このページは第一種 衛生管理者の試験対策のうち、関係法令:有害業務に関わる内容から労働衛生管理・有害化学物質・局所排気装置・作業環境測定・労働衛生保護具・リスクアセスメント・生物学的モニタリング等について書いています。
- 労働衛生管理
- 有害化学物質の状態と分類
- 局所排気装置
- 作業環境測定
- 労働衛生保護具
- リスクアセスメント
- 生物学的モニタリング
労働衛生、有害業務について見るページか。
です!関係法令はただ覚える事が次々出ましたが、労働衛生は実務的な事を理解していくのが多いです。
労働衛生も有害業務関連は試験で10問出るんだっけ。
はい。なので関係法令と同じように2ページに分けて10問分を攻略します。
無理やり覚えるのが減るのは助かるな。
早速、見ていきましょう!
第一種 衛生管理者の試験のうち、労働衛生:有害業務に係るものは問11~問20に配置されています。
衛生管理者-労働衛生 有害:労働衛生管理
【難易度:易】
労働衛生管理
衛生管理者試験に向けた覚え方
労働衛生管理そのものは有害な作業環境だけでなく一般の作業環境でもする事です。
ただし、第一種 衛生管理者の試験では有害作業環境の内容として問11-問20の中の前半で出題されます。
理解する事は極めて簡単で、様々な労働衛生管理を以下の3つに分けるだけです。
整理 | 管理内容の具体例 |
---|---|
作業環境 管理 | 作業環境から有害因子を排除 換気・照明・温度・湿度 作業環境測定 |
作業管理 | 職業性疾病の予防 作業方法・作業量・作業時間 保護具の着用 |
健康管理 | 健康の保持・増進 健康診断・面接指導 メンタルヘルスケア |
早速、過去問を解いてみます。
■問.労働衛生対策を進めるにあたり、次のA~Eの対策例について作業管理に該当するものの組合せはどれか。
A:振動工具の取扱業務において、振動曝露時間の制限を行う。
B:有機溶剤業務を行う作業場で局所排気装置の吸い込み風速を測定する
C:強烈な騒音を発する作業場において、労働者に耳栓・イヤーマフを使用させる。
D:有害な化学物質を取扱う設備を密閉化する。
E:鉛健康診断の診断結果が芳しくない労働者を配置転換する。
(1)A・B (2)A・C (3)B・C (4)C・D (5)D・E
正しいものは(2)です。
保護具(耳栓・イヤーマフ)の着用は作業管理となります。
振分ければいいだけか。
です。教科書を一回読めば出来るレベルですね。
衛生管理者-労働衛生 有害:有害化学物質の状態と分類
【難易度:並】
有害化学物質
蒸気・ガス
衛生管理者試験に向けた覚え方
有害化学物質と一言で言っても色々な状態や分類があり、人体への取り込み方や引き起こす健康障害も様々です。
第一種 衛生管理者の試験問題では、分類と具体的な物質名の組合せが出来ればOKで、極めて高い頻度で出題されます。
状態 | 分類 | 概要と物質例 |
---|---|---|
固体 | 粉じん | 研磨や摩擦で散った粒子 石綿 ジクロロベンジジン オルト-トリジン |
〃 | ヒューム | 蒸散した金属が微粒子化 酸化亜鉛・銅 ベリリウム |
液体 | ミスト | 液体の微粒子 硫酸 硫酸ジメチル |
気体 | 蒸気 | 液体が気化したもの トリクロロエチレン 水銀・溶剤 (二硫化炭素など) |
〃 | ガス | もともと気体のもの 塩素・一酸化炭素 ホルムアルデヒド 二酸化硫黄 |
試験でよく問われる「常温で蒸気であるもの」の覚え方は、「元の状態は液体」であると整理すると良いです。
覚える事はこのくらいで十分なので早速、過去問を解いてみます。
■問.次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
(1)塩化ビニル
(2)ジクロロベンジジン
(3)トリクロロエチレン
(4)二酸化硫黄
(5)ホルムアルデヒド
正しいものは(3)です。
これは覚えゲーだな。
化学を勉強した人は得意な問題ですね。
衛生管理者-労働衛生 有害:局所排気装置
【難易度:中】
局所排気装置
衛生管理者試験に向けた覚え方
関係法令の定期自主検査でも出てきた局所排気装置、労働衛生では種類や設置基準について見ていきます。
第一種 衛生管理者の試験問題では、構造と設置等の基準について、または種類と排気効果の強い順番について、極めて高い頻度で出題されます。
局所排気装置の構造と基準等
局所排気装置の構造は上図でイメージをつかみ、各種フードで有害物質を吸引した後、外に排気されるまでの基準等を解説します。
・有害物質の発生源ごとに設置
・様々なタイプのフードが存在(後述)
・フード開口部の周囲にフランジがあると整流作用が増して吸引効率が上がる(←試験対策に直結)
・本来は円形が良い
・全長を短く、曲がり(ベント)部分は少ないのが良い
・分岐部分の合流角度は45°以下
・太く断面積が大きいと圧力損失は小さくなるが、空気の流速も下がるので内部に粉じん等が堆積しやすくなる
・除じん装置と排ガス装置の2種類
・吸引する動力源でもある
・遠心式と軸流式に大別
・設置場所は必ず空気清浄装置より外側(←試験でよく出る)
・排気口の高さは屋根から1.5m以上
・排気口は窓から8m以内の近さは不適当
試験対策は構造(吸気→排気まで)と赤字の部分を押さえておけば大丈夫です。
構造とちょっとした基準を理解すればいいのか。
局所排気装置の種類と排気効果
局所排気装置の吸引口(フード)を絵で見ると上図のようになります。試験対策用に表に整理します。
区分 | 種類・排気効果 |
---|---|
囲い式 フード | ①カバー型 ▼ ②グローブボックス型 ▼ ③ドラフトチェンバー型 ▼ 建築ブース型 |
外付け式 フード | ④側方吸引型(ルーバー型等) 下方吸引型(グリッド型) ▼ ⑤上方吸引型(レシーバー式) キャノピー型 |
表中、上にあるほど排気効果が高く、区分では囲い式 > 外付け式となります。試験では表中の並び通りかだけを問われる事も割とあります。
局所排気装置の覚え方
・図を見てイメージをつける
・どれが囲い式or外付け式か把握
・名前になっている英単語の意味を理解
図と表で丸覚え!
第一種 衛生管理者の試験で局所排気装置は長めの文章での間違い探しのパターンが少し厄介です。
■問.局所排気装置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)ダクトの形状には円形、角形などがあるが、断面積を大きくするほどダクトの圧力損失が増大する。
(2)フード開口部の周囲にフランジがあると、フランジがない時に比べて気流の整流作用が増し、大きな排風量が必要となる。
(3)ドラフトチェンバ型フードは、発生源からの飛散速度を利用して捕捉するもので、外付け式フードに分類される。
(4)建築ブース型フードは、作業面を除き周りを覆われているもので、囲い式フードに分類される。
(5)ダクトは曲がり部分をできるだけ少なくするように配管し、主ダクトと枝ダクトの合流角度は60°を超えないようにする。
正しいものは(4)です。
出てくる言葉の意味を一つ一つ理解していけばやれるな。
ちょっと初見殺しな問題なので、過去問で慣れておきましょう!
局所排気装置はここまでです!
衛生管理者-労働衛生 有害:作業環境測定-労働衛生side
【難易度:高】
作業環境測定
評価基準
衛生管理者試験に向けた覚え方
関係法令でも出てきた作業環境測定は、労働衛生では「どう評価して・結果どうする」といった内容で出てきます。
正直な話、第一種 衛生管理者試験の中でもトップクラスにやりにくく、過去問ローラーでも最後にできれば良い部類です。
作業環境測定の方法(作業環境測定基準)
作業環境測定は「デザイン」・「サンプリング」・「分析」の3つで構成されます。
PDCAサイクルで言えば「デザイン=P」・「サンプリング=D」・「分析=C」+措置=A、ですね。
①デザイン
測定対象・測定範囲・測定日時・測定方法を決めます。測定方法はA測定のみ、またはA測定+B測定どちらでいくか決定します。
測定方法 | 何を把握 |
---|---|
A測定 | 空気中の有害物質濃度の 平均的な状態を把握 |
B測定 | 労働者が一定間隔で繰り返し 有害物質の曝露を受ける中で 最高濃度を把握 |
②サンプリング
作業環境の空気を試料として採取します。原則として連続した2作業日での測定が必要です。
③分析
採取した試料を、作業環境測定基準に従い分析・評価の材料となる数値を作ります。A測定では、2つの評価値を作ります。
有害物質の空気中濃度を測っているので、測定値は小さい方が状態は良いという事になります。
評価値 | どういう意味 |
---|---|
第1評価値 | 作業場で空気の悪い場所 ワースト5%分を評価 評価材料として厳しい数値 |
第2評価値 | 作業場全体の有害物質 算術平均濃度 評価材料として甘い数値 |
何か第1評価値が基準値をクリアすると結果も良いっぽいな。
あ、ネタバレです 笑
作業環境測定結果の評価と管理区分(作業環境評価基準)
おっさんのネタバレ通りの内容ですが、作業環境測定結果を評価して管理区分を決定し、定められた措置を講じます。
管理区分は基準値となる「管理濃度」に対して実際の測定結果がどうであったかで振分けます。
管理濃度は評価の為の指標であり、有害物質のばく露限界値とは異なります。(←試験対策の上で超重要)
まずは管理区分の整理を見て見ます。
管理区分 | 講ずべき措置 |
---|---|
(優良) 第1管理区分 | 現況の継続的維持 |
第2管理区分 | (課題有)【要点検】 施設・設備・作業方法 措置は努力義務 |
(要改善) 第3管理区分 | 【要改善】 施設・設備・作業方法 措置は必須義務 +呼吸用保護具の着用 |
次に、A測定(作業場の空気の平均的な状態の測定)のみの場合の管理区分の分け方を整理します。
有害物質の濃度なので数値は小さい方が良いのと、第1評価値=厳しく見た数値・第2評価値=甘く見た方の数値です。
管理区分 | A測定のみの判定 |
---|---|
(優良) 第1管理区分 | 第1評価値 ▲(小さい) 基準:管理濃度 |
第2管理区分 | (課題有)第2評価値 ▲(小さい) 基準:管理濃度 ▼(大きい) 第1評価値 |
(要改善) 第3管理区分 | 基準:管理濃度 ▼(大きい) 第2評価値 |
甘く測定した方の第2評価値ですら基準オーバーはダメだろって話だな。
次にA測定+B測定のパターンです。勿論の事、管理区分の決定も2軸となり、ややこしくなります。
表の下または右へ行くほど測定値が悪い意味で大きく、管理区分が下がるのをイメージすると掴みやすいと思います。
→ 横:B測定 縦:A測定 ↓ | B測定値 ▲ 管理濃度 | 管理濃度 ▲ B測定値 ▼ B測定値 ×1.5 | 管理濃度 ×1.5 ▼ B測定値 |
---|---|---|---|
第1評価値 ▲ 管理濃度 | 第1 管理区分 | 第2 管理区分 | 第3 管理区分 |
第2評価値 ▲ 管理濃度 ▼ 第1評価値 | 第2 管理区分 | 第2 管理区分 | 第3 管理区分 |
管理濃度 ▼ 第2評価値 | 第3 管理区分 | 第3 管理区分 | 第3 管理区分 |
B測定では評価値が一つしかない分、B測定値または管理濃度に1.5を乗じて区分分けに使います。
ちょっとこれ、数字嫌いの俺とかキツいんだけど。
実際に計算する訳じゃないので、ここは我慢です…!
第一種 衛生管理者の試験の中で作業環境測定は非常に難しく・出題頻度もとても高いので、時間をかけて攻略しましょう。
■問.厚生労働省の「作業環境測定基準」および「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定およびその結果の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)管理濃度は、有害物質へのばく露限界の値である。
(2)原材料を反応層に投入する場合など、間欠的に有害物質の発散を伴う作業による期中有害物質の最高濃度は、A測定の結果により評価される。
(3)単位作業場所における気中有害物質濃度の平均的な分布は、B測定の結果により評価される。
(4)A測定の第2評価値およびB測定の測定値が、いずれも管理濃度に満たない場合、第1管理区分となる。
(5)B測定の測定値が管理濃度×1.5を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第3管理区分となる。
正しいものは(5)です。
2軸の表中の答え探しですが、2軸を見るのがしんどい場合、先にA測定の表を覚えると良いです。
これ、一旦先送りするか…
大丈夫、わたしもそうしてました!
作業環境測定(労働衛生side)はここまでです!
衛生管理者-労働衛生 有害:労働衛生保護具
【難易度:易】
保護具
衛生管理者試験に向けた覚え方
有害業務に従事する際の保護具関連です。
第一種 衛生管理者の試験では極めて高い出題率で、呼吸用保護具に特化した出題 8:保護具オムニバスの問題 2くらいです。
どちらの問題が出ても難易度は低いので、学習もさらっと流していきます。
呼吸用保護具
呼吸用保護具は色々なタイプのマスクです。とりあえず整理します。
種類 | タイプ | 概要・大事な事 |
---|---|---|
ろ過式 | 防じんマスク (粉じん・ヒューム・ミストに対応) 防毒マスク (ガス・蒸気に対応) 電動ファン付呼吸用保護具 | 共通:酸欠場所(酸素濃度18%未満)では使用不可 共通:マスク類は顔面に密着させる 防じんマスク:フィルター(ろ過材)の手入方法は「水洗い」 防毒マスク:ガスの吸収缶によって対応可能なガスが変わる 電動ファン付:一定の防じん・防毒性能を併せ持つ |
吸気式 | 自給式呼吸器 (空気呼吸器・酸素呼吸器) 送気マスク (ホースマスク・エアラインマスク) | 自給式呼吸器:圧縮した酸素or空気をボンベに詰めたもの 送気マスク:パイプ等で作業場の外から空気を口元まで送る |
防毒マスクの毒ガス吸収缶は、吸収するガスの種類によって色が決められています。
主なガスの種類 | 吸収缶 |
---|---|
有機ガス(有機溶剤) | 黒 |
硫化水素 | 黄 |
一酸化炭素 | 赤 |
アンモニア | 緑 |
シアン化水素(青酸) | 青 |
ハロゲンガス (塩素・臭素・フッ素) | 灰×黒 |
吸収缶の色の覚え方は、ガスに含まれている物質の色などを考えるとイメージつきやすいです。
また、吸収缶の除毒能力は有限で、効果が切れるまでの時間を「破過(はか)時間」と言います。
吸収缶の色と破過時間の意味は試験でよく出ます!
その他の労働衛生保護具
呼吸用保護具以外の保護具も試験に出る時は出るので、浅く広く確認しておきましょう。
保護部位 | タイプ | 概要・大事な事 |
---|---|---|
眼 | 保護メガネ 遮光保護具 | 保護メガネ:飛散する薬品や粒子が目に入るのを防ぐ 遮光保護具:溶接やレーザー作業の有害光線から目を守る |
耳 | 耳栓 イヤーマフ | 著しい騒音から耳の内部を守る 120db以上の酷い騒音の場合は耳栓とイヤーマフの併用が有効 |
全身 | 防熱衣 化学防護服等 | 防熱衣:著しく暑熱な作業場で着用、アルミナイズドクロス製 化学防護服等:バイオハザードの白い服の人たちのイメージ |
露出部 | 保護クリーム | 皮膚の露出部に一時的に有害物質が付着しても良いよう塗布 作業終了後は完全に洗い落とさないと後が危険 |
こっちは随分とあっさりだな。
まあ、難しくないし試験にあんま出ないし…
第一種 衛生管理者の試験で保護具の問題は2パターン(呼吸用保護具特化・保護具オムニバス)のどちらかが出るので、両方とも見ておきましょう。
まずは、よく出る方の「呼吸用保護具に特化した問題」からです。
■問.呼吸用保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有機ガス用防毒マスクの吸収缶の色は黒で、一酸化炭素要は赤である。
(2)ガスまたは蒸気の有害物質が粉じんと混在した作業環境で防毒マスクを使用する際は、防じん機能も持つものを選ぶ。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク・空気呼吸器・電動ファン付呼吸用保護具がある。
(4)防じんマスクの手入れをする際、フィルターは水洗いで有害物質を洗い流し、再飛散させない。
(5)防じんマスクは、面体と顔面の間にタオルなどを挟まない。
誤っているものは(3)です。
次に、保護具オムニバスの問題です。
■問.労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ガスまたは蒸気状の有害物質が粉じんと混在している作業場で防毒マスクを使用する時は、防じん機能も有するものを選ぶ。
(2)保護クリームは作業終了後に完全に洗い流さなければならない。
(3)送気マスクは、清潔な空気をボンベに詰めたものを空気源として作業者に供給する自給式呼吸器である。
(4)遮光保護具には、遮光度番号が定められており、溶接作業などの作業の種類に応じて適切な遮光度番号のものを使用する。
(5)騒音作業における防音保護具として、イヤーマフ(耳覆い)または耳栓のどちらを使用するかは作業者の好み等によるが、120db以上の極めて強烈な騒音の場合は併用するのが有効である。
誤っているものは(3)です。
一般常識とまではいかないが、一度見とけば大丈夫かもな。
保護具の問題は得点源ですね。
労働衛生保護具はここまでです!
衛生管理者-労働衛生 有害:リスクアセスメント
【難易度:中】
リスク
衛生管理者試験に向けた覚え方
リスクアセスメントを要約すると、職場の労災リスク等を見える化(リスク評価)から対処の一連を通して労災防止の対策を講じる事です。
ここでは基準等が並んで法令っぽい内容ですが、第一種 衛生管理者の試験では労働衛生の問題として出題されます。
出題率は80%以上と高く、長い文章で攻めてきますので言葉に慣れておく必要があります。
リスクアセスメントの実施手順
まず、リスクアセスメントでは以下手順の実施を要求されます。
- 対象化学物質等の危険性・有害性の特定
・原材料として新規に採用または変更時
・取扱う作業方法や手順を新規に採用または変更時
・危険性または有害性等について変化が生じた場合
→ 変化が生じる恐れのある時も実施 - リスクの見積(手法等は後述)
- リスク低減措置の内容検討
- リスク低減措置の実施
- 労働者への周知
噛み砕くと、①何がどうヤバそう?→②どの位ヤバい?→③どうする?→④これをやった→⑤みんなに共有、という感じですね。
この一連の動きで使う資料・ソースは以下のものがあります。
試験で初見を避けたい資料名
・化学物質安全データシート(SDS)
・化学物質等に係る機械設備の情報 等
・化学物質等に係る機械設置のレイアウト 等
・作業環境測定結果 等
・国連勧告のGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)等にある危険性・有害性の分類
※資料名や内容は覚える必要はなく、試験で資料名が初見となってテンパらなければ良いです。
参考リンク:リスクアセスメント(厚労省)
リスクの見積手法
リスクの見積手法は複数あり、状況によって適切なものを選択します。
まずはシンプルなばく露濃度と化学物質の有害性の程度を比較・考慮するものを見ていきます。
手法の名称① | 概要・見積の方法 |
---|---|
実測値による方法 | 作業環境測定の測定結果(化学物質の気中濃度)を、ばく露限界と比較する方法 |
使用量等から推定 | 数理モデルを用いて化学物質の気中濃度を推定し、ばく露限界と比較する方法 |
尺度化した表を使用 | 労働者の化学物質へのばく露の程度と、その化学物質の有害性を相対的に尺度化し 縦軸×横軸の表でどこに当てはまるかを見る方法(マトリクス法でもある) |
基準との比較や状況の当てはめだな。
次に、健康障害を生ずる可能性「発生可能性」と障害の重さ「重篤度」を考慮する方法です。
手法の名称② | 概要・見積の方法 |
---|---|
マトリクス法 | 発生可能性と重篤度を相対的に尺度化し、縦軸×横軸の表の中で当てはめる |
数値化法 | 発生可能性と重篤度を一定の尺度により数値化し、加算または乗算する |
枝分かれ図を用いる | 発生可能性と重篤度を枝分かれ図(樹形図)に落としていく |
第一種 衛生管理者の試験では、手法の名称と方法が合致しているか等、割と突っ込んだ出題がされます。
マトリクスや樹形図は一般的なので「材料」に注目です!
リスク低減措置の検討と優先順位
リスクを見積もった後、リスク低減措置の検討をします。
検討の際、リスク低減措置の「優先順位」が極めて重要になります。
・危険性や有害性の低い材料への代替
・危険な作業の廃止と変更
・より安全な施工方法への変更
・局所排気装置
・防音囲いの設備 等
・マニュアルの整備
・教育訓練の拡充
・立入禁止措置 等
・化学物質等の有害性に応じたもの
・保護具の検討は優先順位の最後
考え方として保護具に頼りきりのリスク対策でなく、先ずは材料と作業内容からで保護具は最後というものです。
装備(保護具)だけ良くても他がグダグダじゃ怖いもんなぁ。
第一種 衛生管理者の試験でリスクアセスメントの問題は選択肢一つ一つの文章がとにかく長いです。
ここで初めて見る言葉があると焦って集中できなくなるので要注意です。
■問.厚生労働省の「化学物質等による危険性または有害性の調査等に関する指針」に基づくリスクアセスメントに関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)リスクアセスメントは、化学物質等を原材料として新規に採用し、または変更する時、化学物質等を製造し、または取扱う業務に係る作業の方法または手順を新規に採用し、または変更する時などに実施する。
(2)化学物質等による危険性または有害性の特定は、リスクアセスメント等の対象となる業務を洗い出したうえで、原則として国連勧告の「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」などで示されている危険性または有害性の分類等に即して行う。
(3)リスクの見積りは、化学物質等が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、または化学物質等により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)および当該危険または健康障害の程度(重篤度)を考慮して行う。
(4)化学物質等による疾病のリスクにいては、化学物質等への労働者のばく露濃度等を測定し、測定結果を厚生労働省の「作業環境評価基準」に示されている「管理濃度」と比較することにより見積もる方法が確実性が高い。
(5)リスクアセスメントの実施に当たっては、化学物質等に係る安全データシート(SDS)、作業標準、作業手順書、作業環境測定結果等の試料を入手し、その情報を活用する。
誤っているものは(4)です。
もーちょいスマートな文章にしてくれよ…
これ、いつぞやの過去問ほぼ原文ママなんですけどねー
リスクアセスメントはここまでです!
衛生管理者-労働衛生 有害:生物学的モニタリング
【難易度:易】
生物学的
モニタリング
衛生管理者試験に向けた覚え方
生物学的モニタリングは、関係法令で出てきた特殊健康診断に密に関連します。
尿中や血中の有害物質の量を測定し、体内の蓄積量を推定し健康管理に繋げるというものです。
第一種 衛生管理者の試験では、労働衛生で有機溶剤と鉛に限定した問題として登場します。
有機溶剤と鉛の血中・尿中代謝物等
生物学的モニタリングで採取する尿・血液は、有機溶剤・鉛によってタイミングが違います。
モノによって体内に取り込んだ後、代謝されて排出されるまでの時間(生物学的半減期)が違うからです。
有害物質 | 生物学的 半減期 | 尿・血液 採取時期 |
---|---|---|
有機溶剤 | 短い | 作業直後 急ぎ |
鉛 | 長い | 作業期間中 いつでも |
ここまでは前座で、試験で組合せを問われる物質は以下です。
物質名 | 代謝物等 |
---|---|
トルエン | 尿中 馬尿酸 |
キシレン | 尿中 メチル馬尿酸 |
スチレン | 尿中 マンデル酸 |
ノルマンヘキサン | 尿中 2,5-ヘキサンジオン |
N,N- ジメチルホルムアミド | 尿中 N-メチルホルムアミド |
鉛 | 血液中 鉛 尿中 デルタアミノレブリン酸 |
覚え方の整理として、血液中の測定は鉛だけで他は全て尿中です。物資と代謝物等は何回か見ていれば覚える…筈です。
数も少ないし何とかなるか。
早速、生物学的モニタリングの過去問見てをみます。80%以上の高い頻度で出題され、難易度は低いです。
■問.特殊健康診断に関する文中の【】に入れる語句の組合せとして正しいものはどれか。
特殊健康診断において有害物の体内摂取量を把握する検査として生物学的モニタリングがあり、トルエンについては尿中の【A】を測定し、【B】については【C】中のデルタアミノレブリン酸を測定する。
(1)A:馬尿酸 B:鉛 C:尿
(2)A:馬尿酸 B:鉛 C:血液
(3)A:マンデル酸 B:鉛 C:尿
(4)A:マンデル酸 B:亜鉛 C:尿
(5)A:マンデル酸 B:亜鉛 C:血液
正しいものは(1)です。
これなら出来るな。
慣れてれば10秒くらいで回答できますね!
衛生管理者-労働衛生 有害:一息ついて次ページへ
覚える事が減ってもヘビーだったな…
でも法令に比べりゃ無理やり覚える事が少なくていいかもな。
こっちは理解すれば良い事が多いですもんね。
後半はどんなのやんの?
健康障害のオンパレードです。
前半に健康障害以外を纏めてしまって、後半で集中するのが良いかなーって事で。
有害物質の人体への影響とかは割と興味あるぞ。
じゃあ後半いきましょー!
という事で、次のページでは労働衛生のうち有害業務に係るもの(後半)を見ていきます。
■衛生管理者 ページ一覧
①:衛生管理者の概要
②:関係法令-有害業務(前半)
③:関係法令-有害業務(後半)
④:労働衛生-有害業務(前半) ◀◀ NOW
⑤:労働衛生-有害業務(後半)
⑥:関係法令-一般業務と共通
⑦:労働衛生-一般業務と共通
⑧:労働生理(前半)
⑨:労働生理(後半)