乙種化学 過去問:令和7年度 学識(全15問)の解答と解説【高圧ガス製造保安責任者】

高圧ガス製造保安責任者 乙種 過去問 令和7年度

2025年(令和7年)11月に実施された高圧ガス製造保安責任者試験「乙種化学」の学識科目の過去問(全15問)を、公式に公表された問題・正解答をもとに解説します。

学識は乙種化学と乙種機械で問題が完全に分かれる科目。化学は物理化学(状態方程式・熱力学・反応速度・化学平衡)と燃焼・爆発が主戦場で、令和7年度は15問中6問が計算でした。

おっさん

学識は化学と機械で別問題なんだな。化学のほうは計算が6問か……多くないか?

でぃでぃ

多く見えますけど、使うのは状態方程式・未定係数法・比の計算くらいなんです。ひとつずつ手を動かしながら見ていきましょーか。

公表元:高圧ガス保安協会(KHK)「令和7年度 高圧ガス製造保安責任者試験等」試験問題・択一式正解答。

INDEX

乙種化学学識 令和7年度 概要

仕様情報
試験実施日令和7(2025)年11月9日
科目学識
問題数15問(多肢選択式)
試験時間120分(13:30〜15:30)
合格基準満点の60%以上(9/15)
実施年1回(11月)
乙種化学学識 令和7年度 概要
でぃでぃ

合格ラインは各科目60%。学識は15問なので9問でクリア。計算6問のうち半分取れれば、知識問題の負担がぐっと軽くなりますよ。

問01.SI単位の組立

次のイ、ロ、ハ、ニのうち、正しいものはどれか。

イ
1 N = 1 kg・m-2・s

ロ
1 Pa = 1 kg・m-2・s-1

ハ
1 J = 1 kg・m2・s-2

ニ
1 W = 1 kg・m2・s-3

イ.誤り
ロ.誤り
ハ.正しい
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(5) ハ、ニ。ハ・ニが正しくて、イ・ロが誤りですね。

イ.誤り:力の単位N(ニュートン)は運動方程式 F=ma から組み立てられ、1 N = 1 kg·m·s⁻²。質量1 kgの物体に1 m/s²の加速度を与える力であり、mの指数は−2ではなく+1、sの指数が−2である。
ロ.誤り:圧力の単位Pa(パスカル)は単位面積あたりの力で、1 Pa = 1 N/m² = 1 kg·m⁻¹·s⁻²。mの指数は−1、sの指数は−2であり、kg·m⁻²·s⁻¹は誤り。
ハ.正しい:エネルギーの単位J(ジュール)は力×距離で定義され、1 J = 1 N·m = 1 kg·m·s⁻² × m = 1 kg·m²·s⁻²。1 Nの力で物体を1 m動かす仕事に相当する。
ニ.正しい:仕事率の単位W(ワット)は単位時間あたりのエネルギーで、1 W = 1 J/s = 1 kg·m²·s⁻³。Jの組立単位をsで1回割るのでsの指数が−3になる。

N=kg·m·s⁻²(F=ma)を起点に、Pa=N/m²、J=N·m、W=J/sと定義から組み立てれば、指数を丸暗記せずその場で導ける。

問02.気体の密度計算

一酸化炭素の 0 ℃、101.3 kPa における密度はおよそいくらか。ただし、一酸化炭素は理想気体で、そのモル質量を 28.0×10^-3 kg/mol とする。

ρ = pM/(RT)(理想気体の状態方程式 pV=nRT の変形)

でぃでぃ

正解は(3) 1.25 kg/m3。

①理想気体の状態方程式 pV = nRT に n = m/M を代入すると、密度 ρ = m/V = pM/(RT)。
②数値を代入:ρ = (101.3×10³ Pa × 28.0×10⁻³ kg/mol) ÷ (8.31 J/(mol·K) × 273 K)
③分子 = 2.84×10³、分母 = 2.27×10³
④ρ ≈ 2.84×10³ ÷ 2.27×10³ ≈ 1.25 kg/m³
よって約1.25 kg/m³ → 正解(3)

0℃・大気圧の空気の密度は約1.29 kg/m³。COは空気(平均28.8)に近いモル質量28なので、それに近い値になるかで検算できる。

問03.圧縮係数の計算

ある実在気体 30 mol の体積は、温度173 ℃、圧力22 MPa において2.0×10^-3 m3 であった。このときの圧縮係数はおよそいくらか。

Z = pV/(nRT)(理想気体なら Z = 1)

でぃでぃ

正解は(2) 0.40。

①圧縮係数の定義:Z = pV/(nRT)
②温度をKに換算:T = 173 + 273 = 446 K
③数値を代入:Z = (22×10⁶ Pa × 2.0×10⁻³ m³) ÷ (30 mol × 8.31 J/(mol·K) × 446 K)
④分子 = 4.4×10⁴、分母 = 30 × 8.31 × 446 ≈ 1.11×10⁵
⑤Z ≈ 4.4×10⁴ ÷ 1.11×10⁵ ≈ 0.40
よって約0.40 → 正解(2)

圧縮係数Zは実在気体の理想気体からのずれの指標。MPa→Pa、℃→K、10⁻³ m³の単位換算を1つでも落とすと桁ごと外れる。

問04.熱力学の基礎

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、正しいものはどれか。

イ
外部との間に熱の出入りがない場合の状態変化を断熱変化という。

ロ
理想気体を加熱したときの定容変化では、気体に加えられた熱は外部にした仕事に使われる。

ハ
エントロピーは、状態量ではない。

ニ
多くの実在気体は、常温でジュール – トムソン膨張(等エンタルピー膨張)すると温度が低下する。

イ.正しい
ロ.誤り
ハ.誤り
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(2) イ、ニ。イ・ニが正しくて、ロ・ハが誤りですね。

イ.正しい:外部との間に熱の出入りがない(Q = 0)状態変化を断熱変化という。定義そのものであり、このとき熱力学第一法則は ΔU = −W となる。
ロ.誤り:定容変化では体積が一定なので外部にする仕事は W = ∫p dV = 0。第一法則 ΔU = Q − W より、気体に加えられた熱はすべて内部エネルギーの増加(温度上昇)に使われる。仕事に使われるのは定圧変化の場合の一部である。
ハ.誤り:エントロピーは温度、圧力、内部エネルギーなどと同じく、系の状態だけで決まる状態量である。変化量ΔSは始状態と終状態のみで決まり、経路にはよらない。
ニ.正しい:常温では多くの実在気体のジュール-トムソン係数は正であり、等エンタルピー膨張させると温度が低下する。この効果はガスの液化に利用される。水素やヘリウムは逆転温度が低く、常温では逆に温度が上昇する例外である。

定容変化は仕事ゼロで熱がすべて内部エネルギーへ、定圧変化は一部が仕事へ、という対比の入れ替えが定番の引っかけ。

問05.反応速度

次のイ、ロ、ハ、ニの反応速度についての記述のうち、正しいものはどれか。

イ
活性化エネルギーは、通常は正の値である。

ロ
アレニウスの式は、反応速度定数 k の濃度依存性を表す。

ハ
正反応の反応速度は、通常は生成物の濃度と反応物の濃度の積に比例する。

ニ
反応次数が 1、2、3 である反応を、それぞれ 1 次反応、2 次反応、3 次反応と呼ぶ。

イ.正しい
ロ.誤り
ハ.誤り
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(2) イ、ニ。イ・ニが正しくて、ロ・ハが誤りですね。

イ.正しい:活性化エネルギーは反応物が生成物に変わる際に越えなければならないエネルギー障壁であり、通常は正の値をとる。値が大きいほど反応は遅く、温度の影響を受けやすい。
ロ.誤り:アレニウスの式 k = A exp(−Ea/RT) は、反応速度定数kの「温度依存性」を表す式である。速度定数kは濃度には依存しない量であり、濃度依存性を表すのは速度式(v = k[A]ᵃ[B]ᵇ)のほうである。
ハ.誤り:正反応の反応速度は、通常、反応物の濃度(のべき乗の積)に比例し、生成物の濃度には依存しない。生成物濃度が現れるのは逆反応の速度式である。
ニ.正しい:速度式に現れる濃度の指数の総和を反応次数といい、それが1、2、3の反応をそれぞれ1次反応、2次反応、3次反応と呼ぶ。

アレニウス式は「温度」依存、速度式は「反応物」濃度に比例。依存する対象をすり替えた記述が繰り返し出題されている。

問06.化学反応式の係数

次の化学反応式において、a、 b、 c、 dの数値の組合せで正しいものはどれか。P4 + a NaOH+ b H2O → c PH3+ d NaH2PO2

P・Na・O・Hの各原子数を両辺で一致させる(未定係数法)

でぃでぃ

正解は(5) a=3、b=3、c=1、d=3。

①Na収支:a = d
②O収支:a + b = 2d に d = a を代入 → b = a
③P収支:4 = c + d → c = 4 − a
④H収支:a + 2b = 3c + 2d → a + 2a = 3(4 − a) + 2a → 3a = 12 − a → a = 3
⑤よって a = 3、b = 3、c = 1、d = 3 → 正解(5)
検算:P₄ + 3NaOH + 3H₂O → PH₃ + 3NaH₂PO₂(黄リンの不均化反応。P:4=1+3、H:3+6=3+6、O:3+3=6 で一致)

NaとOの収支だけで a = b = d が即座に決まり、あとはP収支で c が出る。全元素を律儀に連立するより収支の楽な元素から攻める。

問07.化学平衡

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、化学平衡について正しいものはどれか。

イ
可逆反応では、正反応が進んで生成物量が増加するにつれて逆反応の速度が遅くなり、ついには逆反応の速度がゼロになった状態が化学平衡である。

ロ
濃度平衡定数 Kc と圧平衡定数 Kp は常に同じ値である。

ハ
吸熱反応において、定圧下で反応温度を上げると、反応の平衡は生成系側に移動する。

ニ
定温下で圧力を高くすると、反応の平衡は体積が減少する方向に移動する。

イ.誤り
ロ.誤り
ハ.正しい
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(5) ハ、ニ。ハ・ニが正しくて、イ・ロが誤りですね。

イ.誤り:化学平衡は正反応と逆反応の速度が等しくなった動的平衡であり、逆反応の速度がゼロになるのではない。見かけ上組成が変化しなくなるだけで、両方向の反応は同じ速度で進行し続けている。
ロ.誤り:KpとKcの間には Kp = Kc(RT)^Δn(Δnは気体のモル数変化)の関係があり、常に同じ値ではない。一致するのはΔn = 0、すなわち反応前後で気体のモル数が変わらない反応に限られる。
ハ.正しい:ル・シャトリエの原理より、温度を上げると平衡は吸熱方向へ移動する。吸熱反応では正反応が吸熱なので、平衡は生成系側へ移動する。
ニ.正しい:定温で圧力を高くすると、その影響を緩和する方向、すなわち気体の総モル数が減り体積が減少する方向へ平衡が移動する。アンモニア合成を高圧で行うのはこの原理による。

平衡は「両反応が同速度で進む動的状態」。逆反応停止・Kp=Kc恒等という言い切り型の記述はほぼ誤りと疑ってよい。

問08.理論空気量の計算

アセチレン 1 molを完全燃焼させるために理論上必要な最少必要空気量(理論空気量)は、およそ何 molか。

C₂H₂ + 2.5O₂ → 2CO₂ + H₂O、空気中の酸素は約21 vol%

でぃでぃ

正解は(3) 12 mol。

①アセチレンの完全燃焼反応式:C₂H₂ + 2.5 O₂ → 2 CO₂ + H₂O
②アセチレン1 molの燃焼に必要な酸素は 2.5 mol
③空気中の酸素は約21 vol%なので、理論空気量 = 2.5 ÷ 0.21 ≈ 11.9 mol
よって約12 mol → 正解(3)

酸素係数2.5のまま答えると(1)に引っかかる。理論「空気」量は必要酸素量を0.21で割る一手間まで含めて問われている。

おっさん

酸素量で答えて(1)を選びそうになったぞ。理論「空気」量だから0.21で割るのか。

でぃでぃ

そこが今年いちばん素直な引っかけでした。問題文の「空気」と「酸素」、どちらを聞かれているかに必ず丸を付けてくださいね。

問09.消炎距離の大小

次のガスと空気の常温、大気圧における混合気体について、消炎距離の最小値が小さいものから大きいものへ順に並べたものはどれか。

イ
水素

ロ
酸化エチレン

ハ
メタン

燃焼速度が大きく反応性の高いガスほど消炎距離は小さい

でぃでぃ

正解は(1) イ<ロ<ハ。

①消炎距離は、狭い隙間を火炎が通過しようとするとき、壁面への熱損失などで伝ぱできなくなる限界の隙間寸法である。
②燃焼速度が大きく反応性の高いガスほど熱損失に打ち勝って火炎が維持されるため、消炎距離は小さくなる。
③最小消炎距離の目安:水素 約0.6 mm、酸化エチレン 約1.3 mm、メタン 約2 mm。最大燃焼速度は水素 約2.9 m/s > 酸化エチレン 約1 m/s > メタン 約0.37 m/s の順で、序列がちょうど逆になる。
④よって 水素 < 酸化エチレン < メタン、すなわち イ<ロ<ハ → 正解(1)

消炎距離の序列は燃焼速度の逆順で、最小発火エネルギーの大小とも一致する。水素が最小・メタンが最大は頻出の組合せ。

問10.爆発限界および爆発範囲

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、爆発限界および爆発範囲について正しいものはどれか。

イ
窒素の添加による希釈効果によって、爆発上限界は大きくなる。

ロ
可燃性ガスの爆発限界に対する二酸化炭素の希釈効果は、窒素よりも大きい。

ハ
一般に可燃性ガスと空気との混合ガスの爆発範囲は、温度が上昇すると広くなる。

ニ
爆ごう範囲は、爆発範囲よりも広い。

イ.誤り
ロ.正しい
ハ.正しい
ニ.誤り

でぃでぃ

正解は(4) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。

イ.誤り:窒素の添加で混合気を希釈すると、可燃性ガスと酸素の濃度がともに下がるため、爆発上限界は低下(小さく)し、爆発範囲は狭くなる。上限界が大きくなるのは酸素を富化した場合である。
ロ.正しい:二酸化炭素は窒素よりモル熱容量が大きく、火炎から熱を奪って燃焼反応を抑える効果が大きい。そのため同じ添加量なら爆発範囲を狭める希釈(不活性化)効果は窒素より大きい。
ハ.正しい:温度が上昇すると反応が活発になり、下限界は低下、上限界は上昇して爆発範囲は広くなる。下限界の温度依存はバージェス-ホイーラーの法則からも説明される。
ニ.誤り:爆ごうが起こる濃度範囲(爆ごう範囲)は爆発範囲の内側にあり、爆発範囲よりも狭い。爆ごうは爆発よりも成立条件が厳しいためである。

不活性ガスの消炎効果は熱容量で決まりCO₂>N₂。爆ごう範囲は爆発範囲の内側で狭い。広い/狭いの逆転記述に注意。

問11.分解爆発性ガス

次のイ、ロ、ハ、ニのうち、すべてが分解爆発性を有するガスであるものはどれか。

イ
アセチレン、水素、メタン

ロ
アンモニア、亜酸化窒素、一酸化炭素

ハ
塩素、水素、プロパン

ニ
亜酸化窒素、アセチレン、モノゲルマン

イ.誤り
ロ.誤り
ハ.誤り
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(4) ニ。ニが正しくて、イ・ロ・ハが誤りですね。

イ.誤り:アセチレンは分解爆発性を有するが、水素とメタンは分解時に発熱しないため分解爆発性はない。両者は支燃性ガスと混合しなければ爆発しない。
ロ.誤り:亜酸化窒素(N₂O)は分解爆発性を有するが、アンモニアと一酸化炭素は発熱的に分解しないため分解爆発性はない。
ハ.誤り:塩素は支燃性の不燃性ガス、水素とプロパンは可燃性ガスであり、いずれも単独で分解爆発を起こす性質はない。
ニ.正しい:亜酸化窒素、アセチレン、モノゲルマン(GeH₄)はいずれも分解が発熱反応であり、支燃性ガスがなくても着火源があれば単独で分解爆発を起こしうるガスである。

分解爆発性ガスの代表はアセチレン・エチレン・酸化エチレン・亜酸化窒素・モノゲルマン・ジボラン。「単独で爆発できるか」で仕分ける。

おっさん

分解爆発ってことは、酸素がなくても爆発するのか。アセチレンにエチレンに……覚えるしかないな。

でぃでぃ

代表選手は アセチレン・エチレン・酸化エチレン・亜酸化窒素・モノゲルマン・ジボラン。リスト暗記がそのまま1点になる問題です。

問12.爆燃・爆ごう

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、爆燃・爆ごうについて正しいものはどれか。

イ
爆燃における火炎の伝ぱ速度は、音速より速い。

ロ
爆風の影響を調べるのに利用されるのが、相似則に基づいたホプキンソンの平方根法則である。

ハ
爆風は、爆燃や爆ごうで周囲に広がる圧力波である。

ニ
爆心から離れたある地点で観測された衝撃波を伴う強い爆発による爆風圧は、最大圧力に達したあと、一旦、負圧になるまで低下し大気圧に戻る。

イ.誤り
ロ.誤り
ハ.正しい
ニ.正しい

でぃでぃ

正解は(4) ハ、ニ。ハ・ニが正しくて、イ・ロが誤りですね。

イ.誤り:爆燃(デフラグレーション)の火炎伝ぱ速度は未燃ガス中の音速より遅い。音速を超え、衝撃波を伴って伝ぱする燃焼は爆ごう(デトネーション)と呼ばれ、両者はこの点で区別される。
ロ.誤り:爆風の影響評価に用いられるホプキンソンの相似則は「三乗根法則」である。爆風パラメータは換算距離 R/W^(1/3)(R:爆心からの距離、W:爆薬量)で整理され、平方根ではない。
ハ.正しい:爆風は、爆燃や爆ごうによって発生し周囲の大気中に広がっていく圧力波である。
ニ.正しい:衝撃波を伴う強い爆発の爆風圧は、爆風の到達で急激に最大圧力(ピーク過圧)に達したのち減衰し、一旦大気圧より低い負圧まで低下してから大気圧に戻る波形を示す。

爆燃は音速未満・爆ごうは音速超、ホプキンソン則は平方根でなく三乗根、爆風は正圧→負圧→大気圧の波形、が三大論点。

おっさん

ホプキンソン則は平方根じゃなくて三乗根、と。細かいところを突いてくるな。

でぃでぃ

爆風の相似則は火薬量の1/3乗です。爆燃=音速未満・爆ごう=音速超えとセットで、この問題は丸ごと覚えてしまいましょーか。

問13.バージェス-ホイーラー則

プロパンの常温、大気圧の空気中の爆発下限界は 2.1 vol%である。これを用いてバージェス-ホイーラーの法則により、ヘキサン(C6H14)の常温、大気圧の空気中の爆発下限界を求めよ。ここで、各物質の標準生成エンタルピー Hf(101.3 kPa、25 ℃)は、下表の値とする。物質  Hf[kJ/mol] プロパン -105 ヘキサン(g) -167 二酸化炭素 -394 水(g) -242

バージェス-ホイーラーの法則: 爆発下限界L × 燃焼熱Q ≒ 一定

でぃでぃ

正解は(2) 1.1 vol%。

①各燃焼熱を標準生成エンタルピーから求める(水は気体とする)。
②プロパン:C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O(g)、Q = |3×(−394) + 4×(−242) − (−105)| = |−2045| = 2045 kJ/mol
③ヘキサン:C₆H₁₄ + 9.5O₂ → 6CO₂ + 7H₂O(g)、Q = |6×(−394) + 7×(−242) − (−167)| = |−3891| = 3891 kJ/mol
④L×Q ≒ 一定より、L(ヘキサン) = L(プロパン) × Q(プロパン)/Q(ヘキサン) = 2.1 × 2045/3891 ≈ 1.10 vol%
よって約1.1 vol% → 正解(2)

L×Q≒一定は「燃焼熱の大きい炭化水素ほど下限界が低い」の定量化。生成エンタルピーの符号処理と反応式の係数ミスが失点源。

問14.酸素

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、酸素について正しいものはどれか。

イ
液化酸素は淡青色を呈する。

ロ
赤熱したアルミニウム、鉄を気体の酸素中に入れると激しく燃焼する。

ハ
気体の酸素は常磁性を示すが、液体の酸素は常磁性を示さない。

ニ
気体の酸素は、還元性が強く、高温において金属の塩化物を還元し金属を遊離させる。

イ.正しい
ロ.正しい
ハ.誤り
ニ.誤り

でぃでぃ

正解は(1) イ、ロ。イ・ロが正しくて、ハ・ニが誤りですね。

イ.正しい:液化酸素(液体酸素)は淡青色を呈する。液化窒素などと違い無色ではない点が特徴で、外観からの識別点として問われる。
ロ.正しい:酸素は強い支燃性を持ち、空気中では燃えにくい金属でも、赤熱したアルミニウムや鉄を気体の酸素中に入れると激しく燃焼する。
ハ.誤り:酸素分子O₂は不対電子を2個もつため、気体だけでなく液体の酸素も常磁性を示す。液体酸素が磁石に引き寄せられる現象はよく知られている。
ニ.誤り:酸素は代表的な酸化性(支燃性)ガスであり、還元性はない。金属の塩化物を還元して金属を遊離させるという性質も持たない。むしろ他の物質を酸化する側である。

液体酸素は「淡青色で常磁性」。酸化性ガスの酸素を「還元性」と書き換える初歩的なすり替えが選択肢を絞る決め手になる。

問15.シラン(モノシラン)

次のイ、ロ、ハ、ニの記述のうち、シラン(モノシラン)について正しいものはどれか。

イ
水素と硫黄の化合物である。

ロ
自然発火性を有しており、常温でも空気と接触すると発火する性質がある。

ハ
常温で、塩素および臭素と爆発的に反応する。

ニ
常温で、純水と爆発的に反応し水素を発生する。

イ.誤り
ロ.正しい
ハ.正しい
ニ.誤り

でぃでぃ

正解は(3) ロ、ハ。ロ・ハが正しくて、イ・ニが誤りですね。

イ.誤り:シラン(SiH₄)はケイ素と水素の化合物であり、硫黄の化合物ではない。水素と硫黄の化合物は硫化水素(H₂S)で、まったく別のガスである。
ロ.正しい:シランは自然発火性を有し、常温でも空気と接触すると着火源なしに発火して燃焼し、二酸化ケイ素(SiO₂)の白煙を生じる。
ハ.正しい:シランは常温で塩素や臭素などのハロゲンと爆発的に反応する。反応性が非常に高いガスである。
ニ.誤り:シランは常温では純水とはほとんど反応せず、爆発的に反応して水素を発生することはない。水素を発生して分解するのはアルカリ性の水溶液と接触した場合である。

シランは半導体材料ガスで「ケイ素の水素化物・自然発火性・ハロゲンと爆発的反応・純水とはほぼ不反応」の4点セットで覚える。

まとめ:令和7年度 学識の傾向

令和7年度の乙種化学・学識は、単位と気体の性質(問1〜3)、熱力学・反応速度・化学平衡(問4〜7)、燃焼・爆発(問8〜13)、ガス各論(問14〜15)という構成。計算は問2・3・6・8・9・13の6問で、状態方程式・未定係数法・理論空気量・バージェス-ホイーラー則という頻出パターンでした。

知識問題は「言い切り型」(逆反応が停止する、Kp=Kcが常に成り立つ)と「基準のすり替え」(CO₂とN₂の消炎効果の大小、酸化性と還元性)が引っかけの中心です。

おっさん

化学の学識は、燃焼・爆発まわりだけで6問もあるんだな。

でぃでぃ

保安の科目と地続きなので、ここを固めると2科目分の得点になります。優先して仕上げましょーか。

本ページの問題・正解答はKHKの公表資料にもとづいていますが、学習の際は必ず最新の公式情報・法令もあわせて確認してください。

よくある質問

乙種化学の学識は乙種機械とどのくらい違いますか?

学識は完全に別問題です。化学は物理化学・反応・燃焼が中心、機械は熱力学・材料力学・流体機械が中心になります。

計算問題はどのくらい出ますか?

令和7年度は15問中6問でした。状態方程式、化学反応式の係数、理論空気量、圧縮係数、バージェス-ホイーラー則など、過去問の定番パターンがそのまま出ています。

過去問はどこまで公表されていますか?

高圧ガス保安協会(KHK)が国家試験の問題と択一式の正解答を公表しています。本ページは令和7年度(2025年11月実施)の公表内容にもとづいています。

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