このページでは危険物 第四類(乙4)の物質で危険等級Ⅰ:特殊引火物、危険等級Ⅱ:アルコール類・第一石油類に指定されている物質の性状・取扱・消火を見ていきます。
危険等級Ⅲの物質はコチラ!
- 危険等級Ⅰ:特殊引火物
- 危険等級Ⅱ:アルコール類
- 危険等級Ⅱ:第一石油類
- 試験対策の一問一答(性消①)
乙4の中でも危険性が高いのから性状・取扱・消火を勉強していく感じか。
そーですね。乙4は危ない順に見ていくと分かりやすいんです。
特殊引火物ってのが一番ヤベーんだったっけ。
何気にアセトアルデヒドは体内にあったりもしますけどね!
アレか…酒飲んで悪酔いするやつ、エタノールの慣れの果てのやつか。
そーです。実はアレが乙4最強ランクの危険物なんですよね。
危険物 第四類(乙4):危険等級と区分・物質の一覧
【概要のみ】
第四類
物質一覧
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)に指定されているものの危険等級と区分・物質の一覧を見てみます。
ここでは物質名などを覚える必要はなく、どんなものがあるか眺めるくらいでOKです。
まずは物質一覧を見てみましょう!
危険等級 区分 | 非水溶性物質 | 水溶性物質 |
---|---|---|
Ⅰ 特殊引火物 | 2.アセトアルデヒド 3.酸化プロピレン | 1.ジエチルエーテル|
Ⅱ アルコール類 | - | 2.エタノール | 1.メタノール
Ⅱ 第一石油類 | 2.ベンゼン 3.トルエン | 1.ガソリン2.ピリジン | 1.アセトン
Ⅲ 第二石油類 | 1.灯油 2.軽油 3.キシレン | 1.氷酢酸 2.アクリル酸 |
Ⅲ 第三石油類 | 1.重油 2.クレオソート油 3.ニトロベンゼン 4.アニリン | 1.グリセリン 2.エチレングリコール |
Ⅲ 第四石油類 | 1.潤滑油 2.可塑剤 | - |
Ⅲ 動植物油類 | 1.乾性油 2.半乾性油 3.不乾性油 | - |
物質数が多いんだよなぁ…
乙4は物質数は多いものの、性状が共通の物質も多いです。
- 全て可燃性の液体
- 全て蒸気は空気より重い
- 燃え方は蒸発燃焼※1
- 水より軽いものが多い
- 水に溶けないものが多い
- 静電気が蓄積しやすい※2
※1:液体がそのまま燃えるのではなく、液面近くの蒸気が燃える。
※2:ガソリンなどの油は静電気が溜まり、その放電で発火する事がよくある。
性状が共通という事は、取扱いや消火方法も共通するので、乙4物質について勉強するのはかなり楽な部類です。
危険等級や区分と性状を見ながら物質名を少しずつ紐づけていく覚え方が良いかもな。
それがいーと思います!
危険物 第四類(乙4)-危険等級Ⅰ:特殊引火物の定義と物質情報
【危険等級:Ⅰ】
特殊引火物
性状・取扱・消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)の特殊引火物は、1気圧において発火点が100℃以下または、引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のものと定義されています。
また、指定数量は水溶性・非水溶性で変わらず50ℓです。危険性が高いので指定数量も少なく定められています。
危険 等級 | 第四類 区分 | 指定数量 非水溶性 | 指定数量 水溶性 | 引火点 | 沸点 発火点 |
---|---|---|---|---|---|
Ⅰ | (二硫化炭素ほか) | 特殊引火物50ℓ | 50ℓ | ≦▲20℃ | ≦40℃ ≦100℃ |
乙4物質の中でも特に蒸発(揮発)しやすくて燃えやすい物質が区分されます。
- 非水溶性:二硫化炭素
- 水溶性:ジエチルエーテル
- 水溶性:アセトアルデヒド
- 水溶性:酸化プロピレン
数値等は後ほど表に纏めますが、先ずは物質の概要などを書いていきます。
二硫化炭素は代表的な炭素の硫化物(炭素と硫黄の化合物)で、とても揮発しやすく燃えやすい。ゴムなどを溶かす性質がある。
特殊引火物では唯一、液比重が1より大きく水中に貯蔵する。
消防法とは別で劇物に指定されている。
【用途】
溶剤・殺虫剤・セロハンの原料
【関連物質】
乙2:硫黄
ジエチルエーテールは甘い刺激臭を放つ有機化合物で、単にエーテルと呼ばれる事も多い。
【用途】
有機溶媒・麻酔薬・燃料
【関連物質】
※同じ乙4に属す物質
アセトアルデヒドは人間が飲酒をした際、体内でエタノールが代謝され生成される。二日酔いの原因となり発ガン性もあるので、お酒はほどほどに。
乙4物質で最も沸点が低い。
【用途】
酢酸エチルの原料
【関連物質】
乙4:エタノール・酢酸エチル・氷酢酸
酸化プロピレンは有機化合物でエポキシドの一つ。揮発性がある。重合する性質からポリエチレンなどの化成品の原料となる。
別名はプロピレンオキシド。
【用途】
化成品の原料・燃料・燻蒸剤
【関連物質】
※高圧ガスでのプロパン
何かの材料になるのが多いな。
特殊引火物は乙4物質ではあるけどガソスタで扱うものとは違いますもんね。
特殊引火物の性状
【特殊引火物】
性状
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>特殊引火物の性状です。
まず状態と数値系を表に落とします。
物質名 | 水溶 | 液色 | 液比重 | 引火点 | 沸点 | 発火点 |
---|---|---|---|---|---|---|
CS2 | 二硫化炭素非水溶 | 透明 | 1.3 | ▲30℃ | 46℃ | 90℃ |
ジエチルエーテル (C2H5)2O | 水溶性 | 透明 | 0.7 | ▲45℃ | 35℃ | 160℃ |
アセトアルデヒド CH3CHO | 水溶性 | 透明 | 0.8 | ▲39℃ | 21℃ | 175℃ |
酸化プロピレン (別名:プロピレンオキシド) C3H6O | 水溶性 | 透明 | 0.8 | ▲37℃ | 34℃ | 449℃ |
二硫化炭素だけ非水溶性で発火点が一番低いのは大事かもな、
乙4の試験対策に直結する特殊引火物 各物質の特記事項をまとめます。
物質名 | 特記事項・試験対策のポイント |
---|---|
CS2 | 二硫化炭素・蒸気は有毒で不快臭がある ・水より重く貯蔵方法が他の特殊引火物とは異なる(水中保存) ・特殊引火物で唯一、非水溶性 |
ジエチルエーテル (C2H5)2O | ・蒸気は麻酔性で少し甘い刺激臭がある ・酸化すると爆発性の過酸化物を生成し衝撃等で爆発する ・乙4物質で引火点が一番低い |
アセトアルデヒド CH3CHO | ・蒸気は有毒で刺激臭がある ・乙4物質で沸点が一番低い ・貯蔵時は不活性ガス(アルゴンガス等)を注入する |
酸化プロピレン (別名:プロピレンオキシド) C3H6O | ・蒸気は有毒 ・重合する性質があり重合熱による火災等の危険性がある ・貯蔵時は不活性ガス(アルゴンガス等)を注入する |
危険性が高いから不活性ガスを入れたりするんだなぁ。
希ガスは不活性ガスとしてよく使われます!
特殊引火物の貯蔵・取扱方法
【特殊引火物】
貯蔵・取扱
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>特殊引火物の貯蔵・取扱方法です。
物質の水溶性の有無と比重によって多少変わるくらいなので理解すれば覚えるまでもないです。
- 容器を密栓する
- 容器内に空間を確保する
- 換気の良い冷暗所※1
- 屋内の設備は防爆構造※2
- 火気厳禁
- 日光が当たる・加熱
- 摩擦・衝撃・静電気
※1:乙4物質の蒸気は空気より重く低所(床の方)に溜まるので換気設備で高所から排出し空気中に散らす。
※2:防爆構造=建物内の照明スイッチなどで火花が散らないように設計されたもの。蒸気への引火リスクへの対処。
まず、非水溶性で比重が1より大きい(=水より重い)二硫化炭素を見ていきます。
容器を水没させる以外は全て基本と同じで良いです。
- 容器を水没(水中保存)
- 容器を密栓する
- 容器内に空間を確保する
- 通風・換気の良い冷暗所
- 屋内の設備は防爆構造
- 火気厳禁
- 容器を水から露出させない
- 日光が当たる・加熱
- 摩擦・衝撃・静電気
水より重いから水に沈める以外は全部「基本」でいいのか。
次に、残りの3つである水溶性の特殊引火物(ジエチルエーテル・アセトアルデヒド・酸化プロピレン)を見てみます。
- 容器に不活性ガスを充填
- 容器を密栓する
- 容器内に空間を確保する
- 通風・換気の良い冷暗所
- 屋内の設備は防爆構造
- 火気厳禁
- 日光が当たる・加熱
- 摩擦・衝撃・静電気
容器に不活性ガスを充填する以外は全て基本と同じで良いですね。
乙4物質の貯蔵・取扱はほとんどがこのパターンです!
乙4物質の貯蔵・取扱いで気にすべきは「静電気」の存在です。
乙4物質に静電気は厳禁
・可燃性物質に静電気は禁忌
・可燃性蒸気の点火源となる
(そもそも静電気は…)
・ガソリンを流すだけでも溜まる
・乙4物質は「電気の不良導体」である
(引火リスク回避には…)
①:空気の乾燥を避ける
②:給油前に「接地」し静電気を地面へ放電
③:給油速度を落とし乙4物質の摩擦を減らす
静電気について気をつけるのは特殊引火物に限らず、全ての乙4物質に係るものです。
工場での爆発事故とかも原因は詰まるところ静電気だったとか結構あるんだよな…
身近にはガソスタでの引火も静電気が原因になりますね。
特殊引火物の消火方法
【特殊引火物】
消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>特殊引火物の消火方法です。
まず、乙4物質は「窒息消火が第一」です。
消火の基本的な事と何故、乙4物質に窒息消火が適しているか等は法令⑥のページで詳しく書いています。
- 粉末消火剤での窒息消火
- 砂・岩での窒息消火
- 二酸化炭素での窒息消火
- ハロゲン化物での消火
- 強化液の霧状放射
- 注水消火
- 強化液の棒状放射※1
- 泡消火剤(モノによる)※2
※1:強化液自体は乙4物質の火災に有効だが、棒状放射すると乙4物質が軽い液体で流れながら燃えて被害拡大する。
※2:泡消火剤は普通の泡と耐アルコール泡があり、普通の泡を水溶性の乙4物質に使うと泡が溶けて消化能力がなくなる。使い分けの必要がある。
基本的に窒息、水はNGだが…
何かを覚えたり理解する時に「モノによっては…」が出てくるとノイズになるので、泡消火剤の「△」について分解・整理します。
泡消火剤の使用:特殊引火物
(そもそもの整理)
・非水溶性の物質には「普通泡」
・水溶性の物質には「耐アルコール泡」
(整理の根拠となる考え方)
水溶性の物質に対しては「溶けにくい泡」を使うことで消火能力を維持できる
(普通泡で対応)
・二硫化炭素
(耐アルコール泡で対応)
・ジエチルエーテル
・アセトアルデヒド
・酸化プロピレン
乙4試験では耐アルコール泡を特殊泡消火剤と言ったりもします。
乙4物質の全部で消火方法の使いまわしが効くのは有難ェな。
そーなんです。
この辺が乙4の性状・消火は簡単と言われるところです。
特殊引火物はここまでです!
危険物 第四類(乙4)-危険等級Ⅱ:アルコール類の定義と物質情報
【危険等級:Ⅱ】
アルコール類
性状・取扱・消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)のアルコール類は、アルコール含量が60%以上の飽和一価アルコール(炭素原子が1-3個)であると消防法で定めています。
また、アルコール類は水溶性なので指定数量も自ずと水溶性だけが400ℓと定められています。
危険 等級 | 第四類 区分 | 指定数量 非水溶性 | 指定数量 水溶性 | 引火点 | 発火点 |
---|---|---|---|---|---|
Ⅱ | (メタノールほか) | アルコール類- | 400ℓ | メチル 11℃ エチル 13℃ | - |
アルコール類は2物質のみで、性状もかなり似ています。
- 水溶性:メチルアルコール
- 水溶性:エチルアルコール
数値等は後ほど表に纏めますが、先ずは物質の概要などを書いていきます。
メチルアルコールはアルコールで一番シンプルな構造。毒性があり失明の危険性があるので飲用不可。
消防法とは別で劇物に指定されている。
別名:メタノール・メチール
【用途】
溶媒・燃料・ホルマリンの原料
【関連物質】
※毒物劇物でのホルムアルデヒド
エチルアルコールは酒を酒と呼ぶに必須な化学成分。飲む・殺菌消毒・燃やすと幅広く利用される。
飲酒して悪酔いするのはエタノールによるものではなく、エタノールが体内(肝臓)で代謝・生成されるアセトアルデヒドによるもの。
危険等級Ⅱの物質(エタノール)を飲むと、体内で危険等級Ⅰ(アセトアルデヒド)にクラスチェンジするって飲酒する事について色々と考えるところ。
別名:エタノール・酒精(しゅせい)
【用途】
飲用・殺菌消毒・燃料
【関連物質】
乙4:アセトアルデヒド・氷酢酸
覚えるの2物質でいいなら楽勝だな!
ここは覚える事もほとんどないので、すぐに終わっちゃいますね。
アルコール類の性状
【アルコール類】
性状
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>アルコール類の状態と数値です。
まず状態と数値系を表に落とします。
物質名 | 水溶 | 液色 | 液比重 | 引火点 | 沸点 | 発火点 |
---|---|---|---|---|---|---|
(別名:メタノール) CH3OH | メチルアルコール水溶性 | 透明 | ≦1.0 | 11℃ | 65℃ | 385℃ |
エチルアルコール (別名:エタノール) C2H5OH | 水溶性 | 透明 | ≦1.0 | 13℃ | 78℃ | 363℃ |
乙4の試験対策に直結するアルコール類 各物質の特記事項をまとめます。
物質名 | 特記事項・試験対策のポイント |
---|---|
(別名:メタノール) CH3OH | メチルアルコール・毒性があり誤飲すると失明する危険性がある 【以下、エタノールと共通】 ・水で希釈すると蒸気圧が下がり引火点は上がる ・炎の色が薄い青白で見えづらい |
エチルアルコール (別名:エタノール) C2H5OH | ・↑のメタノールとの共通事項 ・毒性はない ・酸化するとエタノール→アセトアルデヒド→酢酸の順で変化する |
衛生管理者のページでも「メタノールで視神経障害」ってあったよな。
お馴染みですね!
アルコール類の貯蔵・取扱・消火
【アルコール類】
貯蔵・取扱
消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>アルコール類の貯蔵・取扱方法です。
「第四類の基本」通りでOKです。
- 容器を密栓する
- 容器内に空間を確保する
- 換気の良い冷暗所※1
- 屋内の設備は防爆構造※2
- 火気厳禁
- 日光が当たる・加熱
- 摩擦・衝撃・静電気
※1:乙4物質の蒸気は空気より重く低所(床の方)に溜まるので換気設備で高所から排出し空気中に散らす。
※2:防爆構造=建物内の照明スイッチなどで火花が散らないように設計されたもの。蒸気への引火リスクへの対処。
性状で見た通り、アルコール類は「水より軽い」ので、特殊引火物:二硫化炭素のように水中保存する必要もないです。
基本が出来てりゃスルーしても点が取れるってスゲー楽だな。
続いて、危険物 第四類(乙4)>アルコール類の消火方法です。
消火も「第四類の基本」通りでOKです。
- 粉末消火剤での窒息消火
- 砂・岩での窒息消火
- 二酸化炭素での窒息消火
- ハロゲン化物での消火
- 強化液の霧状放射
- 注水消火
- 強化液の棒状放射※1
- 泡消火剤(モノによる)※2
※1:強化液自体は乙4物質の火災に有効だが、棒状放射すると乙4物質が軽い液体で流れながら燃えて被害拡大する。
※2:泡消火剤は普通の泡と耐アルコール泡があり、普通の泡を水溶性の乙4物質に使うと泡が溶けて消化能力がなくなる。使い分けの必要がある。
試験対策のリマインドも兼ねて、泡消火剤についてもう一度見ておきましょう。
泡消火剤の使用:アルコール類
(そもそもの整理)
・非水溶性の物質には「普通泡」
・水溶性の物質には「耐アルコール泡」
(整理の根拠となる考え方)
水溶性の物質に対しては「溶けにくい泡」を使うことで消火能力を維持できる
(耐アルコール泡で対応)
・メタノール
・エタノール
基本が判ってくりゃ余裕だな。
そーなんですよ。だから乙4の性状とかは「危ないのから」見ると後が楽なんです。
アルコール類はここまでです!
危険物 第四類(乙4)-危険等級Ⅱ:第一石油類の定義と物質情報
【危険等級:Ⅱ】
第一石油類
性状・取扱・消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)の第一石油類は、1気圧において引火点21℃未満の引火性液体であると消防法で定めています。
また、指定数量は非水溶性と水溶性で異なり、水溶性は非水溶性の2倍となります。
危険 等級 | 第四類 区分 | 指定数量 非水溶性 | 指定数量 水溶性 | 引火点 | 発火点 |
---|---|---|---|---|---|
Ⅱ | (ガソリンほか) | 第一石油類200ℓ | 400ℓ | <21℃ | - |
- 非水溶性:ガソリン
- 非水溶性:ベンゼン
- 非水溶性:トルエン
- 水溶性:アセトン
- 水溶性:ピリジン
- ほか:扱いのややこしいもの
数値等は後ほど表に纏めますが、先ずは物質の概要などを書いていきます。
ガソリンは乙4物質の大本命。自動車用・航空用・工業用に大別される。石油を分留して得られるが、混合物なので化学式・示性式は無い。
自動車用は他の燃料との識別の為にオレンジ色に着色されている。
【用途】
燃料・塗料・ドライクリーニング
【関連物質】
乙4:灯油・軽油・重油
ベンゼンは旧くは有機溶剤として使われたが、毒性が強く1950年代に起きた健康問題から溶剤の役目を弟分(?)のトルエンに譲って退役。
現在は他の化学物質の材料として使われている。
【用途】
スチレン・フェノールの材料
【関連物質】
乙4:トルエン
アニキ分(?)のベンゼンから有機溶剤の役割を受継いで現役。ベンゼンより毒性は弱いものの、吸引すると興奮・幻覚・麻酔などの症状が出る。
消防法とは別で劇物に指定されている。
【用途】
溶剤・シンナー・爆薬
【関連物質】
乙4:ベンゼン
乙5:トリニトロトルエン
アセトンは有機化合物で最もシンプルな構造のケトン。水溶性だが油もよく溶かす。
別名:ジメチルケトン
【用途】
有機溶媒・高圧ガス(アセチレン)の安定化
ピリジンはベンゼンとよく似た造りのアミンの一種。ベンゼンとは異なり水溶性。
腐魚臭やタバコのようなニオイを放つが、実はこの成分は人体からも放出されている。
【用途】
溶剤・界面活性剤・医薬品
【関連物質】
乙4:ベンゼン
酢酸エチル・メチルエチルケトンは実際は水溶性だが、あまり水に溶けないので区分としては非水溶性扱いされている。
実務で指定数量を計算する時などに面倒な事になりやすい。
乙4の試験で登場するのはレアかも知れないが、存在は知っておいて損はない。
乙5物質にメチルエチルケトンパーオキサイドって出てきたな。
…ややこしいモノの後にややこしくなる様な事を被せないで下さいよ…
第一石油類の性状
【第一石油類】
性状
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>第一石油類の状態と数値です。
物質名 | 水溶 | 液色 | 液比重 | 引火点 | 沸点 | 発火点 |
---|---|---|---|---|---|---|
(自動車用ガソリン) 化学式:- | ガソリン非水溶 | 橙 | ≦1.0 | ≦ ▲40℃ | 40℃ | 300℃ |
ベンゼン C6H6 | 非水溶 | 透明 | ≦1.0 | ≦▲11℃ | 80℃ | 498℃ |
トルエン C6H5CH3 | 非水溶 | 透明 | ≦1.0 | 4℃ | 110℃ | 480℃ |
アセトン (別名:ジメチルケトン) CH3COCH3 | 水溶性 | 透明 | ≦1.0 | ▲20℃ | 56℃ | 465℃ |
ピリジン C5H5N | 水溶性 | 透明 | ≦1.0 | 20℃ | 115℃ | 482℃ |
乙4の試験対策に直結する第一石油類 各物質の特記事項をまとめます。
物質名 | 特記事項・試験対策のポイント |
---|---|
(自動車用ガソリン) 化学式:- | ガソリン・もともとは透明だが自動車用ガソリンはオレンジ色に着色 ・電気の不良導体で静電気を蓄積しやすい ・混合物である |
ベンゼン C6H6 | ・揮発性が強く蒸気は有毒 ・芳香がある |
トルエン C6H5CH3 | ・トルエンより毒性は弱いが蒸気は有毒 |
アセトン (別名:ジメチルケトン) CH3COCH3 | ・水溶性でアルコールや溶剤にも溶ける ・泡消火剤は耐アルコール泡(特殊泡)を使用 |
ピリジン C5H5N | ・水溶性で腐魚臭(悪臭)がある ・泡消火剤は耐アルコール泡(特殊泡)を使用 |
アセトンとピリジンは水溶性だから指定数量は他のやつの2倍だな。
この後に出てくる乙4物質の指定数量も、水溶性は非水溶性の2倍です!
第一石油類の貯蔵・取扱・消火
【第一石油類】
貯蔵・取扱
消火
危険物 乙4試験に向けた覚え方
危険物 第四類(乙4)>第一石油類の貯蔵・取扱方法です。
「第四類の基本」通りでOKです。
- 容器を密栓する
- 容器内に空間を確保する
- 換気の良い冷暗所※1
- 屋内の設備は防爆構造※2
- 火気厳禁
- 日光が当たる・加熱
- 摩擦・衝撃・静電気
※1:乙4物質の蒸気は空気より重く低所(床の方)に溜まるので換気設備で高所から排出し空気中に散らす。
※2:防爆構造=建物内の照明スイッチなどで火花が散らないように設計されたもの。蒸気への引火リスクへの対処。
性状で見た通り、第一石油類は「全て水より軽い」ので、特殊引火物:二硫化炭素のように水中保存する必要もないです。
ここも基本通りで、同じ表を繰り返し見てれば自然と覚えられるな。
続いて、危険物 第四類(乙4)>第一石油類の消火方法です。
消火も「第四類の基本」通りでOKです。
- 粉末消火剤での窒息消火
- 砂・岩での窒息消火
- 二酸化炭素での窒息消火
- ハロゲン化物での消火
- 強化液の霧状放射
- 注水消火
- 強化液の棒状放射※1
- 泡消火剤(モノによる)※2
※1:強化液自体は乙4物質の火災に有効だが、棒状放射すると乙4物質が軽い液体で流れながら燃えて被害拡大する。
※2:泡消火剤は普通の泡と耐アルコール泡があり、普通の泡を水溶性の乙4物質に使うと泡が溶けて消化能力がなくなる。使い分けの必要がある。
試験対策のリマインドも兼ねて、泡消火剤についてもう一度見ておきましょう。
泡消火剤の使用:第一石油類
(そもそもの整理)
・非水溶性の物質には「普通泡」
・水溶性の物質には「耐アルコール泡」
(整理の根拠となる考え方)
水溶性の物質に対しては「溶けにくい泡」を使うことで消火能力を維持できる
(耐アルコール泡で対応)
・アセトン
・ピリジン
泡消火剤の事もそろそろ慣れてきたな。
基本事項を繰り返し読んでいくのも覚え方としてはアリですね。
第一石油類はここまでです!
危険物 第四類(乙4) 危険等級Ⅰ・Ⅱ 物質と指定数量まとめ
このページで出てきた危険等級Ⅰ:特殊引火物と危険等級Ⅱ:アルコール類・第一石油類をまとめ、試験対策で実際に覚えるものとして表にします。
危険等級 区分 | 引火点 | 物質 | 非水溶性指定数量 | 非水溶性物質 | 水溶性指定数量 | 水溶性
---|---|---|---|---|---|
Ⅰ 特殊引火物 | ≦ ▲20℃ | 1.二硫化炭素 | 50ℓ | 2.アセトアルデヒド 3.酸化プロピレン | 1.ジエチルエーテル50ℓ |
Ⅱ アルコール類 | メチル 11℃ エチル 13℃ | - | - | 2.エタノール | 1.メタノール400ℓ |
Ⅱ 第一石油類 | <21℃ | 2.ベンゼン 3.トルエン | 1.ガソリン200ℓ | 2.ピリジン | 1.アセトン400ℓ |
Ⅲ 第二石油類 | 21℃以上 70℃未満 | 1.灯油 2.軽油 3.キシレン | 1,000ℓ | 1.氷酢酸 2.アクリル酸 | 2,000ℓ |
Ⅲ 第三石油類 | 70℃以上 200℃未満 | 1.重油 2.クレオソート油 3.ニトロベンゼン 4.アニリン | 2,000ℓ | 1.グリセリン 2.エチレングリコール | 4,000ℓ |
Ⅲ 第四石油類 | 200℃以上 250℃未満 | 1.潤滑油 2.可塑剤 | 6,000ℓ | - | - |
Ⅲ 動植物油類 | 250℃未満 | 1.乾性油 2.半乾性油 3.不乾性油 | 10,000ℓ | - | - |
危険等級ⅠとⅡだけでも11物質もあるのか。
まずはⅠ・Ⅱを覚える準備をして、次のページでⅢの内容を見てからが覚える本番です!
危険物 第四類(乙4)-危険等級Ⅰ・Ⅱ:試験対策の一問一答
このページで出てきた内容から試験対策っぽいものを作ってみました。
一問一答形式で確認していきましょう!
問題右端の+ボタンで答えが出てきます。
問1:二硫化炭素は液比重・蒸気比重とも1.0より大きい?
まる!危険等級Ⅰ・Ⅱの中で唯一、液比重が1より大きいです。
問2:特殊引火物の貯蔵では容器に不活性ガスを充填する事がある?
まる!不活性ガスは希ガスでしたね。
問3:酸化プロピレンは和合する性質があるんだっけ?
ばつ!和合ではなく重合です。
問4:第四類物質を貯蔵する場所の電気設備は防爆設備でなければならない?
まる!スイッチの火花などで可燃性蒸気に引火したら大変です。
問5:乙4物質を貯蔵する容器内は空間を残さず「フル満タン」が良いんだよね?
ばつ!容器内には空間を残し、内容物が膨張した時に備えます。
問6:二硫化炭素の貯蔵容器は外部を濡らしておけば良い?
ばつ!二硫化炭素は水より重いので容器を「水没させて」水中保存です。
問7:静電気は給油中には発生せず湿度などの影響を受けないって本当?
ばつ!給油中も発生します。湿度が低いと火花が出やすくなります。
問8:エタノール・メタノールどちらも飲んで美味しい?
ばつ!メタノール(別名:メチール)は飲むと失明します。目散ーると覚えましょう(?)
問9:トルエンは水溶性、アセトンは非水溶性で合ってるよね?
ばつ!逆です。
問10:水溶性の第一石油類の指定数量:400ℓで泡消火剤は特殊泡を使用する?
まる!指定数量は水溶性は非水溶性の2倍です。
最初に一番危ないのを見ると後から勉強が楽になるな。
危ない分、基本をしっかり見ますからね。
乙4物質ってまだ出てくるんだっけ?
そーです。
次のページで残りをやります。
おk、早くやっちまいたいな。
それでは、第二石油類以降は次のページで。
お疲れさまでした!
ここまでで危険物 第四類(乙4)性状・取扱・消火の半分です。残りの物質は次ページで攻略します。
■危険物 第四類(乙4)ページ一覧
①:第四類の概要
②:関係法令のカテゴリトップ
③:法令1 資格・免状・申請
④:法令2 指定数量・予防規定・諸手続
⑤:法令3 役職者・施設概要・取扱
⑥:法令4 製造所・取扱所
⑦:法令5 貯蔵所・製造所等まとめ
⑧:法令6 燃焼・消火・警報
⑨:物理化学・計算問題
⑩:性状と消火1 危険等級Ⅰ・Ⅱ ◀NOW
⑪:性状と消火2 危険等級Ⅲ