危険物 第五類(乙5)の物質で指定されているアゾ化合物:アゾビスイソブチロニトリルとジアゾ化合物:ジアゾニトロフェノールの性状・取扱い・消火に関するページです。
- アゾ化合物:アゾビスイソブチロニトリル
- ジアゾ化合物:ジアゾニトロフェノール
何でこうも乙5は物質の名前が長くて馴染み無いのばかりかね。
しゃーないです。
わたし個人的には危険物で乙5が一番難しかったですし。
この辺が頑張りどころかね。
覚えられっかな…。
乙5は物質の性状がそれぞれ違うので、どうしても試験対策に時間がかかりますね…
危険物 第五類(乙5) アゾ化合物・ジアゾ化合物の基本情報
このページの本編に入る前に物質の基本情報を確認します。
アゾビスイソブチロニトリルから見ていきます。
- 自己反応性の固体
- 刺激性がある
- 密封して冷暗所に保存※1・2
- 消火は基本的に大量注水
※1:直射日光は避ける
※2:粉じん爆発する危険性もある
アゾビスイソブチロニトリルはアゾ基(-N=N-)をもつ有機化合物(アゾ化合物)で、名前が長いのでAIBNと略される事が多い。
加熱・衝撃・摩擦で爆発的に分解し、窒素ガスや猛毒の青酸ガス(シアン化水素)を発生する。
固体(粉末)であるので、粉じん爆発にも注意した取扱いが必要となる。
【用途】
ゴム等の発泡剤
次にジアゾニトロフェノールです。
- 自己反応性の固体
- 湿潤にして保存※1
- 激しく爆発するので消火困難
※1:水または水とアルコールの混合液の中に保存する
ジアゾニトロフェノールはジアゾ基(N2=)をもつ有機化合物(ジアゾ化合物)で、名前が長いのでDDNPと略される事が多い。
加熱・衝撃・摩擦に敏感で爆発しやすく、起爆力が強いので爆轟(ばくごう=衝撃波の発生を伴う激しい爆発)を起こす事が多い。
また、激しく爆発するのでジアゾニトロフェノールは事実上の消火活動ができず、消火困難という扱いとされている。
【用途】
雷管用の起爆薬 ※雷管=火薬に点火する起爆用の突起部
つか何でこの2物質を同じページに書いてんの?
名前が割と似てるのと、他の物質と纏めると覚えにくくなるかなーって…
危険物 第五類(乙5) アゾ化合物・ジアゾ化合物の性状① 状態・数値
アゾビスイソブチロニトリル・ジアゾニトロフェノールの性状から、状態と毒性を見ていきます。
表中、項目を黄色く塗ったところと赤字は試験対策に直結する大事なポイントです。
物質名 | 色 | 状態 | 性質 | 毒性等 | 比重 | 融点 | 引火点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アゾビスイソブチロニトリル (アゾ化合物) [C(CH3)2CN]2N2 | 白 | 固体 | - | 刺激性 | 1.10 | 105℃ | - |
ジアゾニトロフェノール (ジアゾ化合物) C6H2ON2(NO2)2 | 黄色 | 固体 | - | - | 1.60 | 169℃ | 180℃ |
物質名の赤字に注目です!
そーか、物質名を見れば何の化合物なのか判別できるんだな。
性状② 溶解性・反応性
アゾビスイソブチニトリル・ジアゾニトロフェノールの性状から、溶解性と反応性を見ていきます。
物質名 | (溶解) 水 | (溶解) Alc | (溶解) 溶媒 | (反応) 酸 | (反応) アルカリ | (反応) 金属 |
---|---|---|---|---|---|---|
アゾビスイソブチロニトリル (アゾ化合物) [C(CH3)2CN]2N2 | ||||||
ジアゾニトロフェノール (ジアゾ化合物) C6H2ON2(NO2)2 |
反応性はほとんど問われないのでスルーします。
性状③ 危険性・生成物・特記事項
アゾビスイソブチロニトリル・ジアゾニトロフェノールの性状から、危険性・生成物・特記事項を見ていきます。
物質名 | 危険性 | 生成物 | 特記事項 |
---|---|---|---|
アゾビスイソブチロニトリル (アゾ化合物) [C(CH3)2CN]2N2 | 爆発 粉じん爆発 粘膜刺激 | 【猛毒】 シアン化水素 窒素 | 融点以下でも自己加速的に分解 分子中に酸素は含んでおらず酸素は発生しない アルコール・溶媒とは激しく反応する |
ジアゾニトロフェノール (ジアゾ化合物) C6H2ON2(NO2)2 | 爆発 爆轟 | (指定なし) | 燃焼は爆轟(衝撃波を出す燃焼)を起こす 極めて爆発しやすく消火困難 ヒドロキシル基を持たずフェノール類ではない |
爆轟(ばくごう)とか聞いた事なかったけど、ヤベーのが爆発すると衝撃波が出るのか。
アニメとかで地球に隕石とかが落ちた時のシーンみたいのですね。
危険物 第五類(乙5) アゾ化合物・ジアゾ化合物の貯蔵・取扱方法
アゾビスイソブチロニトリル・ジアゾニトロフェノールの貯蔵・取扱い方法です。
貯蔵の適不適はアゾ化合物かジアゾ化合物かで分かれます。
アゾ化合物
- 換気の良い冷暗所
- 容器は密封する
- 日光が当たる
- 加熱・衝撃・摩擦
ジアゾ化合物
- 水orアルコールで湿潤に保つ
- 容器を密栓
- 冷暗所に貯蔵
- 乾く
- 日光が当たる
- 加熱・衝撃・摩擦
湿潤にしておくものは乾くと爆発しやすくなるのか…。
危険物 第五類(乙5) アゾ化合物・ジアゾ化合物の消火方法
アゾビスイソブチニトリル・ジアゾニトロフェノールの消火方法です。
消火方法も適不適はアゾ化合物かジアゾ化合物かで分かれます。
アゾ化合物
- 大量の水を注水
- 粉末消火剤
- 二酸化炭素
- ハロゲン化物
- 窒息消火はナシ寄りのグレー
ジアゾ化合物
- なし
- すべて
ジアゾニトロフェノールは物質の概要等でも書いていた通り、激しく爆発するので消火困難です。
実際に爆発してしまったら、爆発が終わるまで待つ(放置)しかありません。
消火困難=収まるまで待つしかないです。
危険物 第五類(乙5) アゾ化合物・ジアゾ化合物の試験対策
このページで出てきた内容から試験対策に使える疑似問題を作ってみました。
問題右端の+ボタンで答えが出てきます。
問1:アゾビスイソブチロニトリルについて誤りの数は?
①.白色の固体である
②.水やアルコールで湿潤に保つ
③.融点以下でも自己分解する
④.発生するガスは猛毒
⑤.爆発すると爆轟を起こす
間違いは2つ、①③④は正しいです。
問2:ジアゾニトロフェノールについて正解の数は?
①.黄色の固体である
②.水によく溶ける
③.水やアルコールで湿潤に保つ
④.爆発した際の消火は困難
⑤.フェノール類に分類される
正しいのは3つ、②⑤は間違いです。
危険物 第五類(乙5)の物質で指定されているアゾビスイソブチロニトリル・ジアゾニトロフェノールについてはここで一区切りです。
お疲れさまでした!
■危険物 第五類(乙5)ページ一覧
①:第五類の概要
②:有機過酸化物
③:硝酸エステル類
④:ニトロ・ニトロソ化合物
⑤:アゾ・ジアゾ化合物 ◀NOW
⑥:ヒドラジン・アミン
⑦:その他 政令で定めるもの