可燃物を酸化させたら大爆発も有得る
・是が非でも乙4物質と乙1・乙6物質は隔離
→ 酸化性物質:乙1・乙6
→ 可燃性物質:乙2・乙4
→ 可燃性はある:乙3・乙5
(乙4の試験勉強をするには)
・似たようなものは混触OKと割り切る
可燃性の危険物を酸化性の危険物で酸化したら反応もとんでもねー事になりそうだよな…
以下の表は運搬時の混載可否ですが、貯蔵における混触可否として見ても良いです。
危険物運搬時 混載の可否 | 第一類 (乙1) | 第二類 (乙2) | 第三類 (乙3) | (乙4) | 第四類第五類 (乙5) | 第六類 (乙6) |
---|---|---|---|---|---|---|
酸化性固体 | 第一類||||||
可燃性固体 | 第二類||||||
自然発火・禁水性 | 第三類||||||
第四類 可燃性液体 | ||||||
自己反応性 | 第五類||||||
酸化性液体 | 第六類
混ぜるな危険…ってやつか。
塩素ガスが出る方の意味だと、乙1と乙6の組み合わせも相当注意しないとなんですけどね…
燃焼関連はここまでです!
危険物-関係法令(乙4向け):消火について
【難易度:並】
消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
消火について基本的な事を見ていきます。
危険物試験の科目では法令と性状を跨ぐものとなり、以外に細かい事が定められています。
消火とは火を消して消火する事を消火と言うのか…
シンジロー構文ですか…?
消火効果の種類
消火を一言で言えば燃焼の継続を阻害する事です。
燃焼の阻害には、燃焼の三要素のどれかを削れば良い訳ですが、燃えているものによってどの何を削るか変わってきます。
対応する燃焼の要素と消火効果を整理します。
消火 効果 | 燃焼の要素 | 消火活動の例 |
---|---|---|
消火 | 除去可燃物 可燃物を除去する | ・ロウソクの火を吹き消す ・燃えている物を撤去する |
消火 | 希釈可燃物 可燃物を薄める | 可燃性蒸気やガスを水蒸気で希釈する (燃焼範囲外になるまで薄める) |
窒息 消火 | 助燃物 酸素を供給遮断 | ・花火の燃えカスを砂で埋める | ・燃えている天ぷら鍋に蓋をする
冷却 消火 | 点火源 発火点以下に冷却 | 焚火(たきび)に水をかける |
抑制 消火 | 酸化反応を抑制 | (燃焼の継続)(負触媒作用、ハロゲン化物の消火剤) | 特定の消火剤で酸化反応の継続を阻止
消火の種類って何気に沢山あるんだよなぁ…
乙4物質は窒息消火が大原則
・乙4物質は窒息消火ほぼ一択
・酸素供給を遮断し燃焼を継続させない
・乙4物質に水系の消火は不向き
・油やアルコールは水より軽いから
→ 注水消火すると水に浮いて流れる
→ 結果、火災の範囲を広げる
乙4に水はダメ!
消火剤の種類・状態・薬品
消火効果の種類を見た次は、対応する消火剤の種類などです。
消火剤という事で薬品などが出てきますので、除去消火・希釈消火は一旦置いておきます。
消火 剤 | 消火剤 状態・薬品 | 効果 | 窒息効果 | 冷却効果 | 抑制
---|---|---|---|---|
水 | 棒状放射 霧状放射 | |||
強化 液 | 炭酸カリウム水溶液 棒状放射 霧状放射 | |||
泡 | 普通泡 耐アルコール泡 | |||
ガス | 二酸化炭素 ハロゲン化物 | |||
粉末 | リン酸塩類 炭酸水素塩類 | |||
砂 ・ 岩 | 乾燥砂 膨張真珠岩 膨張ひる石 |
乙4物質の消火には窒息消火が有効であるので、消火の手段では泡・ガス・粉末・砂&岩をよく使うという事になります。
膨張真珠岩などを使った窒息消火は乙4物質だけでなく、多くの危険物の消火に対応できる万能な消火手段です。
膨張真珠岩とか聞いた事なかったが実は万能なのか…
危険物の他の類でも膨張真珠岩・膨張ひる石は常連さんとして登場します。
消火設備の種類
消火を行う設備について見ていきます。
ここの内容は主に法令で、先のページで見てきた製造所等の技術基準と関連します。
消火設備は第1種~第5種に分かれています。
消火 設備 | 設備の例 | どんなもの 出題キーワード |
---|---|---|
第1種 | 消火栓設備 | 消火用ホースを格納 した壁付の収納盤 キーワード:栓 |
第2種 | スプリンクラー | 天井に取付された 散水機 キーワード:天井 |
第3種 | 泡消火設備 ハロゲン消火設備 | 消火剤の放出設備 (施設に備え付け) キーワード:設備 |
第4種 | 大型消火器 | 車輪付の大型消火器 キーワード:大型 |
第5種 | 小型消火器 水バケツ 水槽 乾燥砂 | ・一般的な消火器 ・水バケツ ・砂バケツ ・水槽 キーワード:小型 |
消火設備の覚え方は、表の上ほど大規模なものである事を理解しキーワードを紐づけると楽勝です。
これを覚えるのは割とすぐに出来そうだな。
給油取扱所には第3種消火設備が必須でしたね。
消火器のA・B・C
一般的な消火器は消火剤が噴出用の容器に詰められたものです。
火災は何が燃えているかでA・B・Cと種類が分かれ、消火器もそれに対応しています。
画像中の消火器のラベル左端に白い丸・黄色い丸・青い丸が印刷されています。
標識色 | 区分 | 対応 | 何が燃える |
---|---|---|---|
● | A | 普通 火災 | 紙・木・布など 普通物 |
● | B | 油 火災 | 引火性液体 |
● | C | 電気 火災 | モーター 変圧器など 電気設備 |
乙4物質の消火はBで黄色って覚えときゃいいか。
火災と消火器の種類分けを見た後なので、消火器に詰められた消火剤と消火効果にABC対応の可否を表にしてみます。
表は消火剤の節で出したものの拡張版です。
消火剤 種類 | 消火剤 状態・薬品 | 消火効果 | A | 普通 油 B | C | 電気
---|---|---|---|---|---|
水 | 棒状放射 | 冷却 | |||
〃 | 霧状放射 | 冷却 | |||
強化液 | 棒状放射 | 冷却 | |||
〃 | 霧状放射 | 冷却+抑制 | |||
泡 | 普通泡 | 窒息+冷却 | |||
〃 | 耐アルコール泡※ | 窒息+冷却 | |||
ガス | 二酸化炭素 | 窒息+冷却 | |||
〃 | ハロゲン化物 | 窒息+抑制 | |||
粉末 | リン酸塩類 | 窒息+抑制 | |||
〃 | 炭酸水素塩類 | 窒息+抑制 |
乙4の勉強目線で要点を切り出しますね。
消火器のABCに関する要点
・水系の消火方法は普通火災には有効
→ 油火災(乙4物質)には向かないだけ
→ 水は蒸発熱が大きく冷却効果も大きい
(乙4の試験勉強の目線では)
・乙4物質は基本的に「油」なので区分はB
・区分B:油火災に有効な消火剤は以下
・水系:強化液(霧)と耐アルコール泡
・ガス:CO2とハロゲン化物
・粉末:リン酸塩類と炭酸水素塩類
※水・強化液・泡を水系の消火方法と括る
消火に関する事ではここが一番重要ぽいな。
消火剤の事がわからないまま危険物の試験は受けられないですもんね…
消火については一旦ここまでです!
危険物-関係法令(乙4向け):消火関連で押さえる事
【難易度:易】
消火関連
押さえる事
危険物 乙4試験に向けた覚え方
消火に関連する事柄を幾つか見ていきます。
ここは法令の内容となり、覚えるよりもしっかりと理解しておけば得点しやすい部分です。
理解しておけばオイシク得点できます!
消火の困難度
製造所等(製造所・貯蔵所・取扱所は)は、消火の困難度が3段階に区分されます。
消火困難度の区分によって設置する消火設備の種類が変わります。
消火の困難度:要素と区分
(要素)
・製造所等の規模
・取扱う危険物の危険度
・指定数量の倍数
(消火の困難度の区分)
・高:著しく消火困難
・中:消火困難
・低:その他
(区分されると)
消火の困難度が高いほど、上位の消火設備の設置が必要となる
これ、消火設備を覚えてないと解けない問題が出そうだな…
消火設備 | 消火 困難 | 著しく困難 | 消火その他 |
---|---|---|---|
第1種 消火栓設備 | 第1種 第2種 第3種 いずれか | ||
第2種 スプリンクラー | 要 同上 | ||
第3種 泡消火設備 等 | 要 同上 | ||
第4種 大型消火器 | 要 | 要 | |
第5種 小型消火器 等 | 要 | 要 | 要 |
消火の困難度について試験対策用に解説を挟みます。
乙4試験対策では…
(著しく消火困難なら)
・消火設備は(第1種 or 第2種 or 第3種)+第4種+第5種
例:消火栓+大型消火器+水バケツ
(消火困難なら)
・消火設備は第4種+第5種
例:大型消火器+水槽
(その他なら)
・消火設備は第5種
例:乾燥砂の入ったバケツ
問題の出方は「消火の困難度と消火設備(具体名)の組合せが正しいか?」のような単調な問題がよく出ます。
製造所等の危なさに見合った消火設備を設置してね、という事ですね!
歩行距離
消火の困難度とは別に「歩行距離」が定められています。
消火器を消火対象となる危険物から一定の歩行距離以内に設置するというものです。
消火 設備 | 設備の例 | 距離 | 歩行
---|---|---|
第1種 | 消火栓設備 | |
第2種 | スプリンクラー | |
第3種 | 泡消火設備 ハロゲン消火設備 | |
第4種 | 大型消火器 | 30m |
第5種 | 小型消火器 水バケツ 水槽・乾燥砂 | 20m |
第4種(大型)の方が消火能力が高い分、第5種(小型)より歩行距離も長くていいんだな。
所要単位・能力単位
消火の「所要単位」と「能力単位」について見ていきます。
概念としては難しいものではありませんが、試験では計算問題として登場します。
所要単位・能力単位
(所要単位)
・必要な消火能力の単位
・試験では計算問題として出題される
・計算に必要な数値を覚える必要性
・乙4物質の指定数量の暗記も必要
(能力単位)
・設置された消火設備の消火能力単位
・消火設備ごとの数値は覚えなくてOK
・能力単位という言葉が判れば良い
(所要単位×能力単位では)
・所要単位を能力単位が上回る必要性
・消火能力に余裕を持たせる意味合い
能力単位は一先ず置いといても支障はなさそうだな…?
所要単位は以下の計算をした合計となります。
所要単位の計算で合計するもの
①:製造所等の広さが基準値の何倍か
→ 基準値の20倍であれば20所要単位
②:取扱っている危険物が指定数量の何倍か
→ 指定数量の10倍を1所要単位と換算
③:①+②の合計(単純な足し算)
→ ①:20 + ②:1 = 21所要単位
①の基準値は「製造所等の種類」と「耐火構造の有無」の2軸マトリクスを使います。
表中の数値は1所要単位となるものです。
縦:施設種類 横:耐火構造 | 外壁が 耐火構造 | 外壁が 非耐火構造 |
---|---|---|
製造所 取扱所 | 100㎡ | 50㎡ |
貯蔵所 | 150㎡ | 75㎡ |
所要単位は計算に慣れておきましょう!
計算問題の要素を分解して解いていきます。
計算Ⅰ
以下の条件の場合、所要単位は?
・非耐火構造の製造所
・床面積は1,000㎡
(計算の材料)
①非耐火構造の製造所:50㎡
②床面積:1,000㎡
(計算式)
②床面積 ÷ ①1所要単位となる基準値
(実際の計算)
②1,000㎡ ÷ ①50㎡ = 20
答え:所要単位は20である
ここでまず、製造所の建物自体の所要単位が出てきました。
次は指定数量の倍数を計算して、計算Ⅰの結果に足すんだっけか。
計算Ⅱ
以下の条件の場合、所要単位は?
・灯油の取扱量が10,000ℓ
(計算の材料)
①灯油の取扱量:10,000ℓ
②指定数量:1,000ℓ(暗記が必要)
(計算)
①灯油の取扱量 ÷ ②灯油の指定数量
= 指定数量の10倍 → 所要単位は1
————————————————————
計算Ⅲ
以下の条件の場合、所要単位は?
・非耐火構造の製造所
・床面積は1,000㎡
・灯油の取扱量が10,000ℓ
(計算の材料)
・計算Ⅰの所要単位:20
・計算Ⅱの所要単位:1
(建物の条件+取扱量での所要単位)
答え:所要単位は21である
所要単位の計算は簡単だけど、指定数量を覚えてないと解けないのがキツいな…
これが何気に危険物って難しいと言われるところです。
消火についてはここまでです!
危険物-関係法令(乙4向け):警報設備と避難設備
【難易度:易】
警報設備
避難設備
危険物 乙4試験に向けた覚え方
警報設備と避難設備を見ていきます。
この2つは試験で出題されても知っていれば得点出来るほど簡単なので、とりあえず知っておけばOKです。
最後にボーナスステージです(?)
警報設備
製造所等には原則、警報設備の設置義務があります。
警報設備の設置義務
(義務の発生)
危険物の取扱量が指定数量の10倍以上
(除外)
移動タンク貯蔵所
また指定数量かよ…
警報では計算問題も出ないので、とりあえず10倍以上って覚えとけばOKです!
以下5種類の警報設備から製造所等の規模や構造に見合ったものを設置します。
警報設備の種類
・自動火災報知機(自火報)
・非常ベル装置
・消防機関へ放置可能な電話
・サイレン
・警鐘(半鐘)
・拡声装置(非常用メガホン)
どれか一つを必ず設置する事が義務付けられています。
ベタっつーかアナログなモノも多いんだなぁ…
義務付けるとなると、どーしてもそーなっちゃいますね。
避難設備
製造所等では避難設備も設置義務があります。
避難設備の設置義務等
(義務の発生)
・不特定多数の人が集まる施設である
・避難経路に迷いそうな場所が存在する
(理解しておく事)
誘導灯は避難設備として設置される前提なので、その電源は非常電源である必要がある
避難設備については試験での出題頻度は高くありませんが、出ても枠内の整理を押さえておけば問題ありません。
避難設備ってこれで終わり?
ボーナスステージですから…
警報設備・避難設備はここまでです!
危険物-関係法令(乙4向け):試験対策の一問一答⑥
このページで出てきた内容から試験対策っぽいものを作ってみました。
一問一答形式で確認していきましょう!
問題右端の+ボタンで答えが出てきます。
問1:燃焼は光と熱を発しながらの酸化反応である?
まる!
問2:酸素は助燃物って本当?
まる!助燃物は酸素供給源とも言われます。
問3:ガソリンの燃焼方法は液体のまま燃える直接燃焼だっけ?
ばつ!蒸気が燃える蒸発燃焼です。
問4:引火点とは点火源がなくても燃え始める温度だよね?
ばつ!火をつけたら燃える最低温度です。
問5:第四類と第六類は混合・混触しても良い?
ばつ!発火・爆発するのでダメゼッタイ。
問6:窒息消火は点火源を取り除く消火方法っていう理解で合ってる?
ばつ!助燃物(酸素)の供給遮断です。
問7:抑制消火は酸化反応を抑制する消火方法だっけ?
まる!
問8:第四類に粉末消火剤・乾燥砂での消火は有効だよね?
まる!第四類は窒息消火が基本となります。
問9:第四類の火災はB火災に区分され、B消火器を使用するのが適切?
まる!
問10:水バケツ・乾燥砂などは第4種消火設備だったよね?
ばつ!それらは第5種です…
結構長いページだったな。
科目跨ぎで燃焼・消火・警報などを繋げたらこーなっちゃいましたね。
燃焼と消火を通しで見るってのは悪くない気がするぞ。
そー言ってもらえると。
一つの事柄を科目でブツ切りにして書くと理解しにくいんですよね…
これで危険物の法令は最後まで来たんだっけ。
そーですね。
法令はやっぱ指定数量を覚えてないと足枷になっちまうなぁ。
指定数量を覚えるのは性状を見てからの方が良いので、とりあえず先に進みましょう。
次のページは危険物 第四類(乙4)の試験対策で、物理化学と計算問題の対策です!
■危険物 第四類(乙4)ページ一覧
①:第四類の概要
②:関係法令のカテゴリトップ
③:法令1 資格・免状・申請
④:法令2 指定数量・予防規定・諸手続
⑤:法令3 役職者・施設概要・取扱
⑥:法令4 製造所・取扱所
⑦:法令5 貯蔵所・製造所等まとめ
⑧:法令6 燃焼・消火・警報
⑨:物理化学・計算問題
⑩:性状と消火1 危険等級Ⅰ・Ⅱ
⑪:性状と消火2 危険等級Ⅲ