このページは運行管理者の試験対策のうち、貨物自動車運送事業法から法の目的・許認可や運行管理者の選任・義務・業務等、輸送の安全・安全運輸マネジメントについて書いています。
- 法の目的・定義・許認可
- 運行管理者の義務・業務・選任等
- 輸送の安全と安全運輸マネジメント
運行管理者、略してウンカンもやるの?
やりましょーか。ベテランドライバーさんからの要望を受けちゃって…
ベテランだったら勉強しなくても取れるとかそういうもんではないの?
どうかなー…ベテランだからこそ実際の運転と試験は分けて考えた方がいいかも…?
そうなのか。で、運行管理者の試験は法令の勉強が中心だったよな?
そーです。ここでは貨物自動車運送事業法について見ていきますよ。
運行管理者試験の全30問のうち、貨物自動車運送事業法は最初の8問で出題されます。
出題 | 関係法令(科目的な) | 問題数 |
---|---|---|
①-⑧ | 貨物自動車運送事業法 | 8 |
⑨-⑫ | 道路運送車両法 | 4 |
⑬-⑰ | 道路交通法 | 5 |
⑱-㉓ | 労働基準法 | 6 |
㉔-㉚ | 実務上の知識及び能力 | 7 |
* | 合計 | 30 |
貨物自動車運送事業法の8問を攻略するために見ておくポイントは16個くらいで、運行管理者試験の中では一番ボリュームが厚いです。
また、試験終盤の「実務上の知識及び能力」とも関連するので、貨物自動車運送事業法を重点として見ておくのが良いです。
貨物自動車運送事業法 目的・定義・許認可
【難易度:中】
法の目的
定義等
運行管理者目線で見るポイント
最初に貨物自動車運送事業法の目的など基本事項を見ていきます。
運行管理者の試験全般で共通する事ですが、条文は流し読みしながら重要な語句を見るくらいで大丈夫です。
ただし、実際の試験の問題は「非常に回りくどい文章」で出してくるので「問題文を見慣れておく」のがとても大切です。
初見は高確率でやられます…!
貨物自動車運送事業法の目的
貨物自動車運送事業法 第一条には「目的」が定められています。
第一条(目的)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083
この法律は、貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとするとともに、貨物自動車運送に関するこの法律及びこの法律に基づく措置の遵守等を図るための民間団体等による自主的な活動を促進することにより、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
運行管理者試験の過去問では穴埋め形式で重要語句を選択する問題が出題されています。
■問.貨物自動車運送事業法の目的について、次の空欄に入る字句をそれぞれ選択しなさい。
この法律は、貨物自動車運送事業の運営を【A】なものとするとともに、貨物自動車運送に関するこの法律及びこの法律に基づく【B】を図るための【C】による自主的な活動を促進することにより、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の【D】を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
■選択肢
A:1.適正かつ合理的 2.健全かつ効率的
B:1.措置の遵守等 2.秩序の確立
C:1.民間団体等 2.運送事業者
D:1.総合的な発達 2.健全な発達
正解はAから順に1・1・1・2です。
法の目的は「合理的で・ルール(措置)を守って・民間団体が主役・あくまで健全に・公共の福祉の増進」であると略して良いかもです。
コレ系の穴埋めは声に出して読めば覚えられるな。
貨物事業者運送事業の定義と種類
貨物自動車運送事業法 第二条には「定義」が定められています。
定義は最初から条文を読んでも頭に入りにくいので、まず表に纏めます。
事業の種類 | 使う車 | 誰の需要 | 解説 |
---|---|---|---|
一般貨物 自動車運送事業 | 自動車 | 他人 不特定 | 一般的な運送会社 例)大手運送会社 |
特定貨物 自動車運送事業 | 自動車 | 特定の者 | 特定の一社からの仕事をする 例)メーカー系列ロジ会社 |
貨物軽 自動車運送事業 | 三輪以上の軽 二輪車 | 他人 不特定 | 主に軽バンでの大手の協力会社 例)何とかFlex |
また、業務の種類で「特別積合せ貨物運送」・「貨物自動車利用運送」という言葉も出てくるので整理します。
業務の種類 | 一般 貨物 | 特定 貨物 |
---|---|---|
特別積合せ貨物運送 (宅配便) | ||
貨物自動車利用運送 (下請を使う) |
一般貨物自動車運送事業では宅配便をしますが、特定貨物自動車運送事業はそれが無いです。
また、貨物自動車利用運送で協力会社へ依頼する(=下請を使う)事は、一般貨物・特定貨物ともにあります。
特別積合せは「一般貨物だけ」なのに注目です!
運行管理者試験の過去問では正しいものを選択する問題が出題されています。
■問.貨物自動車運送事業に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1.特別積合せ貨物運送とは、特定の者の需要に応じて有償で自動車を使用し、営業所その他の事業場(以下、事業場)で、限定された貨物の集貨を行い、集貨された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分を行うもので、これらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うもの。
2.貨物自動車運送事業とは、一般貨物自動車運送事業・特定貨物自動車運送事業・貨物軽自動車運送事業。
3.一般貨物自動車運送事業とは、特定の者の需要に応じ・有償で自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業。
4.貨物軽自動車運送事業とは、他人の需要に応じ・有償で自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業。
正しいものは2・4です。
3つの事業の種類(一般貨物・特定貨物・貨物軽)の定義を押さえていれば、すぐに間違い探しできる問題でした。
短い文章から正誤を見ていくのがいいかもな。
貨物事業者運送事業の許認可と事業計画
貨物自動車運送事業法 第三条~第十一条には「事業計画の許認可関連」が定められています。
貨物事業者運送事業を開始するには国土交通大臣の許可が必要で、その後の事業計画の変更等も認可を受ける等の手続きが必要です。
手続の重みの順で表に纏めます。
手続 | 事業計画をどうする時 |
---|---|
許可 | 事業の開始 |
認可 | 以下の新設・変更時 1.運送約款 2.車庫の位置・収容能力 3.休憩施設等の位置・収容能力 4.営業所の位置 |
予め 届出 | 事業用自動車の増車・減車 |
30日以内 届出 | 運賃料金の設定・変更 |
遅滞なく 届出 | 1.事業者の名称・住所 2.主たる営業所等の名称・位置 これらの軽微な変更 ※運行管理者の選任・解任もここ |
許可について、取消や罰則を受けた後の欠格期間は5年です。
そろそろ試験対策か…?
運行管理者試験の過去問では正しいものを選択する問題が出題されています。
■問.一般貨物自動車運送事業者(以下、事業者)の事業計画の変更に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1.事業者は「自動車車庫の位置及び収容能力」の事業計画の変更は、遅滞なくその旨を、国土交通大臣に届け出る。
2.事業者は「各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数」の事業計画の変更は、法令に定める場合を除き、あらかじめその旨を、国土交通大臣に届け出る。
3.事業者は「事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員の休憩又は睡眠のための施設の位置及び収容能力」の事業計画の変更は、国土交通大臣の認可を受ける。
4.事業者は「主たる事務所の名称及び位置」の事業計画の変更は、あらかじめその旨を、国土交通大臣に届け出る。
正しいものは2・3です。
表での整理(特に赤字)を覚えておけば回答には困らない問題です。
事業計画で何が重要かなーって考えると、どの手続になるか想像つきますね!
貨物自動車運送事業法 運行管理者の義務・業務・選任等
【難易度:中】
運行管理者
運行管理者目線で見るポイント
ここでは運行管理者にスポットを当てて見ていきます。
運行管理者の関わる業務は「それは誰の仕事か?本当に運行管理者の仕事なのか?」という整理をしながら見ていく事が非常に重要です。
何でもかんでも運行管理者がやるってモンでも無いよな。
運行管理者の義務と関係者の対応
貨物自動車運送事業法 第二十二条には「運行管理者の義務」が定められています。
第二十二条
(運行管理者の義務)
運行管理者は、誠実にその業務を行わなければならない。2 一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者に対し、第十八条第二項の国土交通省令で定める業務を行うため必要な権限を与えなければならない。
3 一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う助言を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083#Mp-At_22
運行管理者試験の過去問では穴埋め形式で重要語句を選択する問題が出題されています。
■問.運行管理者の義務について、次の空欄に入る字句をそれぞれ選択しなさい。
1.運行管理者は、【A】にその業務を行わなければならない。
2.一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者に対し、法令で定める業務を行うため必要な【B】を与えなければならない。
3.一般貨物自動車運送事業者は、運行管理者がその業務として行う【C】を尊重しなければならず、事業用自動車の運転者その他の従業員は、運行管理者がその業務として行う【D】に従わなければならない。
■選択肢
A:1.真摯 2.誠実
B:1.権限 2.地位
C:1.勧告 2.助言
D:1.指導 2.訓練
正しいものはAから順に2・1・2・1です。
条文に定めるままの内容ですが、意外と見落としやすいので確認しておきましょう。
運行管理者と関係者の心構え的なのですね。
運行管理者の業務
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第二十条に「運行管理者の業務」が定められています。
運行管理者の業務は、運行管理者がしなければならない事と事業者(会社)がする事を混同しやすいです。
その整理をする事が試験対策に直結します。
例:アルコール検知器を | 誰がやる |
---|---|
営業所に備え置く | 事業者 |
常時有効に保持する | 運行管理者 |
主語をごっちゃにしたら間違えるやつだな。
運行管理者の業務をヒト/記録・事務/設備等で分けてピックアップします。
まずはヒトの部分で運行管理者が運転者・従業員・補助者に対して行う業務です。
誰に | 何をする・何を制限する・指導監督する・記録する |
---|---|
運転者 | 運転者として選任されていない人に事業用自動車を運転させない |
〃 | 酒気帯びの状態にある人を事業用自動車に乗務させない |
〃 | 運転者の健康状態の把握に努め、疾病・疲労・睡眠不足などの理由で安全な運転を 出来ない恐れがある人を事業用自動車に乗務させない |
〃 | 長距離運転・夜間運転に従事する場合、過労などで安全な運転を継続できない 恐れがある時、予め交代するための運転者を配置する |
〃 | 通行の禁止、または制限等違反の防止について、運転者に対する指導・監督をする |
〃 | 運転者に対し点呼を行い、報告を求め・確認を行い・指示を与え・記録をし、 その記録1年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持する |
〃 | 運転者に対する適切な指導・監督を行い、その記録を3年間保存する |
〃 | 運転者に適性診断を受診させる |
〃 | 異常気象その他の理由で輸送の安全の確保に支障が生ずる恐れがある時、 運転者へ適切な指示を与え、輸送の安全のために必要な措置を講じる |
従業員 | 過積載の防止について、従業員へ指導・監督する |
〃 | 偏荷重を生じさせないよう、また貨物の落下防止を図るため、貨物の積載方法について 従業員への指導・監督をする |
〃 | 関係法令に定める事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、 従業員への指導・監督をする |
補助者 | 運行管理者の業務を補助させる為の者(補助者)を事業者が選任している場合、 補助者に対する指導・監督をする |
記録を●年の年数は一旦スルーで大丈夫です!
次に、運行管理者が記録・事務または設備等に対して行う業務です。
何を | どうする・何を制限する・記録保存する |
---|---|
設備等 | 運転者が休憩・睡眠のために使用する施設を適切に管理する |
〃 | 運行記録計を管理し、事業用自動車の瞬間速度・運行距離等の記録を1年間保存する |
〃 | 車両総重量7t/車両重量4t以上の事業用自動車で、運行記録計により記録する事が 出来ないものを運行の用に供さない |
記録 | 事務運転者の勤務時間・乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、これに従い乗務させる |
〃 | 乗務記録を乗務を行った運転者ごとに記録させ、その記録を1年間保存する |
〃 | 事業用自動車に関わる事故が発生した場合、必要事項を記録し3年間保存する |
〃 | 運行指示書を作成し、運転者へ適切な指示を行い・運転者へ携行等をさせ、 運行指示書の原本・その写しを運行を終了した日から1年間保存する |
〃 | 運転者台帳を作成し、営業所へ備え置く ※運転者の記録は3年保存 |
記録●年が多いな…
記録●年というのを個別に覚えるのはしんどいので、何の記録かで整理します。
何の記録 | 保存期間 |
---|---|
主に人が関わる 指導監督・事故関連 運転者台帳 | 3年 |
主に運行に関わる 点呼記録簿 運行指示書・乗務記録 運行記録計 | 1年 |
ざっくりと人・事故関連は3年、運行・設備等は1年と割り切ってしまって良いです。
試験では運行管理者の業務と事業者がする事について混同した設問がよく出ます。以下は事業者がする事なので要注意です。
- ~を選任する
- ~を策定する・定める
- ~を確保する・併設する
- ~を整備する・備え置く
青字は事業者がする事を示す「要注意キーワード」です。
試験対策いきましょう!
運行管理者試験の過去問では理解として正しいものを選択する問題が出題されています。
■問.一般貨物自動車運送事業の運行管理者の業務として正しいものを2つ選びなさい。
1.法令の規定により、死者又は負傷者(法令に掲げる傷害を受けた者)が生じた事故を引き起こした者等特定の運転者に対し、国土交通大臣が告示で定める適性診断であって国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせる。
2.法令の規定により、運行指示書を作成し、及びその写しに変更の内容を記載し・運転者に対し適切な指示を行い・運行指示書を事業用自動車の運転者に携行させ・及び変更の内容を記載させ、並びに運行指示書及びその写しの保存をする。
3.法令の規定により、運転者に対して点呼を行い、報告を求め・確認を行い・及び指示を与え・並びに記録し・及びその記録を保存し、並びに国土交通大臣が告示で定めるアルコール検知器を備え置く。
4.乗務員が有効に利用することができるように、休憩に必要な施設を整備し・及び乗務員に睡眠を与える必要がある場合にあっては睡眠に必要な施設を整備し・並びにこれらの施設を適切に管理し、及び保守する。
正しいものは1・2です。
選択肢3・4は事業者のする事で、要注意キーワードが入っていますね。
選択肢に記録●年が入っていたら、人や事故関連なら3年・運行関連なら1年と思い出せば良い訳だな。
運行管理者の選任等
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第十八条に「運行管理者の選任」が定められています。
運行管理者の選任要件
運行管理者 資格者証の交付要件
(以下の①or②+③の要件を満たす人)
①運行管理者試験の合格者
②一定の実務経験など要件を満たす
③欠格期間5年に該当しない
③の欠格期間は違反等で資格者証を返納を命じられて再取得できない期間です。事業許可の時に出てきた欠格期間と同じ5年なので覚えやすいですね。
事業者が資格者証の交付を受けている人を運行管理者に選任したら、国土交通大臣へ「遅滞なく届出」します。
選任・解任は「遅滞なく届出」だったな。
他にも幾つかルールがあるので整理します。
運行管理者 選任のルール
・運行管理者はその事業場に専属
・他拠点の運行管理者を兼務NG
(選任後の講習受講)
・初回講習の受講は原則 選任した年度内
・初回は基礎講習を受講
・やむを得ない場合は翌年度でもOK
・2回目以降の講習受講は2年ごとに1回
・基礎講習または一般講習の受講
(運管経験者が転職してきた場合)
・選任時は改めて講習を受講する
・基礎講習または一般講習の受講
運行管理者の転職は「基礎講習からやり直し」です!
運行管理者の選任数
事業用自動車を管理する数が多ければ多いほど、運行管理者も多く選任しなけければならないです。
運行管理者の選任数
(車両の台数 ÷ 30)+ 1
※注意事項※
小数点は切捨
台数から被けん引車は除外
被けん引車=トレーラーの「台車」と見ておけばOKです。
以下の車両を管理している事業所は運行管理者は何人選任しておく必要がある?
・10tトラック:70台
・トラクタヘッド:20台
・トレーラー(台車):30台
—————
こたえ:4人
試験対策ではこの計算を出来るようにしておきましょう。
トラックとヘッドの合計を30で割って1を足しゃ良いんだな。
統括運行管理者の選任
運行管理者を複数(2人以上)選任する場合、統括運行管理者を選任しなければならないです。
運行管理者が2人必要な事業所では、1人が統括運行管理者・もう1人がヒラの運行管理者という事になります。
また、統括運行管理者を選任する事業所では、「運行管理規定」を定めて職務・権限・業務の処理基準等を明文化する必要があります。
役職が何であれ「事業者が選任する」のは変わりません。
運行管理者の補助者の選任
事業所の形態等、必要に応じて運行管理者の補助者を選任できます。
補助者へ選任できる人
①運行管理者 資格者証のある人
②運行管理者の基礎講習を修了した人
※①・②どちらかに該当する人
補助者が出来るのは「あくまで補助」であって、運行管理者の代理ではない事を押さえましょう。
補助者がする事・できる事
・点呼総回数の2/3まで実施できる
・ただし運行の可否は決められない
・運行可否は運行管理者が決める
・同一事業者内で他の拠点と兼務可能
※点呼の1/3以上は必ず運行管理者が実施する
そろそろ試験対策やれるかもな…
運行管理者試験の過去問では誤っているものを選択する問題が出題されています。
■問.一般貨物自動車運送事業者(以下、事業者)の運行管理者の選任等に関し、誤っているものを1つ選びなさい。
1.事業者は、新たに選任した運行管理者に、選任届出をした日の属する年度(やむを得ない理由がある場合、当該年度の翌年度)に基礎講習又は一般講習(基礎講習を受講していない当該運行管理者は、基礎講習)を受講させる。ただし、他の事業者において運行管理者として選任されていた者は、この限りでない。
2.事業者は、事業用自動車(被けん引自動車を除く。)の運行を管理する営業所ごとに、当該営業所が運行を管理する事業用自動車の数を30で除して得た数(その数に1未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に 1 を加算して得た数以上の運行管理者を選任する。
3.国土交通大臣は、運行管理者資格者証の交付を受けている者が、貨物自動車運送事業法若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その運行管理者資格者証の返納を命ずることができる。また、運行管理者資格者証の返納を命ぜられ、その日から5年を経過しない者に対しては、運行管理者資格者証の交付をしない。
4.事業者は、法令に規定する運行管理者資格者証を有する者又は国土交通大臣が告示で定める運行の管理に関する講習であって国土交通大臣の認定を受けたもの(基礎講習)を修了した者のうちから、運行管理者の業務を補助させるための者(補助者)を選任することができる。
誤っているものは1です。
選択肢1の最後、運行管理者の基礎講習は所属した事業者が変わった(転職した)場合、改めて受講する必要があります。
選任に関する問題はよく出るので慣れておきましょう!
貨物自動車運送事業法 輸送の安全と安全運輸マネジメント
【難易度:並】
輸送の安全
運行管理者目線で見るポイント
輸送の安全
貨物自動車運送事業法 第十五条~第十七条には「輸送の安全関連」が定められています。
輸送の安全 要約
・自動車の数と必要となる員数の運転者および従業員の確保
・運転者が休憩または睡眠に使う施設の整備と管理
・運転者の勤務時間および乗務時間の適切な設定
・運転者の過労運転を防止
・自動車の定期的な点検および整備
・運転者が疾病により安全な運転が出来ない恐れがある場合は医学的知見に基づく措置
・過積載を前提とする運行計画の作成や運送の指示はNG
運行管理者試験の過去問では穴埋め形式で重要語句を選択する問題が出題されています。
■問.一般貨物自動車運送事業者の輸送の安全について、空欄に入るべき字句として正しいものをそれぞれ選びなさい。
1.事業者は、事業用自動車の【A】、荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備及び管理、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び【B】の設定その他事業用自動車の運転者の【C】運転を防止するために必要な事項に関し国土交通省令で定める基準を遵守しなければならない。
2.事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な【D】に基づく措置を講じなければならない。
■選択肢
A:1.車種 2.数
B:1.乗務距離 2.乗務時間
C:1.酒気帯び 2.過労
D:1.関係法令 2.医学的知見
正解はAから順に2・2・2・2です。
過去問を解いた後、貨物自動車運送事業法の十七条を読んでみると覚えやすいかもです。
難しい内容じゃないから何回か見れば大丈夫だな。
安全運輸マネジメント
輸送の安全関連で安全運輸マネジメントが出てきます。何のひねりも無いPDCAサイクルがここで登場します。
PDCAサイクル
P=PLAN、計画
D=DO、実行
C=CHECK、評価
A=ACTION、改善
試験の設問の中で長々とPDCAサイクルが出てくる事がありますが、大抵は正しい文章なので「初見でなければOK」と見ておけば大丈夫です。
※PDCAサイクルは試験終盤の「実務上の知識及び能力」の問題文に組込まれる事が多いです。
これは1回見ておけばOK!
安全管理規定
事業用自動車の保有台数が200両以上の事業者は、安全管理規定の作成と安全統括管理者の選任が必要となります。
安全管理規定の作成・安全統括管理者の選任・解任は国土交通大臣へ届出します。
試験対策では「安全管理規定=200両」と条件反射的に200という数を思い出せる事が重要です。
過去問だと「200」が別の数字になってるのが多いんだよな…
輸送の安全に関わる情報の公表
事業者は輸送の安全関連で以下のものを公表しなければならないです。
輸送の安全・情報の公表
・事業年度経過後100日以内に公表
・輸送の安全の基本的な方針
・輸送の安全の目標と達成状況
・重大事故に関する統計
また、輸送の安全関連で処分を受けた際は都度公表します。
処分を受けた時に遅滞なく公表
・処分内容
・処分に基づき講じた処置
・講じようとする措置の内容
公表の手段は事業場内等での「掲示」のほか、「インターネット利用その他の適切な方法」を使います。
それでは試験対策を…!
運行管理者試験の過去問では間違い探しをする問題が出題されています。
■問.安全管理規程等及び輪送の安全に係る情報の公表について、誤っているものを1つ選びなさい。
1.貨物自動車運送事業法(以下、法)第 16 条第 1 項の規定により安全管理規程を定めなければならない事業者は、安全統括管理者を選任したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出をする。
2.事業者は、毎事業年度の経過後100日以内に、輸送の安全に関する基本的な方針その他の輸送の安全に係る情報であって国土交通大臣が告示で定める①輸送の安全に関する基本的な方針、②輸送の安全に関する目標及びその達成状況、③自動車事故報告規則第 2 条に規定する事故に関する統計について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表をする。
3.事業用自動車(被けん引自動車を除く。)の保有車両数が100両以上の事業者は、安全管理規程を定めて国土交通大臣に届け出をする。変更時も同様とする。
4.事業者は、関係法令の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)を受けたときは、遅滞なく、当該処分の内容並びに当該処分に基づき講じた措置及び講じようとする措置の内容をインターネットの利用その他の適切な方法により公表する。
誤っているものは3です。
安全管理規定のところで「おっさんが何か言っていた」通りです。他の選択肢も一度、ゆっくり読んでおきましょう。
まぁ…だから「200」に注意なんだよな…
実は他でも使う「200」にご用心ですね。
貨物自動車運送事業法の前半はここまでです!
貨物自動車運送事業法 一息ついて後半へ…
見た事ない言葉は出てくるが、難解なもんでもないな。
運行管理者の勉強は言葉が難しいだけで内容はそんなでもないですよね。
やっぱり慣れたモン勝ちって事か。
そーです。だからドライバーの方が試験対策するなら待機時間とかに少しだけの勉強を繰り返せば攻略できます。
少し休んだら後半だな。後半もボリュームは同じくらいある?
そーですね。後半は点呼がボリューム大きいかな…
次のページは貨物自動車運送事業法の後半です!
■運行管理者 ページ一覧
①:運行管理者の概要
②:貨物自動車運送事業法(前半) ◀◀ NOW
③:貨物自動車運送事業法(後半)
④:道路運送車両法
⑤:道路交通法
⑥:労働基準法
⑦:実務上の知識及び能力
⑧:運行管理者(貨物)過去問 R3-CBT