危険物乙2-単体:赤リンと硫黄の性状・貯蔵取扱・消火方法

危険物 第二類(乙2)の指定物質:赤リン(読み:せきりん)と硫黄の性状・取扱い・消火に関するページです。

消防法では赤リンと硫黄を別々に定義していますが、他のページで出てくる硫化リンを考えるには、この2つを併せ見ておくと判り易いです。

このページで出てくる物質は・・・
  1. 赤リン
  2. 硫黄
おっさん

リンとか硫黄って毒とか臭いイメージあるけど?

でぃでぃ

ところがぎっちょん!です。

おっさん

お前それ…平成っ子が使うギャグじゃないだろ。

でぃでぃ

え、某ガンダムシリーズの「俺がガンダムだ」ので出てきましたよ?

おっさん

…で。リンと硫黄って毒物だったり悪臭を放つモノでないの?

でぃでぃ

はい。どちらも単体だとほぼ無毒・無臭です。

INDEX

危険物乙2 赤リン・硫黄の概要

【乙2 可燃性固体】
赤リン・硫黄
物質概要
危険物乙2 試験に向けた覚え方

このページの本編に入る前に物質の基本情報を確認します。

基本情報:赤リン・硫黄
  • 可燃性の固体
  • 無機物の結晶※1
  • 全て水より重い
  • 燃えると炎の色がある
  • 火気厳禁
  • 粉じん爆発に注意
  • 貯蔵は酸と隔離する
  • 日光を避けて冷暗所に保管
  • 水・泡系での冷却消火※2
  • 窒息消火が有効※3
補足:赤リン・硫黄

※1:分子中に炭素(C)を持たない

※2:金属粉類とは異なり水・泡系が使える。

※3:砂・岩・リン酸塩類を使用、CO2や炭酸水素塩類はNG。

赤リン について

赤リン(読み:せきりん)は白リンや黒リンの同素体でほぼ無毒・無臭。

教科書などで黄リンと同素体との関係とよく書かれるが、黄リンは不純物も含んでいるので同素体とは言い切れないという説も。

外観は赤褐色~赤紫で燃やすと炎の色は淡い青色となる。

雑な解説をすると黄リンが高温の窒素の中で反応した後に無毒化したもの。ただし燃焼後の生成物は有毒なので注意。

粉末なので取扱いは粉じん爆発に注意する。

【用途】
安全マッチの頭薬・肥料・薬剤の原料

【関連物質】
乙2:硫化リン
乙3:黄リン

硫黄 について

硫黄は薄黄色の粉末で燃やすと炎の色は青色となる。

単体では無毒だが燃焼後の生成物(二酸化硫黄)は有毒なので注意。

また硫黄は臭いイメージがあるが硫黄単体ではほぼ無臭。ただし酸化物や他の物質との化合物は悪臭を放つものが多い。

人間を含む動物の口臭や屁の臭いも硫黄化合物によるもの。

同素体として斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄が存在する。粉末なので取扱いは粉じん爆発に注意する。

【用途】
黒色火薬・肥料・硫酸の原料

【関連物質】
乙2:硫化リン
高圧ガス:二酸化硫黄

おっさん

赤リンを「せきりん」って読むのは今知ったぞ。

でぃでぃ

黄リンも「おうりん」ですね。
何で音読みなんでしょう?

危険物乙2 赤リン・硫黄の性状

【乙2 可燃性固体】
赤リン・硫黄
性状
危険物乙2 試験に向けた覚え方

危険物 第二類(乙2)物質の赤リン・硫黄の性状を見ていきます。

性状では溶解性・数値よりも特記事項を覚えておくと試験対策として良いかもです。

でぃでぃ

物質も2つだけなのでサクッと次へいきましょう!

赤リン・硫黄の性状①溶解性と数値系

赤リン・硫黄が「何に溶けて」・「数値系は幾つか」を整理します。

項目項目の意味
物質名物質の名称
(下段は化学式)
外観物質(結晶・粉末)の色
冷水溶冷たい水に溶けるか
熱水溶お湯に溶けるか
Alc溶アルコールに溶けるか
溶媒溶剤に溶けるか
比重水に対する重さ
融点加熱して溶ける温度
引火点点火したら燃える温度
発火点加熱したら発火する温度
乙2物質の性状項目

〇=よく溶ける
△=あまり溶けない・僅かに溶ける
✕=溶けない

赤リン・硫黄の溶解性と数値系を一覧にします。

スクロールできます
物質名外観冷水溶熱水溶Alc溶溶媒比重融点引火点発火点
赤リン
P
赤褐色2.1260℃
硫黄
S
黄色2.0120℃207℃232℃
赤リン・硫黄の溶解性と数値系

試験対策上、硫黄が溶ける溶媒は二硫化炭素と覚えておきましょう。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

赤リンは約260℃まで加熱すると発火する?

答え:する。ここでは凡その発火点を覚える

もう一問、再現してみます。

過去問での出題例

硫黄はエタノールやジエチルエーテルによく溶ける?

答え:溶けない。溶けるのは二硫化炭素

おっさん

硫黄が二硫化炭素に溶ける以外はほぼ✕って事だな。

でぃでぃ

ここでは「何に溶けるか」と「発火点」が大事ですね。

赤リン・硫黄の性状②炎色反応と特記事項

危険物 第二類(乙2)物質の赤リン・硫黄の性状から、生成物・特記事項を見ていきます。

スクロールできます
物質名外観炎色生成物特記事項
赤リン
P
赤褐色淡青色【有毒】
リン酸化物

(十酸化四リン)
・無臭、ほぼ無毒
・黄リンが窒素と反応した後の物質なので不活性
・約400℃で昇華
・黄リン(乙3物質)とは同素体の関係にある
硫黄
S
黄色青色【有毒】
二酸化硫黄
・単体では無味無臭
・同素体:斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄

・二硫化炭素に溶ける
赤リン・硫黄の炎色反応と特記事項

赤リン・硫黄とも粉じん爆発する危険性がある事は押さえておきましょう。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

赤リンは黄リンと同素体の関係にあり、黄リンを窒素中で加熱すると得られる?

答え:その通り。同素体を「同位体と間違わないように」注意

もう一問、過去問から再現してみます。

過去問での出題例

硫黄を空気中で燃やすと淡青色を示す?

答え:ちがう。硫黄の炎色反応は「青色」、赤リンの炎色反応と混同しない

おっさん

適度に色がある物質は覚えやすいな。

でぃでぃ

物質を見た目で覚えるのも大事ですねー

危険物乙2 赤リン・硫黄の貯蔵取扱・消火方法

【乙2 可燃性固体】
赤リン・硫黄
貯蔵取扱
消火方法
危険物乙2 試験に向けた覚え方

危険物 第二類(乙2)物質の赤リン・硫黄の貯蔵取扱・消火方法を見ていきます。

赤リン・硫黄は別々の物質ですが扱いは同じと考えて大丈夫です。

でぃでぃ

同じならまとめる!です。

赤リン・硫黄の貯蔵・取扱い

赤リン・硫黄は「基本的な危険物の扱い」を弁えていれば問題ありません。

適切:赤リン・硫黄
  • 酸と隔離
  • 日光を避けて冷暗所に保管

(硫黄)

  • 紙袋への保存も可
不適切:赤リン・硫黄
  • 酸化性物質と一緒に貯蔵
  • 加熱・衝撃・摩擦
  • 静電気の蓄積
  • 粉じん爆発の原因となる扱い方

乙4の法令でも出てきますが、硫黄は屋外貯蔵所への保管も認められています。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

赤リンで不純物が一切ないものは空気中で放置しても発火しない?

答え:その通り。市販品など不純物が混入しているものは発火する恐れがある

もう一問、再現してみます。

過去問での出題例

硫黄の微粉が浮遊している場では粉じん爆発の危険性がある?

答え:ある。粉じん爆発は死傷者も出る危険な事故

おっさん

硫黄が適切な取扱いなら「紙袋に入れててもOK」ってのは意外だな。

赤リン・硫黄の消火方法と消火剤

赤リン・硫黄の消火方法は「水系と窒息が有効」・「化学物質は避ける」くらいの整理で良いです。

基本:赤リン・硫黄の消火
  • 水・泡系での消火※1
  • 岩・砂での窒息消火※2
  • 粉末消火剤:リン酸塩類
  • 二酸化炭素※3
  • ハロゲン化物
  • 粉末消火剤:炭酸水素塩類
  • 棒状放水
補足:赤リン・硫黄の消火

※1:水・泡系が有効だが棒状放水はNG

※2:膨張真珠岩・膨張ひる石・乾燥砂での窒息消火は多くの危険物の消火に有効

※3:乙1物質は二酸化炭素が持つ酸素を奪って燃焼を継続するので使用不可

棒状放水は燃えている粉末が飛散するのでNGと理解しましょう。

過去問で出た内容を再現してみます。

過去問での出題例

赤リンは燃焼によりリン酸化物(十酸化四リン)を生成するので水で消火して「終わり」ではない?

答え:その通り。消火は水または窒息でするが、発生する有害物質にも注意

もう一問、再現してみます。

過去問での出題例

硫黄は燃焼すると刺激性のあるガス(二酸化硫黄)を発生する?

答え:する。硫黄は赤リンと合わせて発生するガスに注意

おっさん

微妙に消火の問題じゃない気がするが…

でぃでぃ

消火だけだと問題にできないくらい簡単なので、性状×消火で考えておくと良いですね。

危険物乙2 赤リン・硫黄の試験対策

このページで出てきた内容から試験対策に使える疑似問題を作ってみました。

問題右端の+ボタンで答えが出てきます。

問1
赤リンについて間違いの数は?
 ①.黄リンとは同素体の関係にある
 ②.無臭・ほぼ無毒である
 ③.燃焼後の生成物も無毒である
 ④.約400℃まで加熱すると昇華する
 ⑤.水と反応して爆発する

間違っているのは2つ、③⑤でした。

問2
硫黄について正解の数は?
 ①.外観は黄色、炎色反応は青である
 ②.水によく溶ける
 ③.腐卵臭がする為、密栓して保管
 ④.燃焼後の生成物は有毒である
 ⑤.硫黄には同素体は存在しない

正しいのは2つ、②③⑤は間違いです。

問3
赤リン・硫黄について間違いはどれ?
 ①.硫黄は紙袋に保存しても良い
 ②.酸化性固体と一緒に保存しない
 ③.どちらも粉じん爆発の危険性はない
 ④.棒状注水以外の冷却消火は有効
 ⑤.粉末消火剤はリン酸塩類を使用

間違いは③、正しくは両方とも粉じん爆発するです。

おっさん

乙1でもそうだったけど、貯蔵や消火方法がパターン化されてるのは性状をしっかりやらないとキツいな。

でぃでぃ

そーですね。あくまで試験ですし、簡単すぎる問題は出してこないですからね。

危険物 第二類(乙2)の物質で指定されている赤リン・硫黄についてはここで一区切りです。

でぃでぃ

お疲れさまでした!

危険物 第二類(乙2)ページ一覧
①:第二類の概要
②:赤リン・硫黄 ◀◀ NOW
③:硫化リン
④:金属粉類
⑤:引火性固体

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