このページは第一種 衛生管理者の試験対策のうち、労働生理:消化器系・泌尿器・ホルモンなどについて書いています。
労働生理の後半ページです。前半はこちら!
- 栄養素と消化器系
- 泌尿器と尿
- 代謝と睡眠
- 免疫・ホメオスタシス・ホルモン
- 男女による性差 まとめ
労働生理の後半は人体の事が中心の内容?
そーですね。こっちは保健体育+家庭科みたいな感じです。
なんかカタカナで覚える事が割と出てきそうだな…
衛生管理者-労働生理:栄養素と消化器系
【難易度:並】
栄養素
消化器系
衛生管理者試験に向けた覚え方
消化器系では摂取した食物をから栄養素を取出し、分解して吸収します。
栄養素を取り出した後の食物だったものは糞・尿として排出される訳ですが、衛生管理者の勉強で糞便は出てきません。
尿については泌尿器のところで軽く触れます。
栄養素の分解と吸収
消化器それぞれについて見る前に、栄養素の基本的な事を押さえておきます。
三大栄養素としてタンパク質・脂質・炭水化物(糖質)があり、ビタミン類・ミネラル(無機質)を足して五大栄養素と呼びます。
三大栄養素 | 人体にとって |
---|---|
タンパク質 | 皮膚・筋肉・内臓の主成分 1g=4キロカロリー |
脂質 | ホルモン・細胞膜の原料 エネルギー源 1g=9キロカロリー |
炭水化物 (糖質) | エネルギー源 1g=4キロカロリー |
これらが分解され、どこで分解されて・何になって吸収されるかを纏めてみます。
五大栄養素 | どこで分解 | 何に変化 |
---|---|---|
タンパク質 | 胃 小腸 | アミノ酸 |
脂質 | 小腸 | 脂肪酸 グリセリン |
炭水化物 (糖質) | 口 小腸 | ブドウ糖 |
ビタミン類 | - | そのまま |
ミネラル | - | そのまま |
ビタミン類・ミネラルは分解されず、そのまま吸収されます。どの栄養素も小腸で吸収されます。
家庭科の内容だなコレ。
消化器系:胃・膵臓・小腸・大腸
ここからが消化器系の本題です。胃・膵臓・小腸・大腸について見ていきます。
肝臓については第一種 衛生管理者の試験で単体問題として登場する事もあるので、次のパートで個別に解説します。
- 胃:上腹部にあり食道に繋がる。タンパク質を分解する
- 膵臓:膵液は三大栄養素それぞれを分解する消化酵素を持つ
- 小腸:流れ込んだ膵液と胆汁で三大栄養素を分解し表面「ビロード状の絨毛」で吸収する
- 大腸:大腸液に消化酵素は含まない。消化物の水分を吸収し固形(糞便)にする
試験対策では、三大栄養素を「何で分解するか」を覚えておかなければならず、表で見ていきます。
三大栄養素 | 消化酵素 |
---|---|
タンパク質 | 胃:ペプシン 膵液:トリプシン |
脂質 | 膵液:膵リパーゼ |
炭水化物 (糖質) | 唾液:アミラーゼ 膵液:膵アミラーゼ 小腸:マルターゼ |
胃のペプシンは前駆体をペプシノーゲンと言い、試験でよく出るので初見で混乱しないようにしましょう。
肝臓ナシで出題された場合、ここまでの内容で戦えます。
衛生管理者の試験で消化器系の問題はほぼ確実に出題されます。まずは肝臓ナシのパターンで肩慣らしします。
■問.消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。
(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)膵臓から十二指腸に分泌される膵液には、消化酵素は含まれていないが、血糖値を調節するホルモンが含まれている。
(4)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を分解する。
(5)小腸の表面は、ビロード状の絨毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。
誤っているものは(3)です。
これは家庭科の教科書通りみたいな問題だな。
これなら楽勝なんですけど…
消化器系-肝臓:多くの働きをもつ万能臓器
消化器系を見ていく中で肝臓の事が入ると少しややこしくなります。
肝臓には複数の役割があるので、整理してしまいます。
肝臓の働き | 内容 |
---|---|
胆汁合成 | ・胆汁を1日約1,000ml分泌する ・胆汁は消化酵素を含まないが、アルカリ性で脂質の分解・乳化作用がある ・胆汁は十二指腸へ流れ込み胃酸を中和する |
代謝 | ・アミノ酸の処理 ・脂肪酸の分解とコレステロールの合成 ・ブドウ糖(=グルコース)をグリコーゲンにして貯蔵、その逆の放出 ・血液凝固物質と血液凝固阻害物質の生成 ・尿素の合成 |
解毒 | ・血液中の化学物質や有害物質を分解 ・飲酒で摂取したエタノール→アセトアルデヒド→酢酸 ※アセトアルデヒドは有毒 |
血液量の調整 | ・血液の貯蔵 |
整理して一つずつ見てけば難しい事もねーな。
衛生管理者の試験で肝臓は単体の問題で出る事は稀で、他の消化器の問題に混ざって出てくるのが多いです。
■問.脂肪の分解・吸収及び脂質の代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)胆汁は、アルカリ性で、消化酵素は含まないが、食物中の脂肪を乳化させ、脂肪分解の働きを助ける。
(2)脂肪は、膵臓から分泌される消化酵素である膵アミラーゼにより脂肪酸とグリセリンに分解され、小腸の絨毛から吸収される。
(3)肝臓は、過剰な蛋白質及び糖質を中性脂肪に変換する。
(4)コレステロールやリン脂質は、神経組織の構成成分となる。
(5)脂質は、糖質や蛋白質に比べて多くのATPを産生することができるので、エネルギー源として優れている。
誤っているものは(2)です。
選択肢1と3が肝臓関連の選択肢で、どちらも正しい内容でした。
消化器の問題でも肝臓が入ると難易度が上がるな。
そーなんです。他の消化器が簡単な分、見落とすと厄介です。
栄養素と消化器系はここまでです!
衛生管理者-労働生理:泌尿器と尿
【難易度:中】
泌尿器
尿
衛生管理者試験に向けた覚え方
泌尿器からは腎臓と生成される尿について見ていきます。
お医者さんの泌尿器科では「男性たるもの」についても診察や処置を行う事が多いですが、衛生管理者の試験では出てきません。
腎臓の構造や尿の排出経路など覚える事が細かいので、労働生理の中では学習に時間がかかります。
尿:健康状態のバロメーター
尿は腎臓で生成される、いわゆる「おしっこ」です。
この呼び方は、江戸時代に「しーしーする」を少し美化して呼んだ名残らしいです(?)
尿について
・弱酸性で淡黄色の特有の臭気をもつ液体
・1日1,500mlくらい生成される
・約95%は水分、残りの約5%は固形物
・尿中の固形物は全身の健康状態を反映する
ただし、尿中の固形物のうち糖・タンパク質・赤血球は「あってはならない」ので、あってしまった場合は病気を疑います。
尿検査項目 | 陽性の場合に疑う病気 |
---|---|
尿タンパク | 腎臓・膀胱・尿道の病気 慢性腎炎 ネフローゼ 糖尿病性腎症 |
尿糖 | 腎機能の異常で糖が漏れる 腎性糖尿 糖尿病 |
尿鮮血 | 尿中に赤血球が混入 腎炎 尿路結石 膀胱炎 |
尿検査の項目ではありませんが、腎機能が低下すると血液中の尿素窒素(BUN)の値が高くなります。
江戸時代のくだりは…?
腎臓の構造と尿の生成過程
腎臓の位置・構造・尿の生成過程などを見ていきます。
腰より少し高いとところ、背中側に左右一対あり、
左右それぞれの腎臓から1本の尿管が膀胱まで伸びていて、
腎臓はこんな感じのパーツ構成になっています。
腎臓は表面側の皮質と髄質に分かれ、一つの腎臓皮質は約100万のネフロン(=糸球体+尿細管1本のセット)があります。
また、糸球体を包んでいる袋のようなものを「ボウマン嚢」と呼びます。
①尿となる水分が糸球体まで来る
↓
②ボウマン嚢で原尿の生成(ろ過)
↓
③尿細管を通りながら再吸収※
↓
④残りの液体がネフロンの外に出た後、排尿の経路を辿る
この様な流れで尿が生成され、体外へ排泄されます。
②で粗くろ過をする際、タンパク質や赤血球はサイズ的にボウマン嚢を通過(ろ過)できず、血管へ押し戻されます。
なので、尿のパートで見ていた「尿中にタンパク質や赤血球はあってはならない」となります。
③の再吸収ではブドウ糖などの栄養分や電解質と多くの水分を体内に取り込みます。その残りの液体を尿として排出します。
ネフロンで尿が作られると割り切ってもいいかもです。
衛生管理者の試験で腎臓と尿はほぼ確実に出題されます。難易度は少し高いですが、問題はワンパターンです。
■問.腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)糸球体では、血液中の蛋白質以外の血漿成分がボウマン嚢に濾し出され、原尿が生成される。
(2)尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分、電解質、栄養分などが血液中に再吸収される。
(3)尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
(4)尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。
(5)血液中の尿素窒素(BUN)の値が低くなる場合は、腎臓の機能の低下が考えられる。
誤っているものは(5)です。
こりゃ労働生理の中じゃ後回しの問題だな。
腎臓の中の事とか普段見ないですからね…
泌尿器と尿はここまでです!
衛生管理者-労働生理:代謝と睡眠
【難易度:並】
代謝
睡眠
衛生管理者試験に向けた覚え方
エネルギーの代謝と睡眠について見ていきます。
試験では代謝と睡眠の問題はほぼ常連で同じような問題が繰り返し出題されています。
本来は簡単な内容でもない筈ですが、試験対策はしやすいのでオイシイ得点源として攻略していきます。
エネルギーの代謝:同化・異化と基礎代謝量の定義
代謝は「同化と異化」という言葉をセットで呼んでいる事で、それぞれの言葉の意味を確認します。
同化と異化 | 概要・大事な事 |
---|---|
同化 | 摂取した栄養素を体内で必要な物質に合成する事 → ATP(アデノシン三リン酸)に蓄えられたエネルギーを使う →→ 細胞に必要な蛋白質等を合成する |
異化 | 体内に蓄えた物質を分解しエネルギーを取り出す事 → 細胞に取り入れたグリコーゲンなどを使う →→ その結果、ATP(アデノシン三リン酸)を新たに合成する |
次に「基礎代謝量」を押さえます。
以下の3つを満たした状態での生命維持に必要なエネルギー代謝量が基礎代謝量です。
- 覚醒時(目が覚めていて)
- 横臥 (横になっていて)
- 安静時(リラックスしている)
基礎代謝量は男女の性差や年齢差があり、同性同年齢であれば体表面積にほぼ比例して増減します。
成人男性でざっくり1,500キロカロリー/日、成人女性は1,150キロカロリー/日といったところです。
家でゴロゴロしてても、これだけはエネルギー使うんだな。
エネルギー代謝率は体力的な意味合いでの作業負荷の強度を測る指標として使います。
試験対策の言葉では「動的筋作業の強度を表す指標として役立つが、静的筋作業には適用できない」といった感じになります。
静的筋作業はPC操作や何かを考えるといった、エネルギー消費の少ない作業等の事です。
エネルギー代謝率(RMR)
RMR=(①-②)÷ 基礎代謝量
①:作業中の総消費㎉
②:その時間の安静時代謝量
※②は基礎代謝量×1.2くらい
※試験で正しい計算式を求められる事はほぼありませんが、計算の理屈は知っておいた方が良いです。
計算のしかたを文章で見ると「あれ?」ってなりますね。
衛生管理者の試験でエネルギーの代謝についてはよく出ますが、毎回ワンパターンな問題です。
■問.代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。
(2)代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、ATPに蓄えられたエネルギーを用いて、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。
(3)基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。
(4)エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比で表される。
(5)エネルギー代謝率は、動的筋作業の強度を表すことができるが、精神的作業や静的筋作業には適用できない。
正しいのは(5)です。
エネルギー代謝率は「体力的な意味合いで」と考えるとイメージつきやすいです。
本当は難しいんだろうけど問われるのが決め打ちなら、か。
問題によって攻略のしかたを変えるのは大事かもですね。
睡眠:レム睡眠・ノンレム睡眠と関連するホルモンが重要
睡眠は脳にある松果体(内分泌器)が出すメラトニンというホルモンでコントロールされています。
睡眠中は身体が以下のような状況になります。
- レム睡眠とノンレム睡眠を周期的に繰返す
- 心拍数が減少し体温も低下する
- 代謝量も低下する(通常の-5%~-10%)
- 起床直前は副腎皮質からコルチゾール(血糖上昇ホルモン)の分泌量が最大になる
睡眠中は副交感神経が優勢となるので心拍数減少や体温低下のほか、消化管の動きは活発になります。
レム睡眠とノンレム睡眠は表で整理します。
睡眠 | 状態 |
---|---|
レム睡眠 | 眼球が動く 脳が起きている |
ノンレム睡眠 | 眼球は動かない 脳も寝ている |
レムとノンレム、どちらか覚えにくい場合はレムの意味(Rapid Eye Movement)を見ておくと良いかもです。
また、不眠や睡眠の質低下を防ぐため、以下の事に気を付けると良いです。
- 就寝前の過食は不眠を引き起こす
- 就寝前の過度の空腹も不眠に繋がる
- 昼夜逆転:入眠までの時間が長くなり睡眠の質が低下し、かつ睡眠時間も短くなる
不規則な生活が続き、いわゆる体内時計が壊れた状態を概日リズム(サーカディアンリズム)睡眠障害といいます。
わたし、体内時計はよく壊れますね…
衛生管理者の試験で睡眠の出題率は約70%と高めですが、問題の難易度はかなり易しいです。
■問.睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)睡眠と覚醒のリズムのように、約1日の周期で繰り返される生物学的リズムをサーカディアンリズムといい、このリズムの乱れは、疲労や睡眠障害の原因となる。
(2)睡眠は、睡眠中の目の動きなどによって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類される。
(3)コルチゾールは、血糖値の調節などの働きをするホルモンで、通常、その分泌量は明け方から増加し始め、起床前後で最大となる。
(4)レム睡眠は、安らかな眠りで、この間に脳は休んだ状態になっている。
(5)メラトニンは、睡眠に関与しているホルモンである。
誤っているものは(4)です。
他の問題もこの位ゆるくしてくんねーかな。
時々、内容は簡単だけど言い回しにクセのある出し方をしてくる時もありますね。
代謝と睡眠はここまでです!
衛生管理者-労働生理:免疫・ホメオスタシス・ホルモン
【難易度:中】
免疫
ホルモン
衛生管理者試験に向けた覚え方
労働生理で最後の区切りです。
免疫とホメオスタシス、ホルモンです。労働生理の中ではホルモンが多くの論点と絡むので、一番最後に持ってきました。
免疫:用語一つ一つを理解すれば攻略可能
免疫は血液の論点と密に絡みますが、試験では完全に別の問題として登場する事から解説も分けました。
免疫は体内へ病原体等の侵入を防いだり、侵入したものを排除する事ですが、試験対策の用語解説っぽくすると以下となります。
用語 | 概要・大事な事 |
---|---|
生体防御 | ・病原体等(異物)が体内に侵入する事を防ぐ ・侵入してしまった異物を排除する |
抗原 | ・病原体などの身体の免疫反応を引き起こす物質 ・病原体の他には花粉、卵、小麦なども抗原となる |
抗体 | ・体内に侵入した抗原を体外へ排除するために作られる ・免疫グロブリンというタンパク質の総称 |
体液性免疫 | ・侵入した異物をリンパ球(T細胞)が抗原と認識 ・リンパ球(B細胞)が抗体(免疫グロブリン)を産生する ・抗体が抗原と特異的に結合し無力化する ・B細胞が抗原の事を記憶し、いわゆる免疫を獲得する → この事から体液性免疫は「獲得免疫」とも言われる |
細胞性免疫 | ・リンパ球が異物を直接攻撃する ・細胞内に寄生する異物に有効 → 細胞性免疫は「自然免疫」とも言われる |
アレルギー | ・本来は抗原に対抗するための免疫が身体の細胞を攻撃する ・疾患として気管支せんそく、アトピー性皮膚炎などがある |
まず生体防御を働かせ、異物に突破・体内に侵入された場合、体内で体液性免疫・細胞性免疫の両面で異物に対抗、駆逐します。
人の免疫の強弱は体液性免疫が抗原の情報を記憶しているか+細胞性免疫が弱っていないかで分かれます。
細胞性免疫は不規則な生活習慣や過度のストレスで弱ってしまうので、健康的な生活をするに越したことはありません。
健康的な生活…したいもんだが…
衛生管理者の試験で免疫の出題率は高く、主に文章の穴埋め形式または間違い探しで出題されます。
■問.免疫に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)抗原とは、免疫に関係する細胞によって異物として認識される物質のことである。
(2)抗原となる物質には、蛋白質、糖質などがある。
(3)抗原に対する免疫が、逆に、人体の組織や細胞に傷害を与えてしまうことをアレルギーといい、主なアレルギー性疾患としては、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などがある。
(4)免疫の機能が失われたり低下したりすることを免疫不全といい、免疫不全になると、感染症にかかりやすくなったり、がんに罹患しやすくなったりする。
(5)免疫には、リンパ球が産生する抗体によって病原体を攻撃する細胞性免疫と、リンパ球などが直接に病原体などを取り込んで排除する体液性免疫の二つがある。
誤っているものは(5)です。
文章を落ち着いて読めば難しいもんでもないか。
衛管の問題は句点が多いので、句点ごとに一息入れて読むのもテですね。
ホメオスタシス:身体の急激な変化に対する自然な反応
ホメオスタシスは恒常性とも言い、身体内部の状態を一定に保とうとする身体の反応を言います。
ダイエットの停滞期もホメオスタシスが関係し「身体がこれ以上体重が落ちるとマズい」と反応して体重減の停滞が起きます。
身体の反応は正しくは、間脳の視床下部で恒常性を保つための指令が出ています。
わたしもダイエット停滞の経験あります…
衛生管理者の試験でホメオスタシスについては、体温調節について出てきます。
体温調節は体温を上げる(産熱)か下げる(放熱)かです。
産熱は体内の栄養素の酸化燃焼や分解の他、寒いところで身体を震わせるなどもあります。
放熱は少し整理と解説をした方が良いので表に落とします。
放熱 | 何をして放熱する |
---|---|
対流 | 体温より気温が低い場所へ行く |
輻射 | 体温より低いものに近づく |
伝導 | 体温より低いものに触れる |
発汗 (蒸発) | 体表面から汗を気化する |
不感蒸泄 (蒸発) | 皮膚や呼吸器から熱と水分を放出 ・全放熱の25%に相当 ・水分は1日約850mlを放出 |
蒸発について、体重70㎏の人が気化熱で体温を1℃下げるには体表面から100gの水分を蒸発させる必要があります。
※計算問題としては出てきません。
体温を下げるにも色々あんだなぁ…
衛生管理者の試験でホメオスタシス(体温調節)の出題率は約50%で、割と易しめな間違い探しです。
■問.体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進するにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100gの水分が体重70㎏の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、輻射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。
誤っているものは(2)です。
試験問題ありきの解説かと思ったな。
どーなんでしょうね?
ホルモン:関わる臓器と調整機能の関連付けが重要
体内の恒常性を維持するために内分泌系の器官が協調して動き、ホルモンを分泌しています。
ホルモンは化学物質で、特定の器官に作用するように出来ています。
試験ではホルモンの組合せ「どのホルモンが・どこで分泌されて・どういう働きをするか」を問われます。
どこで | 何を分泌 | 何を調整 |
---|---|---|
松果体 (脳) | メラトニン | 睡眠と覚醒 |
副腎髄質 | ノルアドレナリン | 血圧上昇 |
〃 | アドレナリン | 血糖上昇 |
副腎皮質 | コルチゾール | 血糖上昇 |
〃 | アルドステロン | 血中の塩類 |
膵臓 | インスリン | 血糖量の低下 |
〃 | グルカゴン | 血糖量の上昇 |
甲状腺 | 甲状腺ホルモン | 酸素消費促進 体温上昇 |
副甲状腺 | パラソルモン | 血中Ca |
胃 | ガストリン | 胃酸分泌 |
十二指腸 | セクレチン | 消化液分泌 |
労働生理で今まで出てきた論点の多くを跨ぐので、他の論点を見返しながら時間をかけて覚えても良いかもです。
ここだけ無理に覚えるのはキツいかもです…
衛生管理者の試験でホルモンの出題率は約50%で、労働生理の最後の問題として登場します。
■問.ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものはどれか。
※並びは、ホルモン・・内分泌器官・・はたらき
(1)ガストリン・・・・胃・・・・・胃酸分泌刺激
(2)アルドステロン・・副腎皮質・・体液中の塩類バランスの調節
(3)パラソルモン・・・副甲状腺・・血中のカルシウム量の調節
(4)コルチゾール・・・膵臓・・・・血糖量の増加
(5)メラトニン・・・・松果体・・・睡眠と覚醒リズムの調節
誤っているものは(4)です。
コルチゾールは睡眠の解説でも登場するので、メラトニンとセットで覚えると良さそうです。
こりゃ表だけで覚えるのは無理だ…
他のパートの解説も読んで戻ってくるといいかもです。
免疫・ホメオスタシス・ホルモンはここまでです!
衛生管理者-労働生理 (オマケ) :男女による性差
【難易度:易】
男女の性差
衛生管理者試験に向けた覚え方
何だよオマケって。
あー過去問で出題率は低いんですが、男女で性差があるものだけ集めた問題が出てるので…
浅く広くの試験対策をしていると、こういう問題に足元を掬われたりするので念のための対策をしておきます。
論点 | 項目 | 性差 |
---|---|---|
筋肉 | 筋肉の断面積1㎠のパワー | なし |
血液 | 赤血球の量 ヘモグロビンの量 ヘマトクリット値 | あり |
〃 | 白血球の量 血小板の量 | なし |
代謝 | 基礎代謝量 | あり |
まあ他の論点を見返すきっかけになるからいーか。
衛生管理者の試験で男女による性差は稀に不意打ちのように出ます。難易度は低いですが…
■問.次のうち、正常値に男女による差がないとされているものはどれか。
(1)赤血球数
(2)ヘモグロビン量
(3)血小板数
(4)基礎代謝量
(5)ヘマトクリット値
男女差がないものは(3)です。
血液関連では、白血球と血小板の量は男女による性差がないです。
ただ選ぶだけの問題って楽だな…
衛管の問題って選択肢の一つ一つが長いのが多いですもんね。
労働生理の内容はここまでです!
衛生管理者-労働生理 おわりに
労働生理はサクッと終わるんだと思ったら割とガチ目な内容だったな。
色々調べながら書いたりで思ったよりページ作るのも時間かかりました。
試験内容にはかなりフィットした内容だったな。
試験対策で書いてたノートが元ネタだから…
動画とかじゃやらんの?
いやいやいや。
わたし人前に出れるような見た目してないんで。
そーか。まー衛生管理者も一段落だし、次も何か仕込んでんの?
ノープランですねー。
おっさんのコーナー、そろそろ作りましょーか?
俺は人様に見せるようなネタは何も持ってねーぞ。
…衛生管理者の内容も全て公開したので、次の準備でもしてみましょうか。
衛生管理者の勉強は割と時間がかかる部類なので、のんびりと試験対策を進めてイケそうと思ったら受験申請してみましょう。
衛生管理者のトップページはこちら。
関係法令(有害業務side)の2周目いきますか?
衛生管理者 ページ一覧
①:衛生管理者の概要
②:関係法令-有害業務(前半)
③:関係法令-有害業務(後半)
④:労働衛生-有害業務(前半)
⑤:労働衛生-有害業務(後半)
⑥:関係法令-一般業務と共通
⑦:労働衛生-一般業務と共通
⑧:労働生理(前半)
⑨:労働生理(後半) ◀◀ NOW